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拳と剣の制裁


 ムラサメとレイロによる同時蹴り攻撃がハッタンとホッタンに命中した。頭部に激しい衝撃を受けたため、ハッタンとホッタンの体は大きな音を発した後の鐘のように震えていた。


「相手は隙だらけだ。倒すなら今のうちだ」


「了解!」


 ムラサメは魔力を開放し、ハッタンに向かって接近した。レイロはホッタンに接近し、剣を構えた。


 ハッタンは足音を聞き、ムラサメが接近してくることを察し、我に戻った。


「チッ、お前らの考え通りになってたまるかよ!」


 と言って、ハッタンはリロード済みのスナイパーライフルを構えた。近い距離ならば、弾丸がムラサメの腹を貫き、大きな風穴を作るだろうと考えたハッタンだが、ハッタンの考え通りの展開にはならなかった。突如、ハッタンはスナイパーライフルの向きを変え、銃口を口の中に入れた。


「ハッタン! お前、何してんだ⁉」


 ハッタンの異常行動を見たホッタンは我に戻り、叫んだ。ハッタンはどうして、自分が銃口を口の中に入れたのか理解できなかった。が、すぐに理解できた。自分は再び<イビルアイ>による催眠を受けてしまったと。


「ふが! ふがががが!」


 何が何でもスナイパーライフルを口の中から外そうとしたのだが、その前にハッタンの顔に向かってムラサメは飛び蹴りを放った。攻撃を受けたハッタンは後ろに倒れ、そのまま地面を転がった。ハッタンの体は、落ちる手前で動きを止めた。


「はぁ……はぁ……」


 下を見て、ハッタンは冷や汗をかいた。あと少し体が動いていれば、自分の体は真っ逆さまに落ちていた。魔力が強くないハッタンが落ちてしまったら、魔力を使って体を宙で動かすことができず、そのまま地面に激突してあの世へ逝ってしまっていた。


「ギリギリ助かったって思ってんだろうなぁ」


 後ろからムラサメの声が聞こえた。ハッタンは起き上がろうとしたが、突如口の中に痛みを感じた。


「口の中がおかしいってか? そりゃそーだろうがよー。さっき蹴ったはずみで、口の中の銃口が暴れて、お前の歯を何本かへし折ったんだからな」


 ムラサメの言葉を聞き、ハッタンは急いで口の中を触った。あるはずの歯が、何本かなくなっていた。


「あああああ! 俺の歯が!」


「裏ギルドのことだ、どーせ不衛生な生活でもしてたんだ。きたねー生活してれば歯が弱くなるに決まってんだろうが」


 と言って、ムラサメは右の拳に魔力を溜めた。ハッタンは立ち上がったが、それと同じタイミングでムラサメはネコノテストレートを放った。


「うっごぉ!」


 攻撃を受けたハッタンは、そのままリミスたちがいる方向に向かって、ネコノテストレートとともに吹き飛んだ。




 ドンナを護衛しているリミスたちは、ネコノテストレートによって吹き飛ぶハッタンの姿を確認していた。


「あいつ、こっちに向かって飛ばしてくるわ」


「敵を捕まえろってことかしら?」


「ムラサメのことだし、やりそうなことね。私がやっとくから、二人は護衛をお願い」


 と言って、プレイは車の外に出た。しばらくして、激しい揺れが発生した。


「キャア!」


「王女、大丈夫ですか⁉」


 レイロの部下たちが、急いでドンナを守った。リミスは呆れたようにため息を吐き、心の中でこう思った。


 もう、ムラサメったら。少しは手加減しなさいよね。




 ホッタンは剣を装備して迫るレイロを見て、荒く呼吸をしながらナイフを手にした。


「この野郎! これ以上近付いたらナイフで突き刺すぞ!」


「相方を失った今、お前が頼れるのはその安物で質の悪いナイフだけか。そんな安物じゃあ、脅しにはならんな」


 そう言って、レイロは近付くのを止めなかった。レイロの顔は恐ろしく冷たい表情をしていた。


 や……やべぇ! この男、俺を殺すつもりだ!


 レイロの顔を見て、ホッタンはレイロが自分を殺すつもりで近付いてきていると察した。


「クソッたれが! やる前にやってやるよ!」


 やけになったらホッタンは、ナイフを持ってレイロに突進をした。ナイフがレイロの体に近付いた瞬間、甲高い金属音が鳴り響いた。それに続き、剣が風を切る音が響いた。しばらくの間、風の音が周囲に響いていた。


「そ……そんな……」


 ホッタンは刃が折れたナイフを見て、震える声を出した。その直後、宙に舞っていたナイフの刃が、周囲の岩山に当たりながら下に落ちていく音が聞こえ、次第にその音は聞こえなくなった。レイロが剣を鞘に納めた瞬間、ホッタンの体から血が流れた。


「うっげぇ、やりすぎじゃねーか」


 ホッタンの体から流れる血を見て、ムラサメは恐ろしそうに呟いた。レイロはムラサメに近付き、こう言った。


「王女の命を狙ったんだ。このくらいの制裁をしなければ……またあいつは王女の命を狙うだろう」


「にしては、やりすぎだと思うぜ。捕まえておけば、尋問もできるし、人質にもできると思うんだけどよ」


「私はそこまで優しくはない。王女の命を狙ったのだからな」


 レイロがこう言った直後、ホッタンの体はゆっくりと後ろに倒れた。倒れた直後、ホッタンの体は崖の下に落ちていき、しばらくして何かがつぶれる音が、ムラサメの耳に聞こえた。


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