誰?
歩くこと15秒……いや、一応室内だからここ。
扉の前まで理雨流と、そそくさと来た。
「どんな部屋かなー? 」
「きっと2LDKだね」
「おー豪勢、豪勢! 」
そんな冗談の言い合いもほどほどに【自分】に割り振られた部屋のドアノブを握り押し開けた……筈だった。
「なっ! 」
「わっ! 誰かいるー」
部屋は至って普通の洋室で小さくみても七畳はある。が普通ではないのはその俺の部屋のフカフカベットに誰かが突っ伏していることだ。
「あっ分かった! 渉あの人は誰でしょうか!? 」
俺の背後から頭だけ室内に突っ込んでいる状態の理雨流がクイズ的なものをだしてきたが……
『理雨流……近すぎる! 心臓が! 心拍数が! 』
それでも冷静に……
「うーん……座敷わらし」
とはいかず、ちょっと変な解答になってしまった。
「惜しい! 」
『いやあの、惜しいって有り得ないだろ』
理雨流に背中を押され恐る恐る部屋に入る。
そいつの服装は俺と変わらず制服だ。それで性別は決められない、なぜなら男であろうと女であろうと制服に違いが全くないからだ。
一歩近づく、今俺とそいつとの距離は3m程。理雨流は……笑いを堪えているようで左手を口元にあてて顔を伏せている。
「だっ誰だ! 」
俺は俯せとだんまりを保ち続けるそいつに問いかける。怖いから……さ。
「あーあっ!起こさないで、起こさないで」
理雨流に言われ彼女に振り返る。
「その娘は、紫苑ちゃんだから」
「えっ! 」
『何だっ自分の部屋に行ったのではないのか? 』
今度は紫苑に振り返る。耳を澄ますとスゥースゥー寝息が聞こえてくる。
「きっと間違ったんだね」
「相当過労気味だったもんなー」
理雨流に背後を向けたままそう言い。紫苑の寝顔を見てみたいという欲望を押さえ理雨流にまた向き直る。
『寝顔を見るのは善くないよな』
ゆっくりと室内から室外へ出て、ゆっくりとドアを閉める。
カチャッ
「……あーびっくりした」
「紫苑ちゃんって、天然はいってる? 」
ドッキリが終わったところで気になる事がある。
「荷物っていつ届くんだっけか? 」
「荷物? えっとね確か明日だったと思うよ! 」
『明日って……歯磨きはどうすりゃいい? 』
「歯ブラシとかシャンプーとかはあるべき所にあるって言ってたよ」
「洗面所? 」
「……正解! 」
『それにしても誰が言ってたんだ? 』
疑問を投げようと思う。直球で……だ。
「誰かそんな事言ってたっけ? 」
若干、玉が曲がってしまった。
「体験入学で言ってたよ? 」
「あぁそうなんだ……」
俺は行ってないからそりゃ分からないよな。理雨流の端正な顔には?マークが浮かんでいる。
「俺行ってないんだ、体験入学……」
「あっそうなんだ、でもあんなの行かなくたって行ったって同じだよ! 」
「そんなものかなぁ? 」
「そんなもなの、そんなもの! 」
いつの間にか沈んでしまっていた気持ちがいつの間にか理雨流に励まされ立ち直れた気がする。




