第十四話 新しい魔法
本作品の製作にあたり、世界観・物理設定の検証およびブレインストーミングの補助として一部対話型AIを使用しています。本文およびストーリー展開はすべて作者自身により作成・執筆されたものです。
またこの作品の、タイトルはいまだ未定であり、決定次第随時変更していく次第です。
加えて、本作品には性的、差別的な内容が含まれているので苦手な方はご注意下さい。
ご理解、ご了承のほどをお願いいたします。
また、事前の告知等はするつもりなのですが、タイトル変更によって当作品の検索が困難になる場合がありますので、作者名を覚えていただくか、ブックマーク等の機能を活用していただけると幸いです。
フェイラとの模擬戦から早一週間。
文字通り泥水をすするような体験を味わった俺は訓練に対するモチベーションが上がりまくっていた。
いつもは30分ごとに文句を言ってはたたかれを繰り返し、時には脱走を図ろうとするほど魔法や戦闘の練習に対する熱量が低かった俺だが、最近では黙々と与えられた訓練をこなし何なら自主的に筋トレを行うほどに闘志が高まりまくっていた。
(いつか絶対にフェイラに勝ち越して、悔しがらせてやる!)
そんな子供じみた感情に突き動かされるまま努力をし続けていた時、「そろそろ新しい魔法を使ってみてもいいかもね」とフェイラに言われた。
「新しい魔法って?」
「激力を使って爆発みたいなものを起こす「ボム」よ」
激力とは、簡単に言えばめちゃくちゃ強い力のことであり、物体が壁などに衝突する際などに発生している。
これから教わる「ボム」というものを使えば、空間上のある点に激力を発生させ爆発を起こすことができるらしい。
ざっくばらんに言えば、熱などが出ない手りゅう弾を生み出すっていうのが近いだろう。
「何か気を付けたほうがいいことってある?」
「衝撃が四方八方に飛んでいくから、あんまり近くで発動しないようにすることかしら。
あと、この魔法は結構強力だから、エルゴンを沢山使っちゃうのよ。
だからインターバルみたいなものがあって、威力とかにもよるけど大体1分で三回までが限度。
それを過度に超えたら、力の魔法が使えなくなったり体が動かなくなったりするから気を付けてね」
「はーい」
年端もいかないガキがこんな危なっかしい魔法を使ってもいいのかという疑問はあるが、まあその辺の石だけで相手を殺害できる時点ですでに今更すぎるからいいとしよう。
とりあえず試し打ちをしてみようということで、先にある木の的に向かって魔法を使ってみる。
詠唱を教えてもらいそのまま口に出して唱えてみると、手の先から小さな粒みたいなのが出てきて、そのまま的に向かって直線的に飛んでいく。
そして的の付近まで到達して、
バンっっ!!
と音が鳴り、爆発が起こる。
的を見てみると木っ端みじんになっており、もはや原型が何一つなくなっていた。
(いや、強すぎじゃね?)
熱や飛来する破片がない分、手りゅう弾よりも殺傷能力は低いが、それでも人がまともに食らったら黄泉の国まで秒読みの威力である。
なんなら発動前のエルゴン状態だと壁をすり抜けることができるので、知らんところからひょっこりはんしてからの確殺ができる分、兵器としての危険度はこちらの方が高い気がする。
(フェイラが詠唱を教えてくれなかった理由がよくわかったわ...)
実は爆発を起こす魔法があること自体は前々から知ってはいたのだが、フェイラに詠唱を教えてほしいといっても、「あんたはまだ駄目よ!」と口酸っぱく言われ続けて今日まで教えてもらえることはなかった。
「爆発を起こせる」とかいうロマンの塊に単純な俺がひきつけられないわけもなく、懲りずにおねだりをして乙女の鉄拳を食らい続けたのはこのためだったのかと考えると、あの日々が輝いて見えてくる。
俺が感じた痛みに価値はあったのだ...。
(まあ、素直にあきらめていれば痛みを感じることもなかったんだけど)
木っ端みじんになった的を見て鳥肌が立った俺だったのだが、隣で観察していたフェイラは
「ちょっと威力が弱いわね。もう数十倍くらいまで強くできて初めて最低限って感じね」
とか言っていた。
もうすでに見慣れた光景ではあったのだが、この人やっぱなんかおかしい。
俺のチート能力フェイラに吸われたのでは?
(まあフェイラ自身は能力がおかしいってだけで、人と同じような感情を持っているってことは生まれたときから知ってはいるけど、それでもやはり変だといいたい。)
その後、何度か魔法を試してみて今日の魔法の訓練はお開きとなった。
威力自体はあいも変わらず弱いといわれ続けたが、爆発を起こせるようになった時点で戦略の幅が広がったんだし良しとしてほしい。
その後は師匠と一緒に森の中でかけっこタイムをした。
最近は、身体強化の調整もうまくできるようになったので適度に強化をしつつ鬼ごっこをするようになっている。
強化の幅は1.3倍程度と、数字だけ見れば高くないように感じるが、単純計算で50mを7秒ジャストの人間が5.4くらいになると考えたら普通にえぐい。
一般人から世界で最も速いアスリートと同等以上に大変身できるのだから、その性能は破格といってさしつかえないだろう。
これに加えて異世界人の基礎身体能力の高さがプラスされるのだから、この世界の人間が地球に行けるんだとしたら陸上世界大会総なめも夢じゃない気がする。
(まあ、慣れないと全然すぐに事故るんだけどね)
始めて身体強化を行った日など最初は足に力を入れるタイミングがずれすぎてまともに歩くこともできず、転んでばかりだった。
しかも森の中では足元が平らでなかったり木などの障害物があったりするため、身体強化して移動が速くなっても、転ぶ回数が増えまくって通常の時のほうが移動が速いなんて始末だ。
そんな絶望的な状態だった俺なのだが、師匠の指導の成果もあってか最近では森の中も比較的自由に駆け回ることができている。
つきっきりで体の動かし方について指導をしてくれたり、うまくいっていないときでも「大丈夫だ。君はしっかり成長している。だから自信を持つんだ。」と励ましてくれたりと、もう何から何までかっこよすぎる。
しかも転びそうになった時に、さっと体を支えてくれたりもするのだ。
その後に「けがはないかい?」と優しくささやく姿はどっからどう見てもイケメンすぎて思わず惚れそうになってしまった。
(俺もいつかこんな優男イケメンになりたい。)
師匠との訓練も終えて帰宅すると、フェイラが晩御飯を作ってくれていた。
その顔にいつも通り明るい笑顔が浮かんでいて、見ているこっちも元気が出てくる。
そして顔に浮かぶ一筋の跡もいつも通りであった。
(ああ、今日もか)
いつものように席についてご飯を一緒に食べる。
料理はおいしく、栄養バランスもばっちりだ。
「訓練の調子はどう?」
「まあまあかな。体力もだんだんついてきたし、体が大きくなって走る速度も速くなってきている気がする。」
「そう。明日からも頑張ってね。」
親とその子供の当たり前の会話。
本来なら、心が温まるような優しいもののはずだ。
だがフェイラの顔に浮かぶ跡を見ると、どうしたってあの女の姿が重なる。
あの夜の、きれいな景色が浮かんでしまう。
(今日は早く寝よう)
ご飯を食べた後、自室に戻って寝る準備を始める。
外はもう真っ暗で、音の一つも聞こえないくらい静かだ。
彼女の泣き声を除けばだが。
この世界に来てから何百何千と聞きなれたその声は、いまでも確かに俺の耳に届いてはいたが、いつも通りそれを無視して俺は目を閉じた。
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