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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
女王蜂

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第8話 チェス盤にて推理


窓の外は濃い霧。

街の灯りが滲んでいる。


屋敷の室内。

静寂。


テーブルの上。

チェス盤


オズワルドが駒を並べる。


ゆっくりと。


一つずつ。


♚ キング

アレクサンダー・ベルヴェット(不審死)


倒される運命の駒。


♕クイーン

ヴィオラ (次女/毒死)

マルグリット(三女/ 毒死)


その駒に一瞬だけ触れる。


♖ ヴァン・クロウ(吸血鬼の弁護士)


♞ナイト

キャロライン(遠縁の親戚)

エリザベス(長女)

エルナ(双子)

セルス(双子)


四人の相続人。


静かに並ぶ。


そして


✚ ビジョップ

毒針(凶器)

■ ボーン

コウモリ(使い魔?)

□ ボーン

ソフィア(白猫 )


オズワルドが呟く。


「盤は整った」


キャロラインが息を呑む。


「……もう分かってるの?」


オズワルドは答えない。


ただ、駒を動かす。


■ボーン コウモリ


盤の上を滑らせる。


「まずこれ」


一拍。


「コウモリ=偽装」


パタン。


倒す。


乾いた音が響く。


「恐怖を植え付けるための演出」


キャロライン


「やっぱり……」


オズワルド、次に進む。

✚ ビショップを斜めに


「✚ 毒針=本体」


空気が張り詰める。


「無音」

「遠距離」

「即死」


キャロライン


「でも……凶器がない」


オズワルドの指が動く。


□ ソフィア(猫)


ゆっくりと駒を進める。


「だが問題は――」


指で軽く叩く。


「凶器が消える理由」


キャロライン


「……回収?」


オズワルド


「ああ」


「この猫が運んでる」


沈黙。


キャロラインの表情が固まる。


「じゃあ……犯人は」


オズワルド、さらに♞ナイトの駒を動かす。


♞ エリザベス

♞ エルナ

♞ セレス


三つの駒の周囲を、猫の駒が巡る。


「条件は揃ってる」

「屋敷構造を知り」

「壁の空洞と射線を理解し」

「猫を使役できる」


キャロライン


「犯人は、……この中にいる」


オズワルドは頷く。


そして。


ゆっくりと駒を二つ並べる。


影が重なるように。


「だが」


一拍。


「それだけじゃ足りない」


キャロライン


「え……?」


オズワルドの指が、同時に二つの位置を叩く。


コツン、コツン。


「針は“同時に”撃たれている」


空気が凍る。


「ズレがない」

「誤差がない」


「つまり」


ゆっくりと。


「女王の巣は2つあった。」


キャロライン、息を呑む。


「二人……?」


オズワルドは答えない。


ただ、盤面全体を見る。


すべての駒。


すべての配置。


そして。


盤の中央を叩く。


♕クイーン を倒した


コツン。


「全部、繋がった」


沈黙。


オズワルド、立ち上がる。


椅子が静かに引かれる。


コートを手に取る。


「行こう」


扉へ向かう。


途中で止まり。


振り返る。


その目は、もう真実を見ている。


「決着つける」


キャロライン、息を呑む。


霧の夜。


女王蜂を巡る殺人劇は、終幕へ。


「弟子は、師匠の領域へ踏み込む」

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