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余命二年と宣告されたのでマイナースキルを授けられた私は聖獣と共に寿命を集めながらスローライフを楽しみます!  作者: 相木ふゆ彦
第一章 新しい命

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第23話 アンネリーゼと世界樹

 どういうこと?

 

 いいひとには、ポーションを配りたい私と、それを止めるコハク。

 その間に入ったフェルは、いきなり孤児院時代の話をしはじめた。

 

「虚言看破ってスキルで、いろんな嘘が見えて……それでオレは勝手に孤立したんだ。でも、他の子どもには嘘がわかるのが怖がられて……」

 

 フェルは、淡々と自分のスキルについて話す。

 そこには、泣いたり怒ったりもできない、生々しい傷をつけられた話で。

 つらことはいっぱいあったはずなのに、フェルの言葉からは感情が見えない。

 

「だから、アンネリーゼはそのまんまでいいんだよ。へんなやつが現れたりしたら、オレが合図するからさ」

「エヴァリディアス様のことはわからないけど、私とフェルが出会ったのは、けっしてフェルに虚言看破があるからだけじゃないと思うよ」

 

 私はそう思う。

 なんにでも、いろんな神様に祈るフェル。

 

 狩りで大物がとれれば、狩猟の神へ。

 ごはんの時は、食の神様へ。

 

 きっと、神の意思だとしたら、たくさんの神様がフェルがお腹いっぱい食べられて、野宿じゃないところでぐっすり寝れる。そんな幸せを願ってくれたんだと思う。

 

「ありがとう、フェル。私、フェルに虚言看破がなくても頼っていたし、信用したと思う」

 

 手を握ると、フェルは照れくさそうにしたけど、その手を離さなかった。

 

「そ、そんじゃ飯食ったら、狩りにいくか。魔石もカツカツだもんな!」

「ToÐoリストの、アグーレの実をとるっていうのも、まだ終わってなかったし私も行く!」

 

 魔力回復まで時間がかかるからね。

 なにかして気を紛らわせたい。

 

「コハクもくるでしょ?」

『ボクはアンネリーゼのボディーガードなんだよ? とーぜん』

 

 私とフェルは、サンドイッチを食べて三十分ほどお腹休みをとった。

 フェルは、すぐにでも行こうとしたけど、冒険者ギルドに走った後だし。前の世界ではこうしてるんだよ、と休ませた。嘘じゃないもんね。

 

「フェルって、言わないと全然休まないよね?」

 

 解体用ナイフとカゴを持って出た私は、コハクとフェルについていく。

 フェルは隠蔽ローブをかぶって、時々ショートソードで枝をはらって進んでいた。

 

「そうか? ああ、孤児院じゃお腹休みなんてなかったし、朝から働きどうしだったから染みついてんのかもな」

 

 フェルの悲しい習慣……。

 でも、全部の孤児を救うことはできなくてもエヴァリディアス様の孤児院に寄付するくらいは出来るかな。

 この辺に、エヴァリディアス様の孤児院……神殿はどこにあるのかな?

 

「コハク、一番近いエヴァリディアス様の神殿ってどこ?」

『えーっとね、あっち』

「あっち?」

 

 銀色のもふもふ毛皮の聖獣は、北の方向を指した。

 もしかして、地名、知らなかったりする……?

 

「コハクさま、街の名前は?」

『方角ならわかるんだけど~……忘れちゃった☆』

 

 えええええ。

 もう~コハク~~。

 

 まあ、最悪チャット(でも片方通話)でエヴァリディアス様に聞けば分かるか。

 今度聞いてみよう……。

 

「あ、アグーレがあったぞ」

 

 コハクが周囲を警戒している間に、私とフェルでありったけもぐ。

 いつも取ってるからか、実は少ない。

 ふと思いついて、私はポーションをアグーレの木に注いでみた。

 

「わぁ……すごい……!」

 

 花が咲いて、すぐさま実が膨らんでいく。

 はちみつの香りが漂って、小さな実はいつものアグーレのサイズになった。

 

「……ポーションすごくない?」

「すげーのはアンネリーゼだろ」

『アンネリーゼの魔力は命の神エヴァリディアスさまが元。命の神様なんだから、芽吹くのは得意だよー』

 

 なんか、ちょっとチートじゃないですか?

 コハクが、畑に魔力流して回復させるのって、これの上級版?

 

「木の神、バンドルドさまの使徒がいたら、めきめき木がはえそうだな……」

 

 新しく生えてきたアグーレをもぎながら、フェルが笑う。

 そうか、木の神様もいるんだ。

 木こりとか、木工作業のあるひとに信仰がありそう。

 

『アンネリーゼ、まだ栄養満腹ポーションのこと諦めてなかったりする……?』

 

 コハクが、小さな魔物を倒しながら聞いてくる。

 コハクは水の水滴を槍のように投擲していて、ほとんど無傷で仕留めている。

 

「そりゃあそうだよー。だから、魔力ポーションを作って夜に回復した状態で栄養満腹ポーション作るつもりだし」

『妥協案だけど……品質をこっそり高くする方法があるけど、絶対にギルドマスターに鑑定させないことだけ守れば教えるよ?』

「え、ほんと!? 教えて!」

 

 出来ることがあるなら、やりたい。

 フランクさんは使徒だって知ってるし、この緊急事態の間だけって条件つければ、きっと受け入れてくれるはず。

 

「充分、気を付けるから。必死に頼むから!」

「オレも頼むから!」

 

 二人でコハクに拝み倒し、聖獣はうーんと唸った。

 

「じゃあ、基本は今回だけってことにするけど……世界樹の葉を錬成の素材に加えると、栄養満腹ポーションは一本飲んで二日以上お腹がいっぱいになるはずだよ」

「世界樹ね! ありがとう」

 

 帰ったらやってみよう。

 もしかして、ポーションや魔力ポーションも世界樹の葉でパワーアップする?

 

「コハク、もし売りにださないで……自分に使うなら魔力ポーションとかにも世界樹の葉を使っていい?」

『絶対に売らないならいいよ。世界樹は、アンネリーゼとエヴァリディアス様をつなぐ一つでもあるから、アンネリーゼの負担にならないしね』

 

 こほん、とコハクは咳をする。

 フェルは、せっせとアグーレを集めている。

 

『ホントは最初から教えても良かったんだけど~、楽をすることを覚えて堕落していった使徒の例もあったから、エヴァリディアスさまにもそれなりに厳しくするように言われてたんだー。でも、アンネリーゼはいつでも全力だし、教えてもきっと規則は破らないと分かったからね。うまいこと使い分けてね』

 

 そっかぁ、過去の使徒のことは考えたことなかったけど、そういうこともあるのか……。

 世界樹の葉に、ブースト機能があるとして……。

 

 でも、それで楽しようとは思わないなぁ。

 自分の経験値を地道に貯めて、売るものは自分の品質で頑張りたいし……。

 自分用の魔力ポーションは、そのために必要だと思うから。

 

「絶対、今後も個人用に使う用だけにする。それでまた、緊急なことが起きたらコハクに相談するね」

『うんうん、頼むよアンネリーゼ』

 

 アグーレを取ってから、私たちはそれなりエイムの森の奥まで進んでいた。

 フェルはいったん引き返そうとも言ってくれたんだけど、邪魔にならない程度でついていきたい。

 他にも、なにか果物があるかもしれないしね。

 

「気を付けろ、アンネリーゼ。この辺はパリーカがたくさん咲いてるから、臭いぞ」

 

 パリーカ?

 なんだろうと思ったら、強烈な匂いがする。

 

 これは……知ってる匂いだ。

 ここまで強いと、香水のつけすぎみたいになるけどこの白い花……!

 

 バニラだ!

 待って、バニラがあったら牛乳と砂糖と卵でアレが作れるよね!?

 夏に必須のアイスクリーム。

 

 空間収納にいれるしかないけど、絶対おいしいバニラアイス。

 カカオも錬成したらチョコレートがとれるし、これで二種類。

 それに、この世界はミントが好きだからチョコミントとか流行りそう~。

 

「スマホ、スマホ……」

 

 慌てて開けると、庭の増設で錬金術レシピがうんと分厚くなっていた。

 キーワードでアイスクリームを検索すると……あった!

 

 キャラメルアイスなんかもある。そうか、砂糖と牛乳、生クリームとバターキャラメル作れるね!

 生クリームも錬成できるし、暑くなったら売り出そう。

 

「アンネリーゼ、危ない!」

 

 何かが私に突撃してきた。

 コハクが、私の前に飛び出す。

 

 どうしよう――防がなきゃ!

 そう思った瞬間、少ない魔力が吸われる。

 飛び出してきた生き物は、見えないなにかにぶつかってはじけ飛んだ。

 

 今の……私の魔法?

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