最愛
「ディアお待たせ!楽しみにしていたよ。」
先日アッシュ様から手紙が届き、本当にお出かけのお誘いが来た。断る事も出来ず今日を迎えた。
ディアにこれをってバラの花束をくれる。綺麗。ありがとうございますってお礼を言う。侍女に渡してきますと少し離れる。
「11本!お嬢様素敵ですね!」
どういう意味って聞こうとしたらお兄様に早くって呼ばれる。部屋に飾っておいてとお願いし、今行きますと急ぐ。
お兄様とアッシュ様が何やら話をしている。お待たせしましたーと行くと慌てて話を辞めた。なんだろう。ディア行こうって手を取り、家族に今日お借りしますと挨拶をする。気をつけてねーって見送られる。
「ずっと一緒に出かけたかったんだ。」
「ずっとって大袈裟ですよ。」
アッシュ様はニコニコと微笑んでいる。きっとアッシュ様は私に好意がある。鈍い私にだってわかる。でも何故こんなに好かれているのかわからない。
「何か欲しいものある?プレゼントしたいんだ。」
「いえ…特にありませんが。」
私だってサイラスの様に贈り物がしたい…と落ち込んでいる。お兄様と競われても。笑ってしまう。
「ディアは本当可愛いね。」
「そんな事ないです。やめてください。」
「私はディアがずっと好きなんだ。出来れば私の手で幸せにしたい。」
「…」
突然の事で驚いてしまう。え?本当に?私?何故だろう。
「私と婚約して欲しい。」
「…無理です。ごめんなさい。」
アッシュ様が嫌いなのではない…メリッサに殺されたくない。あの女に関わるような事は避けたい。
「必ず守るから。絶対。何からも守ってみせる。婚約しなくてもいいから側で守らせて欲しい。」
…どういう事だろう。何かを知っている?
「…何の事を言っているのですか?何かあるのですか?」
「いや…何も。ただ側にいたい。お願いします。」
「婚約は無理です。ごめんなさい。婚約しないのに側にいるのは難しくないですか?」
「そこはサイラスとも話をしているから大丈夫。もし君の憂いを晴らすことが出来たら、1度私との事を考えてもらいたい。」
「わかりました。謎ですがお兄様も容認している事なら受け入れます。」
良かったと笑っている。あとこれずっと着けていて欲しいんだ。小さい箱を渡される。綺麗なブレスレットだ。
「いただいていいのですか?」
「ディアのために用意したんだ。外さないで必ず着けていて。」
アッシュ様がブレスレットを手に取り、私の手に着けてくれる。とても可愛い。キラキラしている。喜んでいる私を見て、可愛いすぎるって頭を抱えている。本当意味がわからない。
その日帰って侍女に続きを聞くと11本は最愛の意味だと言われた。
ーーーーー
あの日以来アッシュ様はお兄様に会いによく家に来ている。そして必ず私とお茶を飲みブレスレットを確認し帰っていく。このブレスレットに何かあるのかな?
「最近メリッサ嬢とは会っていないのか?」
「あぁ…そうですね。ずっと一緒だったので少し距離を置こうかと思いまして。」
お兄様にふいに聞かれる。すっかり忘れていたけど泥棒女どうしたのかしら?家に来て以来全く音沙汰が無い。婚約者でも出来たのかな?それなら私はアッシュ様と婚約出来るのに。
え?婚約出来るのに…?私婚約したいの?アッシュ様は優しいし気を使ってくれるし…とても素敵な方だし…。
「クラウディア?アシュリー殿下が来たって。」
え!と顔が真っ赤になる。ディアとやってくるアッシュ様に恥ずかしくなり逃げる。私アッシュ様が好きなんだ。断ったのになんて図々しい。恥ずかしい。
ディア!と抱きしめられる。走ると危ないよって。アッシュ様の腕の中はドキドキしてしまう。
「ディア?どうしたの?」
何でも無いですと俯く。部屋に戻りますって行こうとしたが止められる。ダメだ!恥ずかし過ぎる。真っ赤になっている顔を手で隠す。何でも無いんです。見ないでください。涙ながらに訴える。
「ねぇディア?私を好きで仕方がないって顔に見えるのだけど…」
「ちがいます。好きじゃ…ないです…」
「どうして認めてくれないの?今の関係では抱きしめてもあげられないし、触ることも出来ない。私はディアに触る権利が欲しい。」
「…死にたくないんです。」
「え?」
「私…殺されたくなくて。家族を残して先に死にたくなくて…嫌なんです。」
「泣かないで。」
私はポロポロと泣いてしまう。こんな意味不明な事を言いたいわけではない。好きだけど好きって言ったらダメで…。涙を拭いてくれるけど止まらない。
「ディアはやっぱり前の記憶ある?」
「…え?」
アッシュ様が突然言い出した。前からそうなのかな?とは思ってたんだけどって。前の?あの?パニックで涙が止まる。アッシュ様が笑いながら目が赤いよって頬を撫でる。
「ちょっとサイラスを呼んでくる。話をしよう。ちょっと部屋に戻って待ってて。」
お兄様のお部屋に呼ばれ入る。お兄様とアッシュ様が戸惑った顔をしながら待っていた。
「クラウディアは記憶あるの?亡くなった時の。」
「あります。毒を飲まされ殺されました。あの泥棒女…」
「犯人は誰かわかるの?」
メリッサですよって言う。最後目の前で笑いながら死んで欲しいって言われたと話す。2人は頭を抱えため息が出ている。
「あの女…」
「お2人は何故知っているのですか?」
「私とサイラスで時戻しをしたからだよ。」
え?どういう事?どうやって戻ったのかと思っていたが2人が?何故どうやって。2人はあの時のことを教えてくれた。




