第4話 怪人たちの証言、夫婦の裏側
怪人喫茶 ナイトレクイエム。
店内は封鎖されている。
いつもの穏やかな空気は消え、
重たい沈黙が広がっていた。
ブレイブ警部補が腕を組む。
「順番に聞く」
低い声。
「嘘はつくな」
■被害者
■夫 エドワード・グレイ(豚人)
穏やかで優しい紳士。
常連客。
■妻 マリア・グレイ(豚人)
献身的な妻。いつも笑顔。
■店長 ノスフェル(吸血鬼)
静かに答える。
「……良いお客様でした」
「トラブルもなく、礼儀正しい」
ブレイブ
「長時間滞在していたな」
「ええ。ですが、当店では珍しくありません」
オズワルドが横から聞く。
「他の客とよく話してたよな」
一瞬だけ、間。
「……交流を楽しまれていたのでしょう」
“何かを知っているが言わない”
■厨房 グリム(影人間)
暗がりから現れる。
「……料理に異常はない」
低く、短い。
「同じものを他の客も食べている」
ブレイブ
「毒は?」
「使っていない」
オズワルド
「誰が運んだ?」
「……ホールだ」
影が揺れる。
“全て見ているはずの存在”
■ホール ルクス(天使系怪人)
明るい声。
「とっても優しいお客様でした!」
「新人のキャロラインにもよく声をかけてくれて」
キャロライン、少し俯く。
「……はい。優しかったです」
ルクスは続ける。
「でもちょっと不思議で……」
ブレイブ
「何がだ」
「いつも“同じ人”を見てるんです」
「というか……」
「“選んでる”感じ」
空気が変わる。
■ホール キャロライン
視線が集まる。
少し迷いながら話す。
「……昨日から気になってました」
「店員の動きとか……お客さんを……」
言葉を探す。
「観察してる感じで」
「普通じゃないなって……」
オズワルドが小さく頷く。
“唯一の違和感側の証言”
■常連の怪人 ダンカン(ゴーレム)
低い声で言う。
「あの夫婦……」
「人を選んでた」
ブレイブ
「どういう意味だ」
「話しかける相手が決まってる」
「いつも――」
「“一人で来てる客”」
沈黙。
オズワルドの目が鋭くなる。
「……なるほどな」
ブレイブ
「何がだ」
オズワルドは答えない。
ただ、テーブルを見つめる。
夫婦が座っていた席。
空になった皿。
血の跡。
そして。
静かに呟く。
「いい客、ねぇ……」
少し間を置いて。
「違うだろ」
顔を上げる。
「“獲物を選ぶ客”だ」
キャロラインが息を呑む。
ブレイブ警部補
「つまり……」
オズワルド
「……ああ」
「何かヤバイことをしている」
霧の街。
優しい笑顔の裏にあったのは闇だった。




