手合わせ
俺は腕時計を見る
『11:48 まだまだあるね時間……』
確かに時間が経つのは短く感じられるが(楽しいからね)やはり時間の多さには変わらない。暇は大敵だな。
「暇そうだな、良かったら少し手合わせ願いたいんだが……」
俺の図星をつく光華の発言に多少なりとも驚くが、それよりもその後の言葉に心臓が揺らされた。心拍数増加中である。
『嫌な予感がする、手合わせしちゃいけない気がする』
「なんだ、私なら平気だぞ。まだ荷物は届いていないようだし、木刀と肉体、この二つのみを使い鍛練しよう」
「えっあっあれは! 場所は、どこかあるの!? それに木刀は!? 」
焦りすぎたろ俺! もう少し落ちつけと自分自身にいっても無駄だった。だいたいそんな事で気が落ち着くんなら俺はもう悟りに達しているわ!
「木刀ならここの部屋にあるし、ここの一階の広場でやればいい」
『いや、下のスペースは広場ではないと思うが……』
光華は部屋の入口付近に透明なケースにいれられ飾られてある木刀を指さしてそう言う。一つ反論をできる要素を発見した。
「それ! その木刀一つしかない! 」
「安心しろ、お前の部屋にも多分ある」
要素はいとも簡単に崩れさり遺るものは、潔く手合わせ願おうか、というこの感情のみとなった。
「あぁ分かった。でも頭無しね」
「それは出来ん! 一番の急所を狙わないとは、鍛練にならん! 」
そう言った後、光華はお茶を全て飲み干しケースから木刀を取り出した。
「いざ行こう」
光華は表情をランランと輝かせ声を弾ませて俺に対し真正面を向きつつそう言う。
『覚悟を決めるか! 』
覚悟無しでの打ち合いは危険だ。あの言いようだ、光華は俺に本気でくる。
光華がドアを開き室内から出た。まぁ室内から出ても室内にいることになるのだが。
俺も部屋をでて、階段を下り自分の部屋の前に立つ。光華はもう既に準備体操をし始めている。
『……紫苑がいるんだよな』
トンットン
自分の部屋であるはずなのにノックをしている俺はなんだ?
――――
――
―
返事がないところをみると未だ寝ているようだ。
「入るよー」
カチャッ
部屋のベットには相変わらず紫苑が寝ていた。寝相は良いらしくあまり位置は変わっていない。しかしまぁスゥースゥー寝息が聞こえてほほえましい、紫苑俯せだけど……
『あったな、木刀』
無くてもいい物を手にとり俺は室外に静かに出る。
やはり、光華いわくの広場には俺と光華しかいない。静寂はもう少しで破られるのだろうが、紫苑にはゆっくり寝ていてもらいたいな。
丹澤 龍 タンザワ リュウ (男 Age 18 Height 182cm Weight 71kg Arms ?)




