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この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第一章

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18.素材採取(2)

「えーっと……ルーファの根は、水辺の傍に生えてるんだったよね」


 私は辞典の記述を思い出しながら、平原の先に見える川の方角へと歩き出した。


 村を離れるにつれて、景色は少しずつ開けていく。背の低い草が一面に広がり、風が吹くたびにさざ波のように揺れていた。空は高く、雲はゆっくりと流れている。


「……気持ちいいな」


 思わず、そんな言葉が零れる。


 素材集めの最中だけど、こうして歩いているだけで心が落ち着く。草の匂い、土の感触、遠くで鳴く鳥の声。


 ここは、戦いの場でも、危険な森でもない。ただの、いつもの平原だ。


 やがて、かすかに水の流れる音が耳に届いてきた。


「川、もうすぐかな」


 足取りを少し早める。草原の向こうに、きらきらと陽光を反射する水面が見え始めた。緩やかに蛇行する川が、平原を横切るように流れている。


 その時――。


「きゃははっ!」

「待てー!」

「そっちにいったぞ!」


 楽しげな声が、風に乗って聞こえてきた。


「……?」


 私は足を止め、声のする方へ目を向ける。


 川辺の浅瀬で、何人かの子どもたちが遊んでいた。靴を脱いで水に入っている子もいれば、石を投げて水切りをしている子もいる。水しぶきが上がるたびに、きゃっきゃと笑い声が弾んだ。


「ああ、村の子たちか」


 自然と、頬が緩む。のどかな昼下がり。危険な気配はなく、ただ、平和な時間だけが流れている。


「前なら一緒に遊んでいたけれど、私はもう成人したからね。遊んでいる場合じゃない」


 私は少しだけ歩く方向をずらし、川の上流側へ向かうことにした。だけど、その時――。


「あっ、ルイだ!」


 その声に振り向くと、子供たちがこちらに向かって駆け出してきていた。


「やっほー、ルイ! 一緒に遊ばない?」

「ルイがいたら楽しんだけど」

「あっちに行こうぜ!」


 いつものように親し気に話しかけてきた。でも、成人した私は毅然とした態度を示した。


「残念だけど、今は仕事中なんだよね。だから、君たちとは遊べない」

「ルイが仕事!? 嘘だ!」

「本当だよ。ロザンお父様の体の不調を治すために薬を作るっていう立派な仕事が出来たんだから」

「薬? じゃあ、ルイの職業って薬師だったの?」

「ううん、錬金術師だよ」

「「「錬金術師?」」」


 やっぱり、村の子供たちでも錬金術師は初耳らしい。みんな、不思議そうに首を傾げた。


「錬金術師は素材を使って、色々なアイテムを作れる職業なんだ。だから、薬を作ろうとしたわけ」

「へー、そうなんだ! どんなものが出来るか楽しみだな!」

「じゃあ、今は素材探しってこと?」

「そういうこと。だから、一緒に遊べないんだよね」


 遊ぶことを断ると、子供たちは残念そうな顔をした。だけど、すぐに明るい表情に変わる。


「じゃあ! 俺たちはルイのお手伝いをしてやるよ!」

「そうそう! 何を探せばいいの?」

「この辺の事なら詳しいよ!」


 すると、子供たちが率先してお手伝いを申し出てくれた。これは、助かる!


 私は【素材保管】から生活圏素材辞典を取り出して、ルーファの根の絵を見せる。


「これが川辺に埋まっているはずなんだよね。どこかで見たことがある?」

「あっ、これ! 見たことがある!」

「本当!?」

「私もある! こんなのが欲しいの?」

「うん、とても重要なんだよね」

「じゃあ、取ってくるよ。みんな、行くぞー!」


 まさか、子供たちが素材の事を知っているなんて! これは、大助かりだ!


 子供たちは川辺の方に走っていくと、早速色んな場所を探し始めた。私もその中に入り、一緒にルーファの根を探す。


「ルイー! あったよー!」


 その時、待ちかねた言葉が出た。私はすぐにその場所へと向かった。


「ここ、ここだよ!」


 子供が急かすように指を差す。すると、そこには辞典で見た草が生えていた。


「これで大丈夫?」

「今、引っこ抜いて確認してみるね」


 その草に手をかけて、ゆっくりと引っ張る。すると、ずるずると根が抜けてきて、スポッと抜けた。


 現れたのは凸凹の形をした根だった。これは、辞典で見たルーファの根、そのものだ。


「うん、これで正解だよ。見つけてくれてありがとう」

「えへへ」


 流石は村の子供! 私は子供の頭を撫でると、とても嬉しそうな顔をした。


「なぁなぁ。一つでいいのか?」

「出来れば、何個があった方がいいんだよね」

「そうなんだ! だったら、他も探すよ。任せて!」

「よっしゃ、行こうぜ! ルイに褒められるのは、俺だ!」


 そんなことを言いながら、子供たちは川辺に散っていた。私に褒められるためにお手伝いを率先するとは……可愛いやつらめ。


 でも、手伝ってくれて本当に助かる。一人だと限界があるけれど、人数がいれば困難も軽くなる。


「よし! 私も負けてられないね!」


 大きく背伸びをすると、私も素材探しを続けた。一人じゃないから、気持ちが軽い。子供たちには後で沢山褒めてあげないとね。

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