魔法使い視点7
魔法使い視点です。
私は森にいた。
あの後、夜伽を命じられたが、もちろん経験などなく、失敗して屋敷を叩き出された。
侍女の一人に、「たまに貴女のような子もいるわ。」と言われた。
深夜の街は人気が無く、その静けさに恐怖さえ覚えた。
目的地も無く歩く私の足取りは重い。
端から見れば、まるで浮浪者のようだ。
気が付けば、私は町を出ようとしていた。
門番はいない。
本来見張りがいるが、夜の見張りはまともに行われていない。
私は重い足取りで森へ向かう。
ただ人がいない場所を求めた結果、行先が森になった。
この辺りにいる魔物に夜行性のモノはいない。
魔法の使えない今の私にとって、それは救いとなる。
時間を掛けてゆっくりと森へ向かう。
辿り着いた夜の森は、私が思うより綺麗だった。
空気中を漂う魔力の素、魔素が月明かりに照らされて、天然のランプになっていた。
この間の騒動で踏み鳴らされた獣道を歩み、広場に到着する。
ここなら誰もいない。
そう思っていたが、私の前に、あのゴブリンが現れた。
せっかく誰もいないと思ったのに、領主の所から叩き出され逃げてきたのに、私はこのゴブリンに捕まって子供を産むだけの存在になるのだ。
そう思うと、重い足でここまで来たのが馬鹿みたいだ。
魔法が使えれば、倒す事はできなくても逃げるための足止めくらいは出来ただろう。
魔法が使えない今では、力のない子供だ。
一か八か、襲いかかってきたときに、一撃を入れて逃げよう。
そう決意し、杖をゴブリンに向ける。




