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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
仮面夫婦

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第5話 カフェの裏構造

霧都の夜。怪人喫茶

ナイトレクイエムは営業停止中。


照明は落とされ、

店内は静まり返っている。


オズワルドは一人、店内を歩いていた。


「……綺麗すぎるな」


床。


テーブル。


厨房。


どこも整いすぎている。


「こういう店ほど……裏がある」


キャロラインが後ろから来る。


「勝手に調べて大丈夫なの?」


「ブレイブが許可出してる」


軽く手を振る。


「“調べろ”ってさ」


二人は厨房へ向かう。


■厨房


グリムが無言で立っている。


「……何か用か」


オズワルド


「ちょっと見せてくれ」


調理台。


食材。


棚。


すべて正常。


「毒は仕込めないな」


グリム


「言っただろう」


「料理に異常はない」


オズワルドは次に動線を見る。


「ホール→厨房→裏口」


「……近すぎる」


キャロライン


「え?」


「普通の店なら分ける」


「でもここは“流れが一直線”だ」


視線を動かす。


■裏口


ドア。


鍵。


外へ続く通路。


「人を運ぶには都合がいい」


キャロラインが小さく震える。


「やっぱり……」


そのとき。


「……それ以上は」


後ろから声。


店長ノスフェル。


静かに立っている。


「従業員以外の立ち入りはご遠慮ください」


オズワルド、振り向く。


「ずいぶん都合のいい作りだな」


「まるで“人を流すための店”だ」


一瞬。


空気が張り詰める。


ノスフェルは微笑む。


「想像力が豊かですね」


「当店はただの飲食店です」


オズワルド


「“特別メニュー”も?」


ノスフェルの目がわずかに細くなる。


「……あれは」


「開発担当の提案です」


「開発担当?」


「ええ」


「メニュー開発者がいます」


キャロライン


「そんな人いたんですか?」


「普段は店には出ません」


オズワルドの目が光る。


「名前は?」


「……マイケル」


「外部の人間です」


沈黙。


オズワルドはゆっくりと笑う。


「なるほどな」


キャロライン


「なに?」


「“特別メニュー”」


「裏口に人が動く」


「消える客」


指で空中に線を描く。


「全部つながってる」


「店の中じゃない」


「“外”と繋がってる」


そのとき。


ホールの方からブレイブの声。


「おい」


「来い」


場面転換。


ブレイブが資料を見せる。


「失踪者リストだ」


並ぶ名前。


その横に。


小さな共通点。


「ナイトレクイエム来店履歴」


キャロライン


「やっぱり……この店……」


ブレイブ


「断定はまだだ」


オズワルドは静かに言う。


「いや」


「この店は“場所”だ」


「使われてる」


振り返る。


暗い店内。


「この店を使ってるのは……」


「“外の人間”か?」


霧が濃くなる。


怪人ふれあい喫茶

ナイトレクイエム。


それは店ではない。

“通過点”だった。

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