第十三話 日常の一幕2
本作品の製作にあたり、世界観・物理設定の検証およびブレインストーミングの補助として一部対話型AIを使用しています。本文およびストーリー展開はすべて作者自身により作成・執筆されたものです。
またこの作品の、タイトルはいまだ未定であり、決定次第随時変更していく次第です。
加えて、本作品には性的、差別的な内容が含まれているので苦手な方はご注意下さい。
ご理解、ご了承のほどをお願いいたします。
また、事前の告知等はするつもりなのですが、タイトル変更によって当作品の検索が困難になる場合がありますので、作者名を覚えていただくか、ブックマーク等の機能を活用していただけると幸いです。
訓練を再開した後、ダレルは何か打開策はないかと試行錯誤していたが、多少裏をかけることはあっても、結局フェイラに一撃を入れることはかなわなかった。
すでにかなりの時間がたっており、もうすぐ日が暮れようとしている。
「じゃあ、もう遅いから次で最後にしましょう」
「えー...まだまだやりたいんだけど」
「わがまま言わないの。夜は危ないんだから」
ダレルは不満に思ったが、明かりもなしに夜をうろつくことの危険性はよく理解しているのでしぶしぶ了承した。
(これで最後なんだから、絶対に勝ってやる!)
互いに初期位置に立ち、準備を始める。
(俺とフェイラでは魔法の実力に大きく差がある以上、やっぱり近距離戦でワンチャンを勝ち取りに行くしかない。でも近づけなければどうしようもないし...)
ダレルは今までの戦いの記憶を思い出し、どうにかできないかと考える。
(というか、俺の詠唱によって発動のタイミングが読まれるんだとしたら...)
「じゃあ、始めるわよ!」
「わかった!」
少年は一か八かやってやると覚悟を決める。
「よーい、始め!」
開始の合図を受けて、両者は同時に動き出す。
ダレルはさっきまでの戦闘と同様に、乱立する大木を盾にしつつ走って移動し、フェイラとの接近を図る。
フェイラもそれに合わせて最低限の迎撃をしつつ、木が少ないほうへと駆け出していく。
前までの戦闘と同じように、半径約10mほどの木がない空間の中心にフェイラが位置し、その周りをダレルが木に隠れながら様子をうかがうという状況になった。
(ここでバレットを発動して接近してもまた両断されて迎撃されるのがおちだ。
だったら!)
意を決して、ダレルは走り出す。
木を遮蔽としながら円を描くように駆け出し、フェイラの視界から外れようとする。
しかしフェイラもこれを見逃すことはせず、木から出てくる瞬間を狙ってダレルに対し弾を発射する。
弾が背中のすれすれをかすめたことを確認して、ダレルは木の裏に隠れる直前に「バレット」を発動する。
そして、勢いそのままに木から飛び出した後、今までと同様、フェイラの側面を攻撃すべく接近していく。
「それじゃ、さっきまでと同じよ!」
フェイラは当然、飛来する弾を剣によってたたき切る。
このまま前と同じように「バレット」で攻撃しようと考えるが、そこで違和感に気づく。
(っ!木刀が飛んできてる!?)
そう、ダレルは「バレット」を発動すると同時に剣を投げていたのである。
「バレット」による攻撃は詠唱があるためにフェイラに事前に察知されてしまう。
しかし、詠唱による攻撃に注意が向いているのであれば、逆に詠唱がない攻撃に対する警戒が薄れるだろうとダレルは考え、その隙を突こうとしたわけである。
予期せぬ攻撃に対し、準備が十分でなかったフェイラは体をそることで間一髪、剣をよける。
そうしてフェイラが回避で手一杯になっている間に、側面から近づいていたダレルはすさまじい速度で接近し、こぶしが届く距離まで潜り込む。
(決まった!)
そう確信し、ダレルがフェイラに向かってパンチを繰り出そうとする。
しかし、ダレルの目の前に光る壁のような何かが突如出現した。
(は?)
ダレルが驚いて目を見開くと、次の瞬間にはその壁は消えていた。
だがそれとほぼ同時に、フェイラに届くはずだったダレルの拳が空中でぴたりと止まった。
いや、止められた。
(力みたいなのが働いて手が前に進まないんだけど!)
摩訶不思議な現象にダレルが驚愕していると、空中で停止している腕を体勢を整えたフェイラにつかまれ、強く引っ張られる。
そのまま、自身の視界が上下逆になるのを認識し、ダレルは悟る。
(あ、背負い投げされてるのね、俺)
その次の瞬間に背中に強い衝撃が走り、ダレルは自身が負けたということを理解した。
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「いやー、惜しかったわね!あともうちょっとって感じだったわ」
「いやいやいや最後のあれはどういうことだよ!?
壁みたいなのが急に出てきてすぐ消えたと思ったら、手が進まなくなったんだけど!?」
先ほどの意味不明な現象に対して、ダレルは何一つ理解できず困惑していた。
それに対し、フェイラはあっけからんと答える。
「あれは力の魔法よ。あなたの目の前に力場を発生させたの。
そして、あなたが見た壁っていうのは力場へ変わる前のエルゴンね。
あなたも見覚えがあるはずよ。」
そういえば、他人に回復魔法をかけるときに出てくる光に何となく色が似ていたなとダレルは気づく。
「いや理屈は分かったけど、なんであんな瞬間的に発動できたんだよ!
いくら無詠唱だからといっても、認識してから魔法を発動するまでみじか過ぎるし!」
(完全に裏はかけていたから、殴りかかる俺に対処するまでの猶予はほとんどなかったと思うんだけど。
それとも、摩訶不思議な異世界だから反応速度も地球の人間のそれと大きな違いがあるのか?
いやでも、それなら俺も同等に早くないとおかしいはずだし...)
悶々としているダレルに対して、フェイラが答えを提示する。
「私、昔から土壇場での反応速度がほかの人より速いのよね。
大体、10倍くらいは違うんじゃないかしら?」
「何を言ってらっしゃる方なの?」
(え、じゃあ遠距離戦がめちゃくちゃ強い代わりに、近距離戦も反応速度の速さからめちゃくちゃ強いっていうことを言いたいの?)
ダレルは、目の前にいる超人に対し「人間ですか?」と問いたくなる衝動に駆られる。
そんな彼の様子を気にすることなく、フェイラは発言を続ける。
「でも、あなたの最後の攻撃はかなり良かったわよ。
私が魔法にばかり注意が向いているのを逆手にとって、魔法と同時に別の攻撃をしかけ、そっちに手いっぱいになったところを叩くっていうやり方はかなり面白かったと思うし。
ただ、すこし詰めの甘さもあったかしら?
とくに、最後こちらに接近するっていうのはよかったと思うんだけど、それと同時にもう一発くらい「バレット」を使っていたら私もかなり危なかったと思うし」
「ああね...」
少し先走りすぎていたという自覚はあったため、それは確かに一理あるなとダレルは納得したが、それでも疑問に思わずにはいられないことがあった。
(いやだとしても壁を出されて多分勝ててなくね?)
確かにもう一度魔法を発動していたらダレル自身へ対応するまでの時間はさらに短くなっていたであろう。
しかし、それでも壁の滞在時間を長引かせれば正面からの攻撃は完全に無効化できるであろうから、どちらにしろ不可能であったのではとダレルは考える。
(これ、そもそも俺に勝ち目なかったのでは?)
俺の奮闘はなんだったんだと思い始めたダレルに対し、フェイラは声をかける。
「じゃあとりあえず、もう帰りましょう。
今日は頑張っていたから、ご飯は少し豪華なものにするわ。」
その言葉を聞いて、「まあ敢闘した意味はあったか」とダレルは思い、フェイラとともに村へと歩みを進めていく。
(まあ、泥団子をぶつけられた鬱憤は残っているけど...)
今日の戦いで味わった辛酸を思い出し、次こそ泥だらけにしてやると意気込むダレルの隣で、フェイラは、訓練の途中で投げかけられたある問いを思い出していた。
(なんで自分が強くならないといけないのか、か...)
過去の情景を思い出し、聖女の顔に影が浮かぶ。
(そんなの、傷ついてほしくないからに決まってるじゃない。)
あなたは、私にとってたった一人の家族なんだから。
母の、わが子を思うその声は、当人に届くことなく、風の音によってかき消されたのだった。
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