意識の違い
「なぁ、飯ってあのテーブルんとこで座って食うのかな? 」
立ち直る……とまではいかないが、いつもの調子が戻ってきた。
ところでイスに座っての食事は俺はあまり好きではない。何故だかよくは分からないが……
「お前は、立ちながら飯を食うのか!? 」
目を見開き大きく口を開けている光華は依然ソファーに座り続ける俺に驚愕の声をあげる。
『……何を勘違いしたんだ? 』
「いや、飯は座って食うよ、たいていは……」
紫苑はlongテーブルに置かれてある、料理の数々に目を奪われてしまっているようで、いっこうに顔をテーブル方面から離さない。
「食うか! 」
「……そうだな、しかしバイキングとはいえ食い過ぎには注意しろ」
紫苑があまりに食べたいオーラを出しているのでさっさと食おうとしたのだが……
「ちょとまってください。理雨流ちゃん呼んできます」
相変わらず、舌が回ってしまっている紫苑がそう言いながらソファーから立ち上がる。
『あっ! 理雨流って未だ寝てたんだ、俺もある意味寝ていたが……あぁ……』
再びショックが脳内を駆け巡り、青い記憶がありとあらゆるものに対する自信を奪っていき俺の全てをブルーに染めた。
「どうした? 具合でも悪くなったか? 」
いつの間にか顔を絨毯に向けてしまっていた俺を光華が心配してくれる。
「いや、早く強くなんなきゃいけないなって……」
「渉ー! おっはよう! 」
声が俺の言葉を中断させる。理雨流の声だとはすぐに分かった。俺は向きを理雨流の方へ変えて彼女を見る。寝起きにも関わらず爽やかな笑顔は今も健在だ。
『おはようではないが……』
「おはよう」
と返した。そしたら後から来た紫苑が……
「渉さん、おはようじゃぁないですよーこんばんはですよー」
なんだか少し紫苑の舌が短くなってきた気がする。
『あっ……理雨流に光華紹介しなきゃいけないな』
と思ったのだが、光華が俺よりも先に口を開いた。
「私は有澤 光華という。よろしく頼む」
そう幼い声で光華は言った後、左手を差し出す。
「光華! よろしく! 私は理雨流っていいます!! 」
光華から出されている左手を理雨流も同じく左手で握る。背の差は結構なものだ。
『光華……理雨流が左利きだって分かっていたのか……さすが光華だ、観察力も凄い』
「なぁ光華、どうして理雨流が左利きって分かったの? 」
「ドアノブを握っていた手でだ」
普段からの意識の違いも俺と光華の力の差ではないのか、そう思う。
渉のいる学校の生徒は主に二つの分野に別けられている。詳細は後に本編で…




