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【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
裸の王様

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第7話 劇場の大広間にて大演説

劇場の大広間。


重い緞帳の前に、関係者全員が集められている。

ざわめきが天井へと吸い込まれていく。


・オリバー・グラント(若手俳優)

・ヴィクトリア・ヘイル(主演女優)

・ドミニク・ショウ(マネージャー)

・チャールズ・ウィットモア(監督)

・ アレク・サンドルス(大道具)


前列にはガルム警部補。

その隣にミレイア。


中央へ、アレクシスが進み出る。


静寂。


「レオナルド・アシュクロフトの死は、自殺ではありません」


空気が凍る。


「レオナルドは屋上から自ら身を投げた。しかしその転落への一歩は、

意図的に誘導されたものでした」


視線が一人の男へ向く。


アレクシスは封蝋の欠片を掲げる。


「事件前夜、レオナルドの元へ“支配人名義”の手紙が届いた」


ざわめき。


「屋上で話がある、と」


「しかし支配人は書いていない。封蝋は本物だが、便箋は別の紙質」


ガルム警部補がうなずく。


「手紙は焼却されたが、灰から封蝋が回収された。

支配人の印章は事務所から一時的に持ち出されていた」


アクレクシスが事件経緯の話をはじめる。


「犯人は、自由に出入りできる立場があった」


「事件の発端はヴィクトリア・ヘイルへの強姦」


息を呑む音。


ヴィクトリアが目を伏せる。


「妊娠。認知拒否。堕胎の強要」


アレクシスの声は冷たい。


「犯人は彼女を守ろうとした」


拳が震える。


布が外される。

押収された巨大看板。


「屋上に設置されたこの看板は二重構造でした。」


https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/822139846367521722


アレクシスは指で裂け目を示す。


「ここの裂け目から、レオナルドの毛髪が検出された」


ざわめきが広がる。


「レオナルドはここを突き破った。本物の隣のビルの景色だと信じて」


ミレイアが息を呑む。


「遠近法は計算されていた。隣のビルに渡れるように見える構図」


視線がアレク・サンドルスへ向く。


「この看板の制作・設置を行ったのはあなただ」


アレクが崩れ落ちる。


「頼まれたんだ……」


「誰に」


沈黙。


目を閉じる。


ガルム警部補が証拠袋を掲げる。


「盗まれた警備室の拳銃。一発発射。弾道は真上」


アレクシスが続ける。


「殺意があれば水平に撃つ。これは威嚇」


チャールズ・ウィットモアが、重く口を開く。


「……拳銃を持ち出したのは犯人だ」


どよめき。


「私は止めなかった」


監督の声は低い。


「レオナルドは限界だった」


アレクシスはゆっくりと告げる。


「犯人は偽の手紙で屋上へ誘導し、拳銃で威嚇し、レオナルドが逃げる性格を知った上で、だまし絵を設置させた」


静寂。


「そして、計画通りレオナルドは逃げた。そして屋上から落ちた」


一歩、前へ。


「これは自殺ではない。逃走を計算に入れた殺人計画だ」


視線がドミニクを射抜く。


「ドミニク・ショウ。あなたが首謀者です」

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