道中の襲撃者
破裂音と同時に、ムラサメたちが乗るリムジンが大きく揺れた。ムラサメは自身を盾にしてドンナを守りつつ、リミスはムラサメのフォローをしていた。
「敵の襲撃? 何をされたの?」
「ロケランで狙われたんだ。敵の狙撃手がここを通ると予測して、待機してた可能性があるな」
「自分、様子を見てきます!」
と言って、レイロの部下の一人が外に飛び出した。それを見たムラサメとレイロは、同時に大声で叫んだ。
「バカ! うかつに外に出るな!」
「敵がいるんだ、狙われるぞ!」
二人の声を聞いた部下は、外に出る寸前に顔を向けようとした。だがその時、猛スピードで何かが飛んできて、近くの岩場に当たり、部下の額に向かって反射した。
「どうかしま……」
部下は言葉を言い切る前に、額を貫かれてその場に倒れた。床に流れる血、そして散乱する肉片を見たドンナは悲鳴を上げようとしたが、ムラサメが口で押えた。
「敵は俺たちの位置を察している。変に動けばあなたが狙われる! いきなり人の死を見てビビるのは分かりますが、今はこらえてください」
ムラサメの言葉を聞き、ドンナは小さく頷いた。ムラサメは<イビルアイ>を使って敵の位置を調べ、リミスたちにこう言った。
「ここから何キロか先にある岩山の上に、いかにも怪しい二人組がいる。そばには武器っぽいのもある」
「岩山の上か。よし、倒してくる」
と言って、レイロは敵が察しないように動いた。ムラサメはレイロを見て、肩を掴んだ。
「俺も行く。一人より二人で戦った方が効率良いだろ? 王女はリミスたちがちゃんと守ってくれるからさ」
「承知した。皆、終わったらすぐに戻る。それまで車の様子を調べることと、王女の護衛をちゃんとすること!」
「了解!」
レイロの部下たちは敬礼し、去って行くレイロの姿を見た。ムラサメは急いでレイロの後を追い、外にいるレイロと合流した。
「あんま前に出んなよ。狙われるぞ」
「私のスキルがあれば、どんな攻撃も防御できる」
「本当に大丈夫か?」
「安心しろ。このスキルがあったから、今まで生きてこられたんだ」
会話の途中で、敵が放った弾丸がレイロに迫った。先に音を聞いて動いたムラサメだったが、慌てようを察したレイロはムラサメを止めた。スキルを使うつもりだとムラサメは察し、その場に止まった。放たれた弾丸はレイロに命中し、甲高い音を発した。
「ぐっ! うるさい!」
「猫の獣人だから、耳がいいのか」
レイロの言葉を聞き、ムラサメはレイロが無事であることを確認した。
「ありゃま。生きてる」
「私のスキルは<ブレイブアーマー>と言う。気合と元気があれば、それだけ体を固くすることができるのだ」
「へぇ、根性が関係するスキルなんてあるんだなぁ」
「感心している場合じゃないぞ。敵の位置を教えてくれ」
レイロに促されたムラサメは我に戻り、<イビルアイ>で敵の位置を再確認した。場所を理解したレイロは、敵がいる方向を睨んだ。
「あそこか。ムラサメ、君は魔力を使って空を飛べるか?」
「少しだけ」
「なら、私の背に掴まるんだ」
「俺を背負って飛ぶ気か?」
「そのつもりだ」
会話を終えた後、レイロは魔力を開放し、力強く地面を蹴り、空を飛んだ。
アバンドルアの狙撃手、ハッタンは相棒であるホッタンと話をしながら、ロケットランチャーの用意をしていた。
「さっきの攻撃で王女は死ななかったみたいだ」
「じゃあさっき、お前がライフルで殺したのは誰なんだよ?」
「雑魚の一人さ。護衛の騎士団って奴だ」
「はずれか。王女だったら、すぐに大金が俺たちに入ったのによー」
「敵も王女が狙われてるっつーから結構ぴりついてんだよ。でも、どうしてあんなド田舎の町に向かったんだ?」
「えーっと、どんな名前の町だっけ?」
「確か、ウターンだ」
「ウターン? あり? 確か、最近ニュースで聞いた覚えのあるような……」
ハッタンが話の内容を思い出そうとしている中、レイロがハッタンとホッタンの前に着地した。
「ゲェッ! あいつはさっきの!」
「殺した奴の上司みたいだな。あいつより立派な鎧を装備していやがる!」
「部下の命を奪ったのはお前たちで間違いないな」
レイロはそう言って、腰に携えてある剣を鞘から抜き、両手で握った。
「問答無用で斬る!」
「はっ! やれるもんならやってみろよ! こっちにはロケランがあるんだぜ! なあハッタン!」
「ああ。その通りだ」
と、ハッタンはロケットランチャーをホッタンに向けながら答えた。
「おい、どうして俺の方を狙う? 狙いはあっちだあっち!」
ホッタンは慌てながらこう言ったが、ハッタンはロケットランチャーの引き金を引いた。迫るロケット弾を見て、ホッタンは慌てて魔力を開放し、強い風でロケット弾の方向を変えた。
「チッ、魔力が強い奴か」
ムラサメは悔しそうにこう言った。ハッタンがおかしくなったのはムラサメのせいだと察し、ホッタンはムラサメに襲い掛かった。
「お前のせいか猫女! 俺のナイフでズタズタにしてやる!」
「その前に私がお前をズタズタにしてやる」
そう言って、レイロはホッタンに向かって剣を振り下ろした。
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