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助けたい!

ちょっと短いですが、区切りがよいのでこれで投稿します。



「助けてください、出血多量で死に掛けてるんです、お願いします、助けてください!」


 ロノアは急いで背負っていたシルビアを降ろして寝かせる。


「これは酷い・・・最善を尽くしましょう」


 神官はシルビアの額に手を当ててヒールを唱える。





「傷口は塞がってますが手足の欠損で体力が著しく落ちているので、私のヒールではこれ以上の回復は無理です、増血剤を投与しましたがこれも体力が落ちているので効果が薄いようです、このままでは・・・・」

「なにか、何か方法は無いのですか?」

「司祭様がいらっしゃれば高位の治癒魔法を掛けていただけるのですが、今朝から北のゴブリン討伐に行ってますので、帰るのは明日か明後日になるかと・・・」


 神官は首を振り手の施しようが無いと俯いてしまった。

 決して神官のレベルが低い訳ではないのだろう、救護テントの中には先ほどの冒険者達が横たえられている、最初に見たときはかなりの重傷に見えたが今は容態が落ち着いたのか血色も戻り安静にしている。

 周りに居る神官たちは治療による魔力の消耗のためか、かなり疲労していてどちらが患者か分からないほどだ。

 なのでシルビアの治療に手を抜いたなどということは無い、四肢が2つも欠損して即時治療が施せなかったにもかかわらず、辛うじてとはいえまだ生きているだけシルビアは持っているほうだと言える、神官たちの献身的な治癒魔法がなければとうに死んでいるはずだ。 普通の人間ならばショック死しているレベルの怪我なのだから。


 だから、諦めるのかと言えばそういうわけではない、目まぐるしく思考を働かせていた。

 北のゴブリン退治に行っている司祭をここへ引っ張ってくるか、それをすればゴブリン退治で被害が出たときに対処できない、実際こんなことが無ければ人が死ぬ可能性が高いのはゴブリン退治に出ている冒険者だろう、だからこそ神殿の高位司祭が出向いているのだから、ではシルビアを北の森まで運ぶのかというとそれも無理だ、森までならば転移魔法で移動できるだろうが、そこから先は担いで移動するのか? 戦闘中だったら、戦闘に巻き込まれたら・・・などと考えていたらか細い声が聞こえた。


「こ、こは・・・・はぁ、はぁ、たすかった・・・の?」


 シルビアが目をうっすらと開けて回りを見ようとしている、喘ぐような息遣いと共に声を絞り出して問いかけてきた。


「ああ、大丈夫だ、もう怖いダンジョンじゃない、ちゃんと外に出てきたんだよ」


 シルビアの頬に手を当てて言い聞かせるように、でも驚かせないように声をひそめて話しかける。


「あ、ああ、良かった・・・串焼きさん が助けてくれたの? ありがとう・・・」


 私の方を見て誰だか分かったのか、ホッとした顔をして囁くように礼を言う。


「ああ、お腹、すいたな・・・・また串焼き、食べたいな・・・ちょっと 眠い・・・・」


 シルビアは途切れ途切れに言葉を繋いで、串焼きの味を思い出したのかちょっとだけ微笑むと、うっすらと開いていた目を閉じた。


「寝たらダメだよ、串焼き食べるんだろ! また沢山買ってやるから、おきて一緒に食べよう!」


 涙が溢れ目の前が歪む、シルビアの儚く笑った顔が見えなくなる。


「死なせない、まだ、知り合ったばかりで、名前も名乗ってないじゃないか・・・まだまだこれからだろう! 絶対に死なせない!」


 私の治癒魔法じゃ話にならない、たった1つだけ救う方法があるとすれば、私が救われた方法だけだ。

 今の私では無理かもしれない、だが、たった1人の少女も救えないで何が錬金術師か、何が冒険者か、この世界は英雄に成る為の世界だ、それならば私の命を掛けてでもシルビアを助けよう、シルビアの英雄になれればそれでいい、命を掛けても惜しくないと思えた瞬間、目の前に黄金色に輝くゲージが見えた。


 英雄的な行動をするとき、引くことの出来ない場面のとき、不可能に挑戦するとき、必ず成功させなくてはならないとき、このヒロイックポイントが使用できる条件だ。

 行動に対して能力が追いつかないとき、このポイントはGMゲームマスターの承認のもと行使できる、足りない部分を補いプレイヤーを英雄足らしめる。


 目を瞑り深呼吸して魔力を活性化させる、胸の奥にある錬金術の秘奥ともいえる生体金属に魔力を送り込む、そして魔力を紡いで魔方陣を形成する。


 生体金属を1から精製するだけの能力も時間も足りないので、胸の生体金属を削り、それを複製して結晶化させ体外に取り出す。


 それは小さくそれでも力強く輝く、雪の結晶のように複雑な模様が描かれた、私の分身である生体金属『魔核』だ。


 魔核をゆっくりとシルビアの胸に落とし融合させる、魔核は私の魔核と呼応してゆっくりと力強く鼓動し魔力を循環させる。


 心臓が鼓動を再開して、シルビアの顔に血の気が戻ってくる。


 魔力循環を始めた魔核は第二の心臓となり生命活動の補助を始めるが、このままでは私が送り込んでいる魔力が尽きた段階でやはり死亡してしまうので、自身を代償に魔力を更に送り込み失われた四肢を念想し発現させる。


 死者であるならば普通に錬成して四肢を作れば良いのだが、生者には魔力抵抗がある、これは良くも悪くも他者から送られてくる魔力(魔法)に対して条件反射で行われる。


 ただの攻撃ならば抵抗があっても構いはしない、回復魔法であれば抵抗不可なので無条件に発現する、しかし、四肢を錬成となれば微細なる魔力操作をしなくてはまともに機能するものを作ることができないだろう。


 なので私が取った行動は、私の魔核をシルビアに分譲して私の魔力を使ってシルビアの魔核が、自分の四肢を錬成するのだ。


 複雑な魔力操作、幾重にも重なる錬成陣、自身を削る莫大な魔力でテントは光の渦に飲み込まれている、まるでそこに太陽が現れたかのように。


 そして激しくも優しい光が静かに消えて行き、その中心にはどこにも怪我の無い少女と満足げに笑みを浮かべて倒れている少年がいた。




お読みいただきありがとうございます。


シルビアは生還しました! 白紙シートは渡さずにすみました。

一瞬、手足金属で・・・・とか思いましたが女の子にそれはないのでちゃんと生身です。


次回は今日か明日に投稿いたします。

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