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コンピテンス4  作者: G.j.jijo 沼里泰行
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葛藤5



大介は床のニスで少し足が取られそうになりながら力強く階段を踏みしめて上がっていった。そして引き戸の前に立ち、一気に大きく開けると、他のメンバーの視線を一身に浴びる。そこで出来るだけ大きな声で、



「よう、みんな待たせたな。2人を連れて来た。紹介する霧島洋子と大島説子だ。よろしく頼む」



「大介、紹介をしてくれ」



と実が口火を切った。



「わかった、俺の隣が霧島洋子。夜霧の霧に島は普通に離れ小島の島。洋子は太平洋の洋に子供の子。その隣が大島説子。伊豆大島の大島に説得の説にこっちも普通の子。2人とも俺の中学時代の同級生さ、仲良くしてほしい。じゃあ、洋子一言もらおうか」



しかし、すぐに顔をあげられないしぐさの彼女を見てユキチは、



「洋子さん」



ときっかけを与えると、その言葉につられて自然と顔をあげて、



「ありがとうございます、みなさんはじめまして。私は大介と同じ城北中学出身で今都立八代に通う霧島洋子といいます。彼とは中学で3年間同じクラスで一番仲が良かったんです。音楽を聴くのは好きですが、演奏する立場は今まで考えたことがなかったです。大介に誘われて勇気を出してここまで来ました。よろしくお願いします」



「へぇ〜八代か俺たちより頭がいいじゃん」



ととぼけた顔の謙二。



「馬鹿、謙二は黙ってて」



と横でユカが目を吊り上げる。



「よろしく」



とユキチと実が声を合わせる。



反対に説子は周りの視線に全く臆するすることもなく、



「大島説子です。洋子は私の一番の親友です、だからついてきました。カラオケでみんなを盛り上がるのは大好きだけど、真剣に聴かれたら辛いかもしれない。邪魔にならないようにしますので仲良くしてください」



とペコリと頭を下げた。



そこで実が立ち上がり、



「2人ともようこそ、僕がDEAD PEOPLEのバンドリーダーの松本実です。この部屋は9畳あるんだけど、さすがに7人も集まると狭く感じてしまう。僕らは今までハードロックのコピーばかりやってきたけど、これからはオリジナルもやっていこうと考えているんだ。だから、君たちを迎えてなにかしら変化できたら嬉しい。気づいたことがあったらなんでも相談して欲しい。みんなのやる気を伸ばすことを最優先にしてこれからやっていきたいと考えている」



「あら、松本実さんってかっこいい」



と説子が場の雰囲気を崩すと、



揚げ足をとるように謙二がつられて、


「赤のボーダーが眩しい」



「あら、そんなこといったって何も出ないわよ」と説子がクギを刺す。



ユキチはどうしても洋子に関心があるのか、



「洋子さんはどんな音楽をやりたいの」



「ロックがいい」と少し力強く。



「具体的には?」



というユカの質問に、



「B'zが夢、でも説子と2人でうたうと血の気が引く」



「なるほどね、ギターとヴォーカルのユニットとしては画期的なバンドカラーだと思う。だけど女では難しいよ」



というユカの意見に、ユキチも付け加える、



「B'zは無理かもしれないけど、女4人に男3人のロック・グループならなんだってできる。今までにない面白いカラーが出せるかもしれねえ。やりたい楽器とか、あるのか?」



洋子はボソッと、



「子供の頃ピアノを習ったけど1年で辞めちゃった」



説子は、



「うちは共同住宅だからピアノなんて到底無理。小学生低学年のときフルートを少しかじったぐらい」



「う〜ん、今後のこともあるからどんな編成で何を演奏するのか、よく考えないといけねえな」



と実が1人で考え込んでしまった。





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