聖剣使いたちの活躍
ドンナの護衛をムラサメとレイロに任せ、リミスたちは木々の中に潜む敵との戦いを始めた。
「さてと」
リミスはその場にしゃがみ、地面に落ちている小石や砂利、折れた木の枝を手にした。そしてそれらを<フワフワタイム>を使って動かし、木々の間に向かって飛ばした。
「<フワフワタイム>を使って敵の隠れ場所を探るわ」
「最初にムラサメの<イビルアイ>で敵の隠れ場所を察知してもらえばよかったと思うんだけどー」
プレイがこう言うが、ソワンは首を振った。
「ムラサメはさっきの戦いで魔力も体力も使ったから、少しは休ませないと」
「うーん。それもそうねー」
プレイはそう言って、木々の間を見つめていた。しばらくすると、驚いた声を発しながら木々の間から軽鎧を装備した男が飛び出した。
「あいつね」
ソワンはそう言って、水の魔力を発し、それを凍らせて男に向かって飛ばした。
「グッ、クソ!」
男は手にしているアサルトライフルの銃口をソワンに向けたが、突如周囲からやかましい羽音が響いた。男は苛立ちながら辺りを見回すと、いつの間にか少し大きなハエが飛んでいた。
「何だ、この気色悪いハエは⁉ 俺のそばに近寄るな!」
男は片手でハエを払おうとしたが、その時にソワンが放った氷が男の右肩を貫いた。男は痛みのあまり声を出し、その場に倒れた。
「まず一人」
「まだまだ行くわよ。構えて!」
リミスがこう言った後、次々と敵が木々の間から現れた。ソワンは氷を発して攻撃し、プレイが<イノセントワールド>でハエを作って敵の目を反らしていた。
「クッ、こいつはやばい」
リミスたちの活躍を見ている男がいた。この男はオレムと言う名で、ドンナの命を狙う裏ギルド、アバンドルアの一員である。
格下の団員だけでは、この状況を打破することができない。
そう思ったオレムは、小型のトランシーバーで連絡を始めた。
「おい、何が何でも木の陰から外に出るな」
そう言うと、すぐに団員からの返事が入った。
「ちょっと待ってくださいよ! それじゃあ、猛スピードで飛んでくる小石や木の枝を受けて、体中穴だらけになれってことですか⁉」
「相手は隠れている俺たちをあぶりだすために物を使って攻撃しているんだ。魔力があるのなら、体中穴だらけになってもすぐに治療できるだろうが」
「そりゃーそうですけど……ギャア‼」
通話相手が悲鳴を発したと同時に、通信が切れた。オレムはため息を吐き、周囲を見回した。
「しゃーねぇ。俺が動くしかねーな。雑魚に任せるのは失敗だった」
そう呟き、オレムは愛用の拳銃を装備し、走り出した。
よし、あいつらは気付いていない。
リミスたちが自身の移動に気付いていないことを察し、オレムは急いで別の木の後ろに隠れた。周囲を見て、リミスたちがどこにいるのか確認し、またすぐに別の木の後ろに移動した。
ここなら攻撃できる。
そう思ったオレムは、拳銃の銃口を後ろの木に合わせ、発砲した。放たれた弾丸はオレムの狙い通りに木に向かって飛んで行った。弾丸は木に命中してめり込んだ。それがオレムの狙いだった。
さて、反撃と行きますか。
弾丸が気にめり込んだのを確認したオレムは、めり込んだ弾丸に向かって新しい弾丸を放った。新しい弾丸は木にめり込んだ弾丸に命中し、軌道を変えた。オレムはわざと木に弾丸をめり込ませ、それを利用して新しい弾丸を跳弾として攻撃を仕掛けたのだ。弾丸が飛んで行った先には、リミスがいた。
リミスは魔力を開放して<フワフワタイム>を使っていた。そのため、跳弾が飛んでくるなんて思ってもいなかった。
今何か、変な音がしたわね。
攻撃を続けているソワンはそう思ったが、プレイは表情を変えてソワンにこう言った。
「リミスに向かって何か飛んでくる! ソワン、急いで<ホワイトバース>の支度をして!」
「え⁉」
プレイの叫びを聞き、ソワンは<ホワイトバース>を使う準備をし、リミスに迫る弾丸を見て、すぐに凍らせた。
「ソワン、どうしたの?」
リミスは安堵の表情を浮かべるソワンを見て、こう聞いた。プレイは<ホワイトバース>によって氷漬けにされた弾丸を手にし、こう言った。
「あんた、狙われてたのよ。<フワフワタイム>を使ってたせいで、隙だらけだったのよ」
「そうだったの……ありがとうソワン、助かったわ」
「プレイにもお礼を言って。敵の攻撃をいち早く察したのはプレイだから」
「お礼は後でいいわ。今は敵を倒すことに専念して。敵の中に、腕のいい銃使いがいるわね」
プレイは木の奥を見つめ、<イノセントワールド>でナグリバチを召喚し、発した。だがその直後、無数の弾丸がナグリバチを撃ち落とした。
「そんな……ナグリバチが……」
「ショックを受けないでよリミス。<イノセントワールド>で作った虫の幻は攻撃を受けたら、すぐに散っちゃうんだから」
プレイはそう言った後、この戦いは予想より長引きそうだと思った。
「雑魚にも手間はかかるけど、それ以上に厄介で手間がかかる奴がいるとは思わなかったわね。すぐに終わらせたいと思ってたけど……そうはいかないわね」
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