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余命二年と宣告されたのでマイナースキルを授けられた私は聖獣と共に寿命を集めながらスローライフを楽しみます!  作者: 相木ふゆ彦
邪神の使徒、現る

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第29話 アンネリーゼと美容品①

 スローライフといいつつ、なかなか多忙な私。

 それでも邪神の使徒の件は片付き、フェルの追っ手の問題も解決した。

 

 感謝の品として、色んな調味料や布まである。

 私はエヴァリディアス様のToÐoリストを開いた。


 ①アンチエイジングポーションを作ること。

 ②ポーションを飲むこと。

 ③ゆっくりすること


 

 ゆっくりすることって、ToÐoリストじゃないよね。

 アンチエイジングポーションといい、エヴァリディアス様はやっぱりこっちを見てくれてるんだね。

 ③のゆっくりすることっていうのは、昨日の大騒ぎがあったからかな。

 

「アンネリーゼは、今日はどうする? その、頼まれてた貴族用のポーション作るのか?」

「うん。アンチエイジングポーションと、普通のポーションも作らなきゃ」

 

 すると、ランスロットさまがふいに膝をついた。

 

「アンネリーゼさま、貴族用のアンチエイジングポーションを俺にも売っていただけませんか? 取り急ぎ……50本ほど」

「いいですけど……ランスロットさまのご家族用ですか?」

「さまを取っていただければ、お答えします」

 

 白皙の美青年は、澄ました顔をする。

 ランスロットさまって二十歳くらいかなぁ。

 

「じゃあ、私にもアンネリーゼさまって呼ぶのを禁止しますよ」

「そうきましたか」

 

 ランスロットさまは、にこりと笑む。

 

「アンネリーゼちゃん」

「は、はい。ランスロットさ……ん」

 

 黒髪眼鏡の美形青年に呼ばれて、鼓動がはねる。

 えーい、今の私は八歳児だってば!

 

 なんでドキドキしてるの!

 心なしか、フェルには「今更なにやってるんだ……」というじっとりした視線がきた。

 

 こうなったら、心の中でランスロットさま呼びをやめなきゃ。

 いきなり呼ばれたら、さまって呼んじゃうよ、絶対。

 

「そのうち、慣れたらランスロット、とお呼びくださいね」

「が、頑張ります……」

 

 ランスロット……さん、には勝てないなぁ。

 オーラがあるというか、華やかというか。

 貴族だからなのかな。

 

「お答えしますと、アンネリーゼちゃんのポーションは画期的です。ポーションだけでも劇的に変わるのであれば、アンチエイジングポーションが出来れば貴族が殺到します。そうなる前に、王族に進呈しておこうという魂胆ですよ。もちろん、無理やり作らせないようにしますから」

「なるほど……」

 

 私の作ったポーションが王族に?

 ちょっとどぎまぎするな。

 

「で? アンチエイジングポーション作るんじゃなかったのかよ?」

 

 フェルに言われて、はっとした。

 そうだ、お昼すぎたら化粧水も作らなきゃ。

 

 スマホを開けて素材を確認……。

 

 ”アンチエイジングポーション:魔力水、世界樹の皮、シャムの実”

 ”化粧水:魔力水、シャムの皮、リピールの実”

 

 新しい素材でてきた……!

 どちらにも、シャムの実が必要みたい。

 でも、畑にそんなものあったっけ?

 

「コハク、シャムの実ってなかったよね?」

『そのうち生まれるとは思うけど~。ソレビの街からエヴァリディアス様への信仰が高まってるし』

 

 エヴァリディアス様の信仰札(ラディル)を付ける人が増えたかな?

 庭はレベル1になったけど、そう簡単にレベル2にはならないってことね。

 今までは、薬草畑にあるもので作れてたけど、とうとうないものが出てきたかぁ。

 

「シャムの実って買えるのかな?」

「多少値がはりますが、露店で買えますよ。俺も確か、2.3個持っていたはず……」

 

 ランスロットさんが空間収納をあさり、白い実を手のひらに乗せる。

 実の皮は白くて、中は何色だろう。

 

 それでも、かぐわしいのはライチの香りとみずみずしい洋ナシの香り。

 このまま香水になれそうな、可愛くてスウィートな甘さ。

 

 どんな味がするんだろう。

 匂いの通りなら、お高めのフルーツなのかな。

 ――そうだ!

 

「ランスロットさん、この実ひとつだけ貰っていいですか?」

「勿論、どうぞ」

 

 ポーションの力ならもしかして。

 アグーレだって、一気に咲いて実がついたんだもん。

 シャムの実だって、いけるはず。

 

 ポーションをとって庭にでると、空いているところにシャムの実を埋める。

 上からポーションをかけながら、流水で水をそそぐと芽がでて若木になり、しっかりと木の枝が広がっていく。

 

 ん? アグーレの時より早いし、実が落ちてまた芽がでてくる。

 あっという間に、一個だけ植えたシャムの実は五本ほどの木に成長した。

 

「すげぇ……」

「これが使徒のお力ですか……」

 

 フェルもランスロットさんも、唖然としてる。

 でもそれは私も同じだ。

 

『これが、アンネリーゼの成長だよー。ステータスも上がってるでしょ?』

 

 スマホを見ると、20しかなかった体力は45に。

 50だった魔力は80になっていた。

 

 これは、作れる回数も増えたってことだよね。

 そして――え?

 

「ええええええ? 余命が6年になってる!」

「え? 余命があと6年しかないんですか?」

 

 ランスロットさんは焦ったけど、余命2年から6年は大きい。

 今回の騒ぎの中で、寿命ゲージが伸びるワードがかなり含まれていたみたい。

 

 コハクが改めてランスロットさんに説明している合間、私とフェルはシャムの実を集める。

 

「そういえば、感謝の品の中に苺があったな。アンネリーゼ、あれも植えてみたらどうだ? 薬草にはならないけどデザートにはなるだろ?」

 

 そうだなぁ、洋ナシとライチの味がするシャムの実でケーキって思ったけど、フルーツ二種類のフルーツケーキもいいかも。

 今回頑張ってくれた、コハク、フェル、ランスロットさんの慰労会に新作ケーキってかなり名案かもしれない。

 

「シャムの実っておいしい、んですよね?」

「ええ、美容にいいと貴族や富裕層の商人がよく食べますから。皮も美容にいいのでお茶として飲まれていますよ」

 

 だから、アンチエイジングポーションはまるごとなんだな。   

 化粧水は皮だけでいいっていうから、実が余る。

 

 これからお菓子作りに使ってもいいね。

 アグーレもだけど、絞ればジュースになるし。

 苺も植えて、ポーションをかけるとあっという間に植えた場所が苺畑になる。

 

「この苺、うまいぞ! 普通はもっと酸味が強くないか?」

「どれどれ……確かに、糖度が高くてジューシーですね。味も変化するのでしたら、シャムの実ももっとおいしくなっているのでは?」

 

 え、そうかなあ。

 食べるのが楽しみだ。

 

 ドライフルーツににしても大丈夫かな?

 あらかた摘んでも、シャムの実や苺はすぐに実る。

 

 私はとりあえずカゴにどっさり溜まった時点で、アンチエイジングポーションを作ることにした。

 残りはフェルとランスロットさんが、どんどん空間収納にしまっていく。

 コハクは体がなまるといって、一人で魔物討伐に出かけてしまった。

 

「魔力水を作って、世界樹の木の皮と、シャムの実と……」

 

 今回は、手こずった。

 世界樹の木の皮の量が、全然わからなかったから。

 

 大き目の木の皮を入れたものの、魔力水すら足らないと出る。

 魔力水はたっぷりと100本は作れる量はあるので、なんども木の皮を減らしてスマホで確認をして……をしている間に一時間は経ってしまった。

 

 結果的に、世界樹の木の皮は爪のサイズ半分で良かったと判明。

 ほんのちょっぴりだったんだね。

 

「――我が元に具現化せよ! 再構築リコンストラクト

 

 アンチエイジングポーションは、真っ白だった。

 香りはどこなくシャムの実の匂いも残っていて、少しとろっとしてる。

 

”ポーション:ランクD。皺やシミに劇的に効果がある。超美肌になる”

 

 鑑定さんが、進化してる!

 美でいつも切れていたのに、全文出てきた。

 ランクもいつもはEなのに……世界樹の木の皮が入ってるから?

 

「ポーション瓶が足りるかな……」

「魔石なら、俺が仕事柄たくさん用意してありますよ」

「でも、それはランスロットさんの……」

「俺もここに寝泊まりしてますから、宿代食費だと思って」

 

 ランスロットさんは、にこにことポーション瓶生成の魔導具に、魔石をセットする。

 

「そういえば、俺の職業を言ってませんでしたね。俺は魔導具師なんです」

「そうだったんですか……!」

 

 ランスロットさんは、子爵家の四男だものね。

 跡継ぎでもないし、手に職を得たんだ。

 

「魔法は四属性使えますが、いずれも付与レベル。攻撃はできません」

「付与ですか?」

「魔導具には、付与も必要なんですよ。魔導コンロとか、火を付与できないと作れないでしょう?」

 

 ランスロットさんに手伝ってもらいながら、アンチエイジングポーションを瓶に詰める。

 その間、魔導具師について教わった。

 

 魔導具は、魔力で回路をひくこと。

 回路には、どういう動きでどういう反応をするかを刻むこと。

 中には魔石自体に、直接回路を入れることもあるらしい。

 

「100本できたー!」

「ではあとで、冒険者ギルドに行ったらフランクと相談して必要な分を買い取りますね」 

「分かりました」

 

 そうだ、冒険者ギルドに預けたクッキーは売れたかな?

 化粧水も作ったら、聞いてみよっと。

 

『ただいまー!オークがいたから倒してきたよ~』

 

 コハクの声がして、私は玄関に迎えにいく。

 オークって、あのオークだよね?

 

 豚の魔物の……。

 

 この森、オークがいるの? 怖い……!

ここからじわっとランスロットのターンが挟まっていきます

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ポーション以外にも美味しそうなお菓子が出来そうな予感
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