魔法使い視点2
魔法使い視点です。
街まで逃げる間、生き物に遭遇することはなかった。
街に駆け込むと、何事かと門番が近づいてきた。
私は森で遭遇したゴブリンのことを話し、討伐隊を出してほしいと頼むと、門番は怪訝そうな表情をして、周りにいた冒険者が笑いだした。
「ニッセさんが負けるなんてありえねぇよ。そんなゴブリンがいるなら見てみたいもんだ。大方護衛の依頼に失敗するのが怖くて逃げてきたんだろう。」
私はその言葉に対して何も言えなかった。
もしもニッセさんのような有名な人が言えば、信憑性は増して、討伐隊は出るだろう。
しかし、私は全く無名の新人だ。どれだけ叫ぼうと、誰も耳を傾けてくれない。
でも、意外なとこから救いの手は現れた。
「何の騒ぎだ。」
私を取り囲んでいた人だかりの外から声が聞こえた。
そこにいたのは、この街の領主の男爵だった。
歩く度に揺れる腹をした男爵が近づいてくるのを見ると、私を笑った男が愛想笑いをしながら近づいていき、今までの経緯を伝える。
すると、男爵の顔はみるみる青ざめていく。
「馬鹿者! すぐに討伐隊と救援隊を出さんか!」
その叫び声に、全員が眼を丸くする。
この男爵のことだから、この事をネタにして、依頼失敗という名目でギルドから除外し、私を奴隷の身分に落とすと思っていた。
しかし、顔を青くして護衛たちに唾を飛ばしながら指示を出している。
「あ、あの、男爵様。どうなされたのですか?」
私を笑った男が問い掛けると、青い顔のまま歯をならしながら太った身体を震わしている。
「こ、このガキに護衛を依頼したのは、国王陛下のご友人であり、王宮勤めをされておるゲメナ一等秘書官様だぞ!」
その言葉に、全員が驚いている。
秘書官といえば、王宮勤めをする者の補佐であり、一等秘書官となれば、その地位は大臣の一つ下であり、上から数えて三番目にあたる。
さらに、国王陛下のご友人となれば、その身に怪我一つ付けただけで首が飛びかねない。
「えぇい、貴様らもさっさと森へ向かわんか! もしもゲメナ様が怪我を負われたとなれば!」
そう言うと、男爵は自分の首が跳ねられる未来を想像し、泡を吹いて倒れてしまった。
それを見た冒険者たちは、急いで討伐隊と救援隊の結成に取りかかった。
気付いたらPV1000を超えてました。
ありがとうございます。




