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霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
人形屋敷の呪い

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第2話 呪われた屋敷

(グレゴールの語り)


霧の濃い夜だった。


丘の上の屋敷は、まるで息を潜めているように静まり返っていた。


その沈黙を破ったのは


「カタ……」


小さな音。


グレゴールは廊下の奥を見た。


誰もいないはずの場所。


だが。


人形が一体。


位置を変えていた。


「……まただ」


背筋が冷たくなる。


最初は気のせいだと思った。


だが違う。


夜になるたびに起きる。


・人形が動く

・廊下を歩く

・窓からこちらを見ている


そしてついに。


怪我人が出た。


天井近くに飾られていた人形が落ち、

見回りの男の頭を直撃したのだ。


「これは……普通じゃない」


グレゴールは確信した。


この屋敷には


何かがいる。



そして現在。


星霧探偵事務所から来た二人。


オズワルドとキャロライン。


グレゴールはランプを手に持ち、


ゆっくりと口を開いた。


「……あんたたちに」


「この屋敷の人間を紹介しておこう」


薄暗い廊下。


人形たちが見つめる中、


グレゴールの声が響く。


「まずは……あの男だ」


奥の部屋。


そこにいたのは、背の高い紳士。


静かに人形を眺めている。


「ヴィクター・ラング」


「骨董商だ」


ヴィクターは振り返り、穏やかに微笑む。


「これは素晴らしい」


「これほどの人形が残っているとはね」


グレゴールは低く言う。


「最近、この屋敷に出入りしている」


「人形を買い取りたいらしいが……」


視線を逸らす。


「俺は気に入らん」


「次はあの子だ」


廊下の端。


小さな影。


金髪の少女が、怯えた目でこちらを見ている。


「エミリー」


「掃除を手伝ってる子だ」


エミリーは小さく頭を下げる。


「……こんばんは」


だがすぐに人形から目を逸らす。


「この子はな……」


グレゴールが言う。


「人形を異常に怖がる」


エミリーは震える声で言う。


「だって……見てるんです」


「ずっと……」


キャロラインは息を呑む。


「最後はあの男だ」


地下へ続く扉の前。


腕を組んだ大柄な男。


無言で立っている。


「トーマス」


「修理職人だ」


トーマスは一瞥だけして、何も言わない。


グレゴールが続ける。


「地下の修理を頼んでる」


「古い屋敷だからな」


オズワルドが聞く。


「地下?」


グレゴールは頷く。


「昔の工房がある」


「今は使われていないが……」


少しだけ声が低くなる。


「妙な音がすることがある」


紹介が終わる。


廊下には再び静寂が戻る。


人形たちが並ぶ。


まるで全員の会話を


聞いていたかのように。


キャロラインは小さく言う。


「……やっぱり怖いです」


オズワルドは笑う。


「いいじゃん」


「役者は揃ってる」


グレゴールは顔をしかめる。


「何が言いたい」


オズワルドは人形を一体持ち上げる。


じっと見る。


そして言う。


「この屋敷」


「面白いことになってるな」


キャロライン


「面白くないです!」


その瞬間。


カタ……


また音がした。


全員が振り向く。


廊下の奥。


人形が一体。


ゆっくりと首を動かした。


ギィ……


キャロライン


「きゃああ!!」


グレゴール


「ほら見ろ!!」


オズワルドは目を細める。


そして小さく笑った。


「……なるほど」

意味(この屋敷は、マジでやばそう)


霧の夜。

人形屋敷の異変は確かに“存在していた”。

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