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この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第三章

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90.四属性金属リング

 近くに生えていた木の前に立つ。


「まずは、魔法発動の検証から」


 品質85の指輪を人差し指にはめる。すると、指輪から属性の力を感じる。これなら、魔力を通すだけで魔法が使えそうだ。


「じゃあ、まず火の魔法から」


 人差し指を木に向けて、指輪に少しの魔力を通す。すると、指先から火が飛び出し、木にぶつかった。


「出た!」


 火は木に燃え移り、どんどん広がっていく。


「わっ! 燃える! 水、水!」


 すぐに指輪に魔力を通す。すると、水が噴射されて火を一瞬で消した。


「うん、火も水も問題なく使える。じゃあ、土と風は?」


 再度、木に向かって指を構える。魔力を通すと、今度は指から石が飛び出してきて、木に衝突する。木には大きなへこみが出来た。


「じゃあ、風!」


 すかさず魔力を通すと、手から風が飛んだ。木に接触すると、大きな傷が出来た。


「うん。どの属性もちゃんと魔法が使える。しかも、詠唱なしで。これは、とっても便利じゃない?」


 職業選定の儀式で得られる職業と能力、そこで魔法を授からなければ魔法は使えない。その常識を打ち破った、魔法アイテム。


 魔力さえあれば、誰だって魔法を使えるようになる。


「これで、私だって戦えるようになる。もっと、遠くの素材採取にいけるってもんだよ」


 あとは、この四属性金属リングを扱えるようになるだけだ。もっと、自由に魔法が扱えるようにならなければ。


「あっ、そうだ! 品質100との威力差の検証もしなくっちゃ」


 目的はそれだ。品質85と品質100の指輪を交換した。


「品質の差は15だけど、どれだけの威力の差が出るんだろう」


 ドキドキしながら、指を構える。そして、先ほどと同じ魔力を通して、火を放った。すると、目の前が真っ赤に染まる。


「わっ!?」


 先ほどよりも大きな火の玉が飛び出し、一瞬で木のてっぺんから根まで火に包む。先ほどとは、全然威力が違う。


「凄い……こんなに威力に差があるの!?」


 倍以上も威力が違う! たった15の品質の差でこんなに差が出るとは驚きだ。それとも、品質100が特別なのだろうか?


「こ、これは凄い魔法アイテムを作ってしまった……」


 まさか、こんなに威力が違うとは思ってもみなくて、自分でもビックリしてしまった。錬金術……凄い。


「とにかく、魔法アイテムは出来たんだ。家族に見てもらわないと!」


 真の目的を忘れてはならない。この魔法アイテムを使って、素材採取の範囲を広める。その為には、自分が戦えると家族に安心してもらわないといけない。


 木の火を消すと、私は屋敷へと戻っていった。


 ◇


 標的に選んだ大木へと、静かに手をかざす。


 次の瞬間。指先から放たれた火は、ただの火球ではなかった。轟音とともに奔流となって叩きつけられ、幹に触れた瞬間、上へ、下へと一気に走り抜ける。


 ゴォォォォッ!!


 炎は枝葉を呑み込み、樹冠を焼き尽くし、そのまま根元へと食らいつく。逃げ場を失った熱が内部で爆ぜ、木全体が内側から燃え上がった。


 だが、間髪入れずに手を返す。


「水!」


 空間が歪むように揺れ、次の瞬間、滝のような水流が叩き落とされた。


 ドォンッ!!


 爆ぜるような水圧が炎を押し潰し、白い蒸気が爆発的に吹き上がる。ジュウウウウッと耳を焼く音とともに、さっきまで荒れ狂っていた炎は一瞬で消え失せた。


 視界が白に染まる中、さらに力を解放する。放たれた石は弾丸のような速度で空気を裂いた。


 ヒュンッ――ガァンッ!!


 衝撃が遅れて届く。分厚い幹に直撃した石は、そのままめり込み、内側を抉り取りながら突き抜けた。木の胴体に、拳では済まない巨大な穴が穿たれる。


 ぐらり、と大木が揺れた。だが、終わりじゃない。


「風!」


 呟いた瞬間、圧縮された空気が解き放たれる。


 ドンッッ!!


 目に見えない衝撃が叩きつけられた瞬間、幹が悲鳴を上げた。


 ミシィッ――バキィィィン!!


 亀裂が一瞬で走り、次の瞬間には耐えきれずに弾け飛ぶ。巨大な木は真っ二つにへし折れ、轟音とともに地面へと崩れ落ちた。


 ズゥゥゥン……!


 地面が揺れ、土煙が舞い上がる。そこに残ったのは、無残に引き裂かれた大木の残骸だけだった。


「これが、私の作った四属性金属リングの威力だよ! どう? 凄いでしょ!」


 そう言って、家族に向かって振り向くと――。


「「「……」」」


 家族は目を丸くして、固まっていた。


「……あの、どう?」


 おずおずと尋ねると、引きつった笑顔を浮かべていたファルスお兄様が――。


「こ、これはとんでもない品物だよ! たった指輪一つで四属性の魔法が使えるんだから! それに、この威力! 信じられない!」


 パッと明るい表情になって、声を上げた。すると、頭を抱えていたロザンお父様がバッと顔を上げて、私を抱きしめてきた。


「うおぉぉっ! うちの娘は凄い、めちゃくちゃ凄いぞ! アイテム一つでこんなことを可能にするんだから! ルイは偉いなぁ!」

「ロザンお父様、首取れる!」


 力いっぱいに頭を撫でられて、視界がぐわんぐわんする。その時、アマリアお姉様に手をギュッと握られた。


「これはとんでもないことよ、ルイ! 職業選定の儀式でしか得られなかった魔法が、アイテム一つで可能になったんだから! もう、ルイは神様よ!」

「そ、それは言い過ぎだよぉ……」


 と、とにかく、家族にはこの魔法アイテムの凄さを分かってもらえたようだ。


 すると、家族が顔を見合わせて真剣な表情になった。


「とんでもないものが出来た。だから、これまで以上にルイを守らねばな」

「このアイテムは秘蔵にした方がいい。この力が欲しい人はたくさんいる」

「これまで以上にルイと一緒にいて、守るわ」


 何故か家族同士で意思疎通が出来ているように言葉を交わした。えっと、何故このアイテムでさらに守られる存在になったのか……。


 力を示したんだから、危険な場所に行っても大丈夫だよね? 不安そうな視線を向けていると、話し合っていた家族がこちらを向いた。その顔には笑顔が浮かんでいる。


「ルイはそのままでいい。後のことは、父さんたちに任せろ」

「これからも好きなように錬金術をしてもいいからね」

「まずはそのアイテムを使いこなせるようにならないと。私が付き合ってあげるわ」


 何だか分からないけれど、認めてないってことじゃないみたい。


「じゃあ、これで一人で遠いところに素材採取に行っても大丈夫だよね!」

「それはダメよ。必ず私がついていくから」

「えー!?」


 くっ……まだ一人で行ったらダメか。アマリアお姉様に頼ることになるだろうけれど、その方が安全か。


「じゃあ、そのアイテムを使う練習をするわよ」

「うん、ありがとう! じゃあ、行ってきます!」


 アマリアお姉様が森に向かって歩き出すと、私は二人に手を振って離れていった。早く上手に使えるようになって、遠くの素材採取地に行けるようになるんだ!

第三章完


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― 新着の感想 ―
 火と水属性だけ付けた品質20でも30でも、偽装用の指輪を用意しとくのもあり。  まあ偽装と言っても、山とかの行動中に薪に火を付けられるとか、飲水に困らなくなるとか、その程度でもかなり便利だからその…
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