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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
女王蜂

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第10話 女王蜂の巣

屋敷の大広間。

張り詰めた空気。


セルスが笑う。


冷たい笑み。


「じゃあ証拠を見せなさいよ」


エルナも続く。


「どこにも証拠なんてないわ」


「全部、あなたの推理でしょ?」


ざわめきが広がる。


確かに


凶器は見つかっていない。


ブレイブ警部補も腕を組む。


「どうする、名探偵」


沈黙。


オズワルドは動かない。


そして静かに言う。


「証拠ならある」


一歩、近づく。


「あなたたちが、持っている」


双子の表情がわずかに揺れる。


セルスとエルナ


「……は?」


オズワルド


「正確には」


「凶器は分解して持っている」


場がざわつく。


キャロライン


「分解……?」


オズワルドの目が鋭くなる。


「魔導圧縮投射機」


空気が凍る。


「小型化できる」


「隠せる」


そして指を向ける。

双子の髪を指さす。


「凶器はそこだ」


静寂。


誰も息をしない。


ブレイブ警部補が前に出る。


「……本当か?」


オズワルド


「やってみろ」


数秒。


重い沈黙。


ブレイブ警部補が命じる。


「失礼する」


双子の姉妹の髪を調べる。


最初は何もない。


だが――


指先が止まる。


「……何だこれは」


ざわめき。


髪の奥から。


金属の小片。


さらに。


小型の機構。


そして


毒針


挿絵(By みてみん)



大広間が騒然となる。


キャロライン


「髪の毛の中から……出てきた……」


ブレイブの声が低くなる。


「魔導圧縮投射機装置」


「姉妹が分解して髪の毛に隠していたのか」


双子の顔から血の気が引く。


オズワルドが言う。


静かに。


ゆっくりと。


「言っただろう」


一拍。


「女王蜂の巣は2つあった」


沈黙。


セルスが崩れる。


エルナが震える。


ブレイブが宣言する。


「セルス」


「エルナ」


「相続人の連続殺人の容疑で逮捕する」


警察が動く。


双子の姉妹が連行される。


その瞬間。


エルナが叫ぶ。


「遺産は私たちのものだった!」


セルスも叫ぶ。


「最初から計画してたのよ!」


空気が凍る。


キャロラインが固まる。


オズワルドが静かに言う。


「……やはりな」


ブレイブ警部補


「何のことだ」


オズワルド


「キャロラインの両親」


全員が振り向く。


「馬車の落下の事故」


静寂。


「事故じゃない」


キャロラインの瞳が揺れる。


「……え?」


オズワルド


「同じ手口だ。走っている馬に毒針を投射した。」


「仕組まれた死」


双子の姉妹が黙る。


それが答えだった。


キャロラインの手が震える。


ブレイブが低く言う。


「……それも調べ直す」


双子の姉妹が連れていかれる。


扉が閉まる。


静寂。


しばらくして。


吸血鬼弁護士ヴァン・クロウが言う。


「殺人犯により、双子の姉妹の相続権は失効します」


書類を確認する。


「残る相続人は二人」


視線が向く。


エリザベス

キャロライン


キャロラインが驚く。


「……私?」


エリザベスが静かに微笑む。


「ええ」


「あなたもベルヴェット家の血ですもの」


霧の夜。

長い陰謀が終わった。


オズワルドが窓の外を見る。

静かに呟く。


「女王蜂は二匹いた」


そして。


「だがその巣は壊れた」



双子の姉妹の逮捕により

『女王蜂』事件が解決した。

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