第8話 大演説、 仮面の告発
怪人カフェ
ナイトレクイエム。
封鎖された店内。
照明は落とされ、
中央のテーブルだけが照らされている。
そこに
全員が集められていた。
・店長 ノスフェル(吸血鬼)
・ホール ルクス(天使系怪人)
・厨房 グリム(影人間)
・常連の怪人 ダンカン(ゴーレム)
・ホール キャロライン(人間)
そして。
記憶喪失のリュカ 怪人(種族不明)
震えながら、端に立っている。
沈黙。
中央に全員が集められている。
店長ノスフェル。
ルクス。
グリム。
ダンカン。
キャロライン。
ブレイブ。
そして――
リュカ。
俯き、震えている。
オズワルドが前に出る。
「この事件は単純な毒殺じゃない」
静かな声。
「夫婦は“いい客”だった」
「だが――違う」
歩き出す。
「人を選んでいた」
「弱い奴を」
「孤独な奴を」
「そして消していた」
ざわめき。
「消えた客」
「戻ってきた怪人」
「全部繋がってる」
一拍。
「だが――」
「選んだ相手を間違えた」
指を向けるリュカへと
「犯人はあなただ」
場が凍る。
リュカが後ずさる。
「違う……」
その時。
ブレイブが一歩前に出る。
「いや」
低い声。
「証拠は出ている」
全員が振り向く。
ブレイブは資料を掲げる。
「被害者の体内から検出された毒物」
「そして――」
リュカを見る。
「お前の服に付着していたシミ」
キャロラインがハッとする。
あのとき。
リュカの服。
胸元に残っていた“黒ずんだ染み”。
ブレイブ
「成分が一致した」
沈黙。
「言い逃れはできない」
リュカの肩が震える。
崩れ落ちる。
「……あいつらは……」
震える声。
「笑ってた……」
「人を……モノみたいに……」
キャロラインが目を伏せる。
オズワルドは静かに言う。
「お前は被害者だ」
「拘束され」
「壊され」
「逃げた」
「そして戻ってきた」
「復讐のために」
一拍。
オズワルドの目が変わる。
「だが」
「それだけじゃない」
ポケットから一枚の紙を出す。
ブレイブが続ける。
「被害者の自宅から出た資料だ」
写真。
古い新聞記事。
「5年前の失踪事件」
子供の顔写真。
キャロライン
「……この子……」
オズワルドが静かに言う。
「リュカじゃない」
一歩近づく。
「あなたの本当の名前は」
「オリオンだ」
場が凍りつく。
リュカの目が見開かれる。
「……っ……」
「……やめろ……」
オズワルド
「5年前」
「誘拐された子供」
「それがお前だ」
手が震える。
リュカいや。
オリオンの瞳に涙が浮かぶ。
「俺は……」
「俺は……!」
崩れ落ちる。
「名前なんて……もう……」
「ないと思ってた……」
完全な沈黙。
キャロラインが涙ぐむ。
ブレイブは静かに言う。
「……事情は聞く」
「だが」
「罪は消えない」
オリオンは動かない。
ただ。
泣いている。
オズワルドは背を向ける。
「……遅すぎたな」
低く。
「殺人は重罪だ」
霧の外。
静かに風が吹く。
名前を取り戻した少年は
同時に罪も背負った。




