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みんなで勉強会2


 昼食後、少し休憩して勉強を再開した晃輔たちだったが、結局最後まで集中力が持たなかったらしい希実が騒ぎ始めた。


「あー!もー疲れたー!ななー気分転換にゲームしていい?」


 そう言って、希実はテレビボードに置いてあるゲーム機を指差す。


「別にいいけど、テストは大丈夫なの?」

「大丈夫……じゃないけど、解らなかったらみんなに教えてもらう!!」

「えぇ……」


 高らかに宣言する希実に、ななは困った表情で希実と昌平を交互に見つめる。

 すると、昌平は申し訳無さそうに両手を合わせて合掌していた。


「めっちゃ他力本願だな」

「希実らしいね」


 騒ぎ始めた希実に気付いた泰地と石見は苦笑いする。

 他のメンバーも希実がこうなることを予想していたので、皆暖かい目で希実の様子を見守っている。


「いーい晃輔?」

「別に気晴らしに遊ぶのはいいが、ちゃんと時間決めて遊べよ。お前本格的に遊びだしたらゲーム大会になるだろうから」


 俺は勉強続けるし、と参考書に載る問題を解きつつ晃輔はそう返す。

 元々勉強が苦手な希実が長時間集中してできるわけが無いというのは予想できていた。

 そのため、一応休憩や気分転換用にテレビボードにゲーム機やソフト、コントローラーを用意してある。


「はいはい。相変わらず生真面目くんだこと」


 希実は面倒くさそうに晃輔を見る。


「うっせぇ」

「あはは……まぁでも、確かに休憩するには確かに良い時間かもな」


 泰地がそう告げると、だよねー、と希実は頷いてみせた。


「みんなはどうするー?」


 皆が頑張ってる中、自分だけ休憩というのは嫌なのか、希実は皆を巻き込む形で休憩を提案した。

 希実に尋ねられた石見たちは、休憩仲間を求める様な目をする希実に少し苦笑いした。


「そしたら、私たちも少し休憩しようか」

「そうだね。ちょっと疲れたかも」

「うん」


 女子たちから賛成意見をもらいご満悦な希実は、同じ事を泰地たち男子にも尋ねた。


「男子はどうする?」

「うーん……そしたら俺たちも少し休憩するか」

「ああ」

「そうだな」

「やったー!」


 そう言って、希実はほれ見たことか、という視線を晃輔に向ける。

 希実にそそのかされて休憩を取り始めた泰地たちを見て、晃輔とななは呆れたような表情で告げた。


「悪魔の誘いだな」

「そうね」

「失礼な!悪魔じゃなくて天使だよ!?」

「「それはない!!」」


 晃輔とななは同時に突っ込んだ。


「ななと藤崎くんはどうする?」

「俺はまだやるかな」

「私も。だから別に遊んでても良いわよ。ただ、迷惑になるからあんまり騒ぎ過ぎないようにね」

『はーい』


 希実は元気良く返事をすると、ノリノリでゲーム機に手を伸ばして準備を始める。

 人間の集中力は長続きしないことは分かっているため、晃輔も息抜き程度なら遊んでもいいとは思っている。


 お世辞にも希実の成績は良いとは言えないので、本人がそれを自覚している以上、流石にテスト前に大規模なゲーム大会を開くとは思えない。

 最悪ゲーム大会が開かれても、感性がまともな泰地や筋乃が止めに入ると思うので恐らく大丈夫だろう。


 晃輔とななも一時間ごとに小休憩を取っているので、希実たちみたく長く休憩を取らずとも問題はない。


 皆がゲームをやるためにテレビの前に陣取り始めたのを見て、晃輔は小さく笑うと、参考書に視線を落とし問題を解き始めた。

 不思議なことに、真剣に勉強していると周りの音が気にならなくなる。

 少し離れた位置で盛り上がる皆の声をBGM代わりにして、晃輔は黙々と参考書の問題を解いた。


「はい晃輔、どうぞ」


 晃輔が集中して黙々と問題を解いていると、いつの間にか晃輔の隣で黙々と勉強をしていたはずのななが立っていて、晃輔の側には珈琲が注がれたコップが置かれていた。

 どうやらななが淹れてくれたらしい。


「……あ、ありがと」

「どういたしまして。まぁ、私はこれぐらいしか出来ないけど」

「いや助かるよ。ちょうど飲みたかったところだったから」

「そう?良かった……」


 晃輔がそう感謝の意を告げると、ななははにかむように笑った。

 晃輔はななのその表情に心臓がどきりと跳ねた気がして、晃輔は思わず顔を逸らすこととなった。


「晃輔、どうしたの?」

「ん……別に何でも無い……それより、ちょうどいい時間だな」


 晃輔の変化に気付いたななが尋ねてくるも、晃輔は時計を見上げて逃げるようにキッチンに向かっていった。


「……?」


 突然、急ぎ足でキッチンに向かった晃輔にななが首を傾げていると、ゲームをしてたはずの希実が、あの〜、と声を上げた。


「2人で盛り上がってる所悪いんだけど……なな、それって私たちも貰えたりする?」


 晃輔とななのやり取りを見ていた希実たちは、どこか呆れたような表情でななを見てくる。


「盛り上がってなんかないわよ」

「そお?その割には、心なしかななの表情がはわひくなー」

「余計な事を言っているのはこの口かしら?」

「にゃにゃなー、ひふぁいー。ほうふけ〜はふけて〜」

「知らん。自業自得だろ」


 ななに頬を抓まれた希実が晃輔に助けを求めるも、完全に今回は希実の自業自得なのでそのまま放置する。


「希実はオレンジジュースで良いよな。まだまだ子供だし」

「…………はひふぁふぉふ」

「……なんて言ってるんだ?」

「多分ありがとう、だね」


 順哉が尋ねると、石見が苦笑いしながらそう答えた。

 皆が談笑する中、キッチンからやって来た晃輔は昨日予め焼いておいたクッキーが入ったお皿を机に置いた。


「晃輔、これは?」

「チョコクッキー?」


 ななとななの手から開放された希実は晃輔にそう尋ねた。

 ななに抓まれていたことで希実の頬が赤くなっている。


「チョコチップクッキーか」

「泰地正解。お前らが来るって言うから、昨日作っておいた。みんなで食べてくれ」


 晃輔はななから泰地たちが家で勉強会を行うと聞いて、集中力が長く続かないだろう希実が必ずどこかのタイミングで休憩を取るとことは予想できていたので、一応のため昨晩作っておいた。


「いつの間に……」

「ホントはグミやガムでも良かったんだけど、勉強中にくちゃくちゃされるのは嫌だしな」

「そうね。こんな物用意してたなんて、ありがとう晃輔」

「ふふ、どういたしまして」


 晃輔とななが席について穏やかな表情で話していると、石見が何処か申し訳無さそうな、とても言いにくそうな表情で告げた。


「……あのー、いい雰囲気なところ非常に申し訳ないんだけど……私たちも飲み物頂きたいんだけど……いいかな?」

「ああ、ごめん、忘れてた」

「今持ってくるわ」


 珈琲とチョコチップのクッキーを持ってきて満足していた晃輔とななは、慌ててキッチンに向かって希実たち用のコップを準備する。


「梨香子ー!みんな何飲むか聞いてー。今家あるのはオレンジジュースとコーラとコーヒーだから!」

「はーい!」


 キッチンにいるななに頼まれた石見は、皆の注文を聞くと晃輔とななに聞こえるように大きな声で告げた。


「ななー!オレンジ4つ、コーラ3つ、コーヒー1つー!」

「分かったー!それじゃあジュース類は私が持っていくからコーヒーお願い」

「了解」


 石見に言われ、テキパキと準備する晃輔たちを見て泰地と高絋は小さく笑った。


「俺たちは何を見せられてるんだろう……」

「同じ事思った」

「ふふ、本当にあおいちゃんの言ってた通りだね」

「夫婦みたい」

「違う」


 即答した晃輔に、ななは微妙に不満そうな視線を晃輔にぶつける。

 あおいのやつ一体何を言ったんだ、と晃輔は心の中でそう思いつつ、何故か不満そうな視線をぶつけてくるななに尋ねる。


「なんだよ」

「なんでもない」


 泰地に淹れた珈琲を渡して席に戻ると、再度ななが告げた。


「晃輔のバカ」


 そう言って、ななはほんのりと頬を赤く染めて、ぷいっとそっぽ向く。

 晃輔が皆がいる方を向くと、希実をはじめ皆が生暖かい目で晃輔を見ていた。


「ほんとに何なんだよ……」


 晃輔が珈琲を一口飲むと、本来苦笑いはずの珈琲がやたら甘く感じた気がした。



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