第7話 オズワルドのチェス盤にて推理
星霧探偵事務所。
静かな夜。
机の上に置かれたチェス盤。
オズワルドは一人、座っている。
キャロラインが見守る中、
ゆっくりと駒を並べる。
「……師匠なら」
小さく呟く。
「こうする」
駒が配置される。
♚ キング グレゴール
♕ クイーン キャロライン
♞ ナイト オズワルド
♖ ルーク ブレイブ
✚ ビショップ ヴィクター
■ ボーン エミリー
■ ボーン トーマス
オズワルドはナイトを指で弾く。
コト……
「まず前提」
静かに言う。
「人形は動いてない」
キャロライン
「え……?」
オズワルド
「動かされてる」
駒を動かす。
✚ビショップ(ヴィクター)を横へ。
「価値を知ってるのはコイツ」
次に■ポーン(トーマス)。
前へ。
「地下を自由に使えるのはコイツ」
さらに□ポーン(エミリー)。
小さく動かす。
「でもこの子は無理だ」
「怖がってるし、力もない」
♖ルーク(ブレイブ)を前に出す。
「警察は外から来た」
「関係ない」
♚キング(グレゴール)はそのまま。
「怯えてるだけの被害者」
♞ ナイト(自分)を動かす。
「残るは――」
✚ビショップを指でつつく。
「コイツだ」
キャロライン
「ヴィクター……?」
オズワルドは頷く。
さらに駒を進める。
「地下の構造を理解できる」
「人形の価値を知ってる」
「そして“欲しい理由”がある」
一手。
「魔導人形」
もう一手。
「数千万円」
キャロラインは息を呑む。
オズワルドは最後に言う。
「人形を動かすトリックは」
・地下のワイヤー
・滑車
・磁石
「全部揃ってる」
静寂。
そして。
ゆっくりと♞ ナイトを動かす。
コト……
チェックメイトの位置。
オズワルドは笑う。
「なるほど」
「そういうことか」
キャロライン
「……犯人、分かったの?」
オズワルドは立ち上がる。
目に自信。
「うん」
「全部、繋がった」
そして扉へ向かう。
「行こう」
振り返る。
「決着つける」
霧の夜。
弟子はついに、師匠の領域へと踏み込む。




