計画は予想通りに動くことはなく
オレムたちを倒した後、ムラサメたちは再びリムジンに乗車してベッロ王国へ向かった。レイロは話をするムラサメたちを見て、心の中でこう思っていた。
あれほど激しく動いたのに、彼らはまだ余裕だ。まだ名のないギルドの戦士だが、彼女らはいずれ大物になるだろう。
そう思いつつ、レイロは笑みを浮かべた。その笑みに気付いたムラサメは、リミスのアイアンクローを受けながらこう言った。
「どーした? 俺がセクハラのやり返しでやられてんのがそんなにおもしれーのか」
「いや、君たちが予想以上に凄腕の戦士だと思ってね」
「期待されてるってわけね」
ソワンはクルアを手にし、ムラサメの後頭部をじっと睨んでいた。そんな中、プレイは外を見てこう言った。
「ねー。このままベッロ王国へ向かうつもり?」
この問いを聞き、レイロは周りを見た。部下たちは予想以上に消耗し、ドンナも顔には見せないが、精神的に疲れている。運転手も連続して襲撃を受けたため、ドンナと同じように疲れているだろうとレイロは考えた。
「この先に小さいが広い道がある。そこでキャンプでもしよう」
この言葉を聞き、部下たちは動揺した表情をしたが、すぐに了承したと返事をした。その様子を見て、ムラサメはレイロに近付いた。
「計画が狂ったのか?」
「ああ。本来はこの先にある町で宿を取ろうと思ったのだが、この時間ではもう宿の予約はできぬだろう」
ムラサメは時計を見て、すでに夜の遅い時間だと察した。
「結構時間が経ってたんだな。まだ、森の中だからあまり分かんなかったや」
「このリムジンにはキャンピングカーの要素もある。いざという時の食料もあるし、小さいが風呂やキッチンもある」
「それで防御力もある。すごい車だねぇ」
と、ムラサメはそう言いつつ、ドンナの方を振り返りながらこう言った。
「王女様、お風呂の時の護衛も任せてください」
「あんたに任せられるか」
そう言いながら、リミスが右手の手刀をムラサメの頭に放った。
食事をした後、リミス、ソワン、プレイはドンナと一緒に風呂に入っていた。緊急事態のため、風呂場の入り口にムラサメが座っていた。
「あーあ。俺も入りたかったなー」
「バカ言うんじゃないわよ! 風呂場って言っても、簡易的なシャワールームなんだから」
リミスの言葉を聞き、ムラサメは立ち上がった。
「それじゃあ女の子が狭いシャワールームの中でキャッキャウフフニャンニャンなことをするってことか? 俺も女の子だから、やっぱり中に」
ムラサメがこう言った直後、扉が少しだけ開き、その隙に中に入ろうとしたムラサメの顔面に向かってリミスの足が飛んできた。リミスの蹴りを受けたムラサメは情けない悲鳴を発しながら後ろに吹き飛び、後頭部を壁に激突して大きなたんこぶを作ってしまった。
「入れさせるかエロ親父!」
リミスは怒鳴った後、扉を強く締めた。ドンナは呆れるリミスを見ながら、小さく笑っていた。
「面白い方ですね、ムラサメさんって」
「面白いじゃありませんよ。あいつはただ、ドスケベなだけです」
ソワンはそう言いながら、シャワーから出るお湯で体を濡らしていた。その後ろにいるプレイは、ソワンと一緒にシャワーを浴びていた。
「ソワンー、ちょっとぬるすぎない? 熱くできないの?」
「仕方ないでしょ。下手に燃料を使うと、この車が走れなくなるじゃない」
ソワンの言葉を聞き、ドンナは体を洗いながらこう言った。
「大丈夫です。この車には魔力が込められた石、魔石が燃料として使われています。ガソリンも使いますが、大半が魔石で補われています」
「魔石? でも、魔石って使い果たしたらボロボロになるんじゃあ……」
「私たちが使う魔石は質がいいものです。何年使ってもボロボロにはなりません。ですから、遠慮せずにお湯を使ってください」
ドンナの言葉を聞き、ソワンはためらいつつ蛇口に手を伸ばした。
「それじゃあちょっとだけ……」
と言って、お湯の熱を上げた。心地よいお湯が体に当たり、プレイはリラックスした声を発した。
「ふひぃ……この温度よ、この温度」
「おっさんみたいな声を出さない。ムラサメみたいよ」
リミスは髪を洗いながらこう言った。仲良く話をするリミスたちを見て、ドンナは口を開いた。
「皆様、仲がよろしいのですね」
「ええまぁ。仲がいいと言うか……簡単に言えば学生時代からの腐れ縁みたいなものです」
と、リミスは笑いながらこう言った。プレイは石鹸で体を洗いつつ、昔を思い出すかのようにこう言った。
「あの時は楽しかったわねー。リミスが暴れてソワンも暴れて。私は虫でいろいろやってた」
「ちょっと待ちなさい。その言葉じゃあ私とリミスが不良学生みたいに思われるじゃないの」
「実際そうだったじゃん。リミスは毎回学校で問題を起こした生徒や先生を相手にギャーギャーやって、反撃されたらソワンがそいつらを相手にギャーギャーやってたじゃないの。私は問題が起こらないように裏で立ち回ってたのよ。あの時は苦労したわー」
「いい子ぶってんじゃないわよ。あんたもたまに虫を出して授業を妨害してたじゃないの。それについてはどう思ってんのよ?」
「教師が私の胸を見て発情してたからよ。年下、しかも生徒の乳を見て興奮する変態野郎にはお灸が必要だからね」
プレイがこう言うと、リミスはドンナの方を見た。
「待って。王女の前でこんな話は……」
「いえいえ、続けてください」
と、ドンナは笑いながらこう言った。
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