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期末テストとその結果


「晃輔、テストどうだった?」


 期末テストを受け終わり、ある程度テストが返却されると、昌平が可笑しそうに尋ねてきた。


「まぁぼちぼち」

「へえ~」


 晃輔がそう答えると、昌平は顔をにやにやさせて晃輔を見てきた。

 その顔が少しむかつくので軽く睨みつける。


「なんだよ」

「いや、顔がな。何かいつもと違って少し自信があるみたいだから」

「……まぁ前回よりは上がってるんじゃないか」


 晃輔は目を逸らしながらそう告げた。


 我ながら単純だなとは思ったものの、恐らく頑張った分ななのご褒美があるから……だろう。

 勉強を頑張る理由が煩悩にまみれているという、真面目に勉強している人に後ろ指を指されても何も言い返せないところが少し痛いところだ。

 そんなことは知らないだろう昌平が、少し感心した顔になって告げた。


「お、晃輔が普通のインテリからナルシストインテリに成長してる」

「蹴るぞ」

「うわーこわー……情緒不安定か」

「誰のせいだと」


 晃輔が突っ込むと、聞き覚えのある声たちが晃輔のすぐ横から聞こえた。


「昌平のせいだな」

「普通に晃輔が可哀想」

「ほら、だよ……な!?」


 あまりにも自然に会話に混ざってきた泰地と高絋に、晃輔は驚いて目を見開く。


「晃輔どうした?何か俺たちを信じられないものを見た様な目をしてるけど」

「俺たちが急に現れたからびっくりしてるんだろ……」


 からかうように告げる高絋に、泰地が呆れたように呟いた。

 すると、ナチュラルに会話に混ざってきた泰地と高絋に、昌平は尋ねた。


「あれ、順哉はどうした?」

「ああ、順哉は何か先生に用事があるとかでどっか行ったな」

「用事?」


 晃輔がそう呟くと、それに答えるように高絋が告げた。


「何か、土井も同じ様な理由でどっか行ったぞ」

「土井も?」

「何かあったっけ?だって、もうそろそろ夏休みだろ。しばらくは行事はもう無いだろうし……」

「さあ。まぁ多分体育祭絡みじゃね。知らんけど」


 何かあったっけ、と晃輔たちが考え込んでいると、いつの間にか廊下の方が騒がしくなっていた。

 どうやら、今回のテストの順位表が廊下に貼り出されたらしい。


「お、貼り出されたらしいな」

「みたいだな。賑やかになった」

「よし、そしたら俺たちも見に行くか。行くぞ晃輔」


 泰地に誘われ席を立ち、廊下に貼り出されている順位表を見に行く。

 順位表が貼ってある場所だけ異常にざわついているので、晃輔たちもそこへ向かい自分たちの順位を確認しに行く。


 遠くからでは順位表が見えないので、人の間を縫うように順位が見える位置まで移動し、自分の順位が何位か確認する。

 すると、廊下に貼り出された順位を見て、昌平はやや呆れたように呟いた。


「なぁ晃輔、お前今回ちょっと頑張りすぎじゃねえか」

「ん……俺もまさかここまで上がるとはな」 

「……すげーな晃輔」

「なぁ、順位ってこんなに一気に変化するもんなのか」


 高絋は驚いた表情でそう呟いた。

 高絋が驚くのも無理はないと思う。


 今回のテストで、晃輔の順位は目標の十五位を上回る七位まで上がったのだから。

 前回、晃輔の順位は二十三位だったので、前回と比べたら相当な進歩である。


「まぁ、頑張ったかいはあったかな。今後の事を考えたら、もう少し頑張らないといけないけど……」

「晃輔って変にストイックだよな……」


 高絋は再度呆れたように呟いた。


 ちなみに言うと、今回もななは宣言通りに首位を独走している。

 希実の面倒を見ながらの首位独走なので、本当に流石としか言いようがない。


「晃輔。ほんとに一体何があったんだよ。こんな、いきなり順位が上がるなんて」

「え、えっと……」


 晃輔が返答に困っていると、泰地が晃輔たちにしか聞こえない声量で耳打ちした。


「もしかして、あ(・)の(・)人(・)絡みか?」

「…………………………」


 泰地の鋭すぎる推理に、思わず黙ってしまう晃輔。

 その様子を見ていた昌平は、笑いを堪えながら告げた。


「くくっ……図星みたいだな」


 愉快そうに笑う昌平を横目に、晃輔は大きくため息を突くと、何も言い返さず順位表に背を向けた。


「なあ、そろそろ戻ろうぜ」

「何だよ、もう終わりか?俺の順位も確認させろよ」

「確認する必要あるか?どーせお前はランキング外だろ。狙ってやってるんだからほんとにタチが悪い」


 泰地と高絋は、晃輔が容赦無い毒舌を昌平に降り注いでるいるのを見て苦笑いしていた。


 あと、単純にこのメンバーでいると目立ってしょうがないから、一早くここから離れたいというのが晃輔の本音でもある。

 泰地たちといるとどうしても目立ってしまい、泰地たちと一緒にいる晃輔にまで視線が注がれて、正直落ち着かないのだ。


「戻るぞ」

「はいはい。全く晃輔は照れ屋さんだなー」

「……蹴るぞ」

「……ほんと仲良いよな」

「だな」


 晃輔と昌平の、二人のやり取りを見守っていた泰地と高紘は、顔を見合わせて苦笑いすると、先に教室に戻ろうとする二人について行った。


「あ、そうそう晃輔」

「ん?」


 教室に戻り、泰地と高絋が晃輔と昌平から離れたタイミングを見計らって晃輔に近付いて来た昌平は、晃輔にしか聞こえないであろう距離で呟いた。


「今回のテスト、何か面白い約束してるんだってな?」

「…………誰から聞いた?」

「のん」


 晃輔は楽しそうに告げる昌平を軽く睨みつけると、静かに頭を抱えた。

 それを見た昌平は更に楽しそうに笑うので、晃輔は更に睨みを利かせる。


「俺を睨んでもしょうがないだろ?」

「くっ」

「ふふ、楽しみだな。ああそうそう。俺も少し、男目線でアドバイスさせてもらったから、今度感想聞かせてくれよ?」


 昌平は楽しそうにそう告げると、昌平は言いたい事だけ言って席に戻って行った。

 言いたいこと事だけ言って自分の席に戻って行く昌平を眺めると、晃輔は大きくため息をついた。



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