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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
女王蜂

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第5話 第二の噛み跡と猫

重苦しい空気のまま、夜が訪れる。


ベルヴェット邸。


蝋燭の灯りだけが、廊下を照らしている。


誰もが口数を減らしていた。


“次は誰か”


その予感が、全員の中にある。


その時。


悲鳴。


「いやああああ!!」


再び。


全員が走る。


場所は


マルグリットの部屋。


扉は閉まっている。


ブレイブ警部補が即座に動く。


「下がれ」


ドンッ!!ドンッ!!


扉を破る。


部屋の中。


静寂。


そして。


床に倒れているマルグリット。


動かない。


キャロラインが息を呑む。


「……また……」


オズワルドが近づく。


首元を見る。


同じ傷


● ●二つの穴。


「……やっぱりか」


ブレイブが低く言う。


「毒反応も同じだろう」


窓を見る。

やはり開いている


ブレイブ警部補


「また密室か……」


キャロラインが震える声で言う。


「コウモリ……?」


その瞬間。


バサバサッ!!


天井から黒い影が舞う。


コウモリ


まただ。


同じ演出。

同じ恐怖。


オズワルドはそれを見上げながら、呟く。


「……徹底してるな」


そして。


ふと、視線が動く。


床の端。


カーテンの影。


“白い動物”


キャロラインも気づく。


「……あ」


白猫 ソフィア


静かにそこにいる。


その口には


“何か”


細く、光るもの。


一瞬。


猫とキャロラインの目が合う。


次の瞬間。


スッ――


消える。


窓へ。


一瞬で飛び出す。


キャロライン


「今の……!」


オズワルドの目が鋭くなる。


「見たか」


キャロライン


「うん……何か咥えてた……!」


オズワルド、確信する。


「今の……証拠だ」


ブレイブが振り向く。


「何だと?」


オズワルド


「凶器が消える理由だ」


コウモリが窓から去る。


静寂。


だが何かが動き始めていた。



■■■



屋敷の階段。


夜。


キャロライン一人は考え込んでいる。


「猫……証拠……」


コツ。


小さな足音。


振り向く。


そこにいる。


白猫 ソフィア


じっとキャロラインを見ている。


キャロライン


「……あなた……」


一歩、近づく。


その瞬間。


シャッ!!


猫が跳ぶ。


「きゃっ!!」


腕に鋭い痛み。


引っかかれる。


バランスを崩す。


階段から落ちそうになる。


「……っ!」


間一髪、手すりを掴む。


猫はもういない。


消えている。


キャロライン、震える。


「……狙われてる……!」


その時。


コツ、コツ。


ゆっくりとした足音。


現れる。


エリザベスが優雅に微笑む。


「あなた大丈夫?」


キャロライン


「猫が……!」


エリザベスは小さく息をつく。


そして。


くすりと笑う。


「危ない猫ですわ」


その言葉。


優しい。


だが


どこか、冷たい。


オズワルドの言葉が蘇る。


「使い魔」


霧の屋敷。


猫は、ただの猫ではない。

そして。

誰かの意思で動いている。

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