襲撃は続く
ハッタンとホッタンを倒したムラサメとレイロは、リミスたちの元へ戻ってきた。ムラサメは気を失っているハッタンを縛っているリミスを見て、安堵の息を吐いていた。
「よかったー。リミスが俺の考えを理解していて」
「あんたのことだから、敵の一人をこっちにぶっ飛ばして、それから<イビルアイ>でいろいろ聞きだすだろうと思ってね」
「その通りだ。こいつ、<イビルアイ>の催眠にかかりやすい奴だったからなー」
「で、あと一人は?」
リミスのこの問いに対し、ムラサメは言葉を失い、目を反らした。あまり言いたくない展開になったのだろうと予測したリミスは何も言わないようにしたが、プレイはため息を吐いた。
「レイロさんって、結構容赦ない人なのね」
「まぁ、そんなとこだ」
ムラサメとプレイの会話を聞き、ソワンはレイロを見て少し恐怖を覚えた。この人は、ドンナ王女を守るためなら人の命を奪うと心の中で思った。そんな中、ムラサメはリムジンを見て声を出した。
「リムジンに傷はないようだな」
「天才の私のおかげでリムジンは修理できました。ま、リタンのおかげもあるんだけど」
そう言いながら、プレイはリタンの方を見た。レイロは部下に近付き、攻撃されたその後の状況と、ドンナの状況を聞いていた。
「そうか。彼女らのおかげでリムジンは元に戻り、王女も無事だったか」
「はい。彼女らがいなかったら、大変なことになっていました」
「こんなところで足止めをされては困りますからね」
部下の話を聞き、レイロは頷いた。
「とりあえず、急いでベッロ王国に向かおう。かなり無駄な時間を使ってしまったからな」
レイロの言葉を聞き、ムラサメたちは頷いた。
ムラサメたちを乗せたリムジンは岩山の道を超え、森林地帯に入った。
「到着まではかなり時間がかかりそうだな」
「ここからは半日かかると思います」
ドンナの言葉を聞き、ムラサメは少しだけ驚いた。
「半日か。結構長い距離だなー」
あくびしながらムラサメはそう言って、ドンナに近付いた。リミスはムラサメがスケベなことを考えているかもしれないと思いつつ、ムラサメの横に座った。
「あらま、リミスちゃん」
「変なことしたら、頭ぶっ叩くからね」
「おいおい、マジ勘弁。こっちはさっき戦ったばかりなんだからリラックスさせてくれよー」
「それじゃあ一生安らぐようなことをしてあげるわ」
と言って、ソワンがムラサメの背後に忍び寄り、首を絞めた。ドンナは慌ててソワンに止めてと伝えようとしたが、プレイが阻止した。
「王女様が動く状況ではありませんよー」
「でも、ムラサメさんが死んでしまいます」
「いつものことです。ああ見えてソワンも少しは加減してるんで大丈夫です」
プレイは笑いながらこう言った。ドンナは少し不安だったが、ソワンに首を絞められた状態でムラサメはドンナに近付いた。
「今は森林地帯を走っています。敵が身を隠しながら攻撃を仕掛けてきてもおかしくありません。常に何かが起こるという気構えを取ってください」
ムラサメの言葉を聞き、ドンナははっとした表情になった。レイロはムラサメがスケベ心を露わにしても、危機感を持っていることを察し、さすがだと心の中で思っていた。
そんな中、突如走っていたリムジンから大きな音が響き、車体が斜めに傾いた。
「何だ今の音は⁉」
レイロの部下が外を見て、驚きの声を上げた。彼の目には、木々の間から剣や槍を手にした無数の戦士たちが現れ、こっちに向かって走っている光景が映っていた。
「敵襲です! 謎の連中がこっちに接近中です!」
「戦える者は外に出ろ、何が何でもドンナ王女を守るぞ!」
レイロは剣を手にして外に飛び出そうとしたが、ムラサメが扉を抑えた。
「無暗に外に出ようとするな! 扉の隙間から弾丸や矢が入ってきて、王女に命中したらどうするんだ⁉」
「では、どうやってあいつらを⁉」
「こうするんだよ‼」
ムラサメは<イビルアイ>を使い、外にいる戦士たちを見た。ムラサメの目を見た戦士の一部は動きを止めた。様子がおかしくなった仲間を見た戦士たちは動揺して足を止め、様子を見た。
「おい、何があった?」
戦士の一人が声をかけた瞬間、ムラサメの目を見た戦士は仲間の戦士に向かって剣を振り下ろした。
「なぁ……」
これを皮切りに、ムラサメの催眠にかかった戦士たちは次々と仲間を襲い始めた。その様子を見たレイロは口を開けて驚いていた。
「ど……どうして同士討ちを?」
「俺が<イビルアイ>で催眠したんだよ。仲間を攻撃しろってな」
ムラサメはウインクをし、レイロにこう言った。<イビルアイ>の催眠のおかげで敵の戦士の数はそれなりに減った。だが、敵もやられているばかりではなかった。
「クソッ! 頭がいかれてんなら、生かしちゃおかねぇ!」
と言って、戦士の一人は催眠を受けた戦士の首に向かって斧を振り、頭を斬り落とした。その光景を見たドンナは悲鳴を上げ、窓の近くから離れた。
「酷い……仲間なのに殺すなんて……」
「あれは少しやりすぎだ。待っててください王女。俺がどうにかしますので」
ムラサメは外の様子を見て、外に飛び出そうと考えた。だが、リミスとソワンとプレイが前に立った。
「私たちも行くわ」
「少しは役に立ちたいからね」
「天才の私に何もかも任せなさーい」
リミスたちの言葉を聞き、ムラサメは小さく笑った。
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