男の会話
ムラサメは殴られて痛むを抑えながら、ひたすらリミスたちが風呂場から出てくるのを待った。文句を言うこと、そしてあられもない姿のリミスたちを拝むのがムラサメの目的だからだ。
リミスたちのスッポンポンは何度も見たが、何度見ても飽きはしないからな。ドンナ王女の美しき裸体はどんな姿なのでしょうかねぇー。シャレのつもりじゃないよっと。
そんなバカなことを考えながらひたすら座って待っていたが、レイロが近付いた。
「大きなたんこぶができているが、何かあったか?」
「滑っただけです」
ムラサメはごまかしてこう言った。レイロはムラサメを手招きし、呼び寄せた。
「風呂場の守りは大丈夫のようだ。王女とともにシャワーを浴びているリミスさんたちがいるなら、安心だ」
「出てくるときは未防備ですけど」
「それも問題ないだろう。こんなとこで時間を潰すのはあれだし、夜食でもどうだ?」
「俺を口説くつもりか?」
「いくら君が魅力的な美少女でも、年下に手を出す趣味はないよ」
「確かにそうだな。異常性癖を持った奴が真面目な職に就けるはずがない」
ムラサメはリミスたちの裸体を拝むのを諦め、レイロの後に付いて行った。
リムジンの後部座席にて。机の上にはチーズやナッツ類、カリカリに焼かれたであろう小さなパンが盛り付けられた皿があった。
「へぇ。酒飲みが喜びそうな夜食だな」
「簡易的なもので作ったからな。残念だが、ワインはないぞ」
「仕事中にそんなもん飲みませんよ」
ムラサメがこう言うと、レイロは近くにあるボトルを取り出した。レイロはボトルをムラサメに見せるように、軽く振るった。
「ぶどうジュースだ。飲めるか?」
「ええ。大丈夫です」
その後、ムラサメはグラスに注がれたぶどうジュースを一口飲んだ。口の中は、質のいい巨峰を噛んだ時と同じような甘酸っぱさが広がった。
「まるで本物のぶどうを食べてるみたいだ。あんたらはこんないいもんを毎日口にしてるのか?」
「たまにだ。普段、騎士団では筋肉や体のことを考えたメニューを出している。飲み物は全部水だ」
「全部水か。ま、そっちの方が健康にはいいな」
と言って、ムラサメはチーズを口にした。レイロはムラサメを見て、頭を下げた。
「今日は君たちがいたおかげで、何とかここまでこれた」
「まだ仕事が始まったばかりだ。終わったわけじゃねーし、この状況でも敵がくるかもしれねーぞ」
「こんな時でも君は周りを見ているのか。素晴らしい戦士だ、本当に若い少女かと思ってしまうよ」
レイロは笑ってこう言った。ムラサメは周りに敵の気配がないことを察し、ナッツを食べた。
「俺の情報はどこまで知ってんだ?」
「転生者と言う話を聞いている。ギルドの情報で知った範囲だと、不思議な目のスキルを持っていると」
「ギルドも裏ギルドが察しないようにはギリギリで情報を公開してんだな」
「君はギルドの公式ホームページを見ないのか?」
「ブックマークしているのはほとんどエロ画像が関係するサイトだ。真面目なサイトは見る趣味を持ち合わせていねー」
「エロ画像……不思議な少女だ。君は少女のくせに、他の少女の裸体が気になるのか? まさか君は……元男か?」
「お見事大正解」
ムラサメは指を鳴らしてこう言った。レイロは自分が男であろうと考えた以上、このことを教えるしかないとムラサメは考えたからだ。
「だから、やたらとシャワールームにいたかったのか」
「男なら分かるだろ?」
「私は性欲を捨てた」
「そういう奴ほど、本当はガッチガチのスケベなもんだぜ。言っとくが、前世からの年齢を通算すれば、俺はレイロさんより年上だ」
ムラサメは茶化すようにこう言った。だが、レイロは表情を変えなかった。
「本当に捨てました。私は欲と人生を捨てて、ドンナ王女を守るために生きることを決めましたので」
「人生を捨ててまでねぇ……」
何かがあったと察したムラサメは、<イビルアイ>で調べようとしたが、触れたくない過去があるだろうと思い、<イビルアイ>を止めた。
「聞かないのか?」
「言いたくない過去の一つや二つあるだろ? 無理して言わんくてもいいよ。それ以上詮索するのも、趣味が悪いし」
「少し気になるとか思わないのか?」
「ちょっとな。でも、こういう時は自分の気持ちより、相手の感情を優先する」
と言って、ムラサメはぶどうジュースを飲み始めた。レイロは小さく笑い、深く椅子に座った。
「ものすごくスケベな猫の獣人と聞いていたが……中身は立派な大人じゃないか」
「そうだぜ若造? そうだ、年上のアドバイスとしてこれだけは言っておく。欲は捨てきることはできない」
ムラサメの言葉を聞き、レイロは笑うのを止めてムラサメを見た。ムラサメはレイロの視線に気付き、ウインクをして言葉を続けた。
「人間である以上、欲は後から出てくる。捨てても捨てても無駄だ。トカゲのしっぽのように生えてくる。そんなもんを溜め込んだらストレスになるから、少しは欲のために動くことも必要だ」
「人の道を踏み外すことになってもか?」
「落ちるギリギリまで動けばいい。本能のまま動いても、少しは理性を保つんだ。あんたは真面目過ぎるんだ。少しは欲のまま動いてもいいと思うぜ」
この言葉を聞き、レイロはぽかんとした表情をしていたが、ムラサメは気を和らげるために、笑顔を作った。
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