第11話 チェックメイト、女王蜂の終焉
ベルヴェット邸。
大広間。
人が去り、静けさだけが残る。
豪奢な空間。
だがどこか、冷たい。
かつて六人いた女性の相続人。
二人は死に。
二人は逮捕され。
残ったのは
エリザベス(長女)
キャロライン(遠縁の親戚)
吸血鬼弁護士ヴァン・クロウが書類を閉じる。
「これにて相続は確定です」
「エリザベス様が屋敷と財産の半分を」
「キャロライン様が残りの半分を相続されます」
キャロラインはまだ現実を受け止めきれない。
「……私が……半分も」
手を見る。
震えている。
エリザベスが穏やかに微笑む。
「ええ」
「あなたにはその資格があるわ」
少し間を置いて。
優しく言う。
「これからも……屋敷に遊びに来てね」
その言葉は柔らかい。
だがどこか
“血の重み”を含んでいた。
屋敷の外。
霧の夜。
ブレイブ警部補が双子の姉妹を連行する。
鎖の音。
セルスが笑う。
「さすがね……」
エルナも小さく笑う。
「でも遅かったわ」
オズワルドが静かに言う。
「遅くはない、遺産の相続は終わらせた」
ブレイブが低く告げる。
「連行する」
双子は霧の中へ消える。
静寂。
キャロラインがぽつりと呟く。
「……怖かった」
「でも……」
言葉が続かない。
オズワルドが横に立つ。
「女王蜂は巣の発展と維持のために」
霧を見つめたまま言う。
「他を蜂を殺す」
「自分が生きるためにな」
キャロライン
「……でも」
オズワルド
「これは巣じゃない」
一拍。
「ただの欲望だ」
沈黙。
■■■
星霧探偵事務所。
チェス盤。
駒が並ぶ。
オズワルドが一つ、駒を倒す。
♚(王)
次に。
♞(騎士)
そして。
すべての駒が崩れる。
静かに言う。
「チェックメイトだ」
キャロラインがそれを見つめる。
「……終わったんだね」
オズワルドは軽く笑う。
「いや」
一拍。
「こういうのはな」
「形を変えて続く」
窓の外。
霧の街。
まだ見えない“次の事件”が潜んでいる。
・支配と欲望
・偽りと本性
・血と継承
オズワルドは探偵ノートに書いた。
「弟子の探偵日記」
ページがめくられる。
第四事件女王蜂 解決。
霧都ヴァル・ロンドリア。
そのどこかでまた、新たな謎が生まれる。




