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狼男を追いかけろ


 ムラサメはリムジンの奥の方で、激しい音を耳にした。


 あの野郎、もしかして自分の仲間を殺しやがったのか⁉


 ムラサメは察した。オンキは捕まった自身の仲間を役立たずだと見限り、処分したのだと。その後、ムラサメは急いで奥に向かい、オレムたちがいる部屋を見た。


「おっと、少々暴れすぎたようだねぇ」


 部屋の中にいたオンキは、口の周りにべったりと赤い血を付け、にやりと不気味な笑みを浮かべ、ムラサメの方を見た。ムラサメはオンキを見て気持ち悪いと思い、視線を下に移動させた。そこには、ズタズタにされた人肉らしき物体が転がっていた。


「えげつねーな。自分の仲間をこんなにしちゃってよー」


「役立たずの成れの果てだ。弱ければ死ぬ。これが基本的な、自然のルールだ」


「裏ギルドが律儀にルールを守るなよ。犯罪行為している分際でよー」


「はっ、トークが好きな猫ちゃんだねぇ。それじゃあ今度は、お前がこーなる番だ!」


 と言って、オンキは風の魔力を発し、周囲に風の刃を回しながらムラサメに近付いた。ムラサメはすぐにネコノテストレートを放ち、オンキを車の外に吹き飛ばした。


「がはっ!」


 オンキは痛々しい声を発しながら窓ガラスを突き破り、外に吹き飛んだ。ムラサメはやりすぎたと思いつつ、オンキを折って外に飛び出した。


「やりやがったなメス猫!」


 吹き飛ばされた後、すでに態勢を整えていたオンキは、ムラサメに向かって右手を突き出していた。何かすると察したムラサメはすぐに回避の姿勢になったが、その前にオンキは右手から刃のような形の風を発し、攻撃をした。


「死ねぇ!」


 刃のような形の風はムラサメに向かって勢い良く伸び、ムラサメの左肩を貫いた。


「ガグァッ!」


 攻撃を受けたムラサメは悲鳴を上げ、その場に転がった。


「チッ、心臓を狙って出したのに。避けやがったな」


「そう簡単に死んでたまるかよ」


 ムラサメは魔力で左肩を治療しつつ、何とか立ち上がった。苦しそうな表情を浮かべるムラサメを見て、オンキは笑みを浮かべた。


「お前は未熟な戦士だな。魔力を使った治療に慣れていないねぇ!」


「それがどうしたこの野郎!」


「治療される前に殺せる確率が、ぐっと上がるってことだよォ!」


 と言って、オンキは無数の風の刃を放った。ムラサメは息を吐きつつ、風の刃の動きを見てかわしていった。


「二度目の攻撃は意味ないってか?」


「おしゃべりが好きなのはお前の方じゃねーか。余裕のつもりなら、そのまま余裕のつもりでいろ」


 ムラサメは地面を強く蹴り、上空からオンキに攻撃を仕掛けた。オンキはムラサメを見て、右腕を上に上げた。


「空中に飛び出したら大変だよ? このまま真っ二つに切り裂いてやるぜぇ!」


 オンキは叫び声をあげ、右手の爪に大量の魔力を注いだ。すると、右手の爪が勢い良く伸び、一本の剣のようになった。


「これで切り裂いてやる!」


「きたねー爪で作った質の悪い剣で俺を斬れるかどうか、試してみろよ!」


 ムラサメは右手を前に出し、巨大なネコノテストレートを放った。それと同時に、オンキは右腕を振り下ろした。巨大なネコノテストレートはオンキに向かって飛んで行ったが、届く前にオンキが放った右手の爪がネコノテストレートを切り裂いた。


 これがあの猫の全力か。大したことないねぇ。


 真っ二つにされて消滅するネコノテストレートを見て、オンキは勝利を確信したように笑った。だが、オンキの笑みは消えた。ネコノテストレートを消すことに成功したが、ムラサメにダメージはなかったのだ。


「な……何故……」


「俺の策にはまったな。俺は逃げるためにネコノテストレートを放ったんだよ」


「逃げるため?」


 返事を聞いたオンキは察した。大きくて威力のあるネコノテストレートを放った理由は、技を出した際の衝撃で後ろに下がるためだと。


「くくく……下がるために大技を使ったのか。ダメージはないけど、無駄な魔力を使っちゃったねぇ」


「お互い様だろ」


 ムラサメは笑みを崩さずこう言った。この言葉に対し、オンキは反論する言葉を見つけることはできなかった。あの一撃を使うために、それなりに魔力を使ったからだ。


「魔力は使ったが、まだお前を殺せるほどの体力と魔力はあるんだよ? その余裕の笑み、崩してやるよ!」


「その前に、もう一つの逃げる理由を教えてやるよ」


「もう一つ?」


 この言葉を聞いたオンキは、疑問に思った。その直後、鋭いガラスがオンキの右腕に深々と突き刺さった。


「があっ!」


「ナイスタイミングだ、リミス」


「もう、外に飛び出すなら静かに出なさいよ。窓ガラスが粉々になってるじゃない」


 リムジンから姿を見せるリミスを見て、これがもう一つの逃げる理由、仲間との合流だとオンキは察した。




 レイロは死んでしまった部下たちを見て、項垂れていた。


「もう少し……私が強ければ……」


 悔しそうに呟く中、プレイが近付いた。


「とりあえず、車の中で休んでください。いくら後悔しても、あなたの仲間は蘇ることはありません」


「だが……」


「これ以上することがあるんですか? このまま項垂れていたら、戦いに巻き込まれます」


 と言って、プレイは大きなイダテンクモを<イノセントワールド>で召喚し、無理矢理レイロをリムジンの中に連れ戻した。


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