ドンナ王女を狙う者
ドンナを狙う狙撃手、ブルクは続けざまに二発のネコノテストレートを喰らった。衝撃で地面に叩きつけられ、全身に強い痛みをブルカは感じた。
が……こいつは……きついね……。
吐血しながら、ブルクは心の中でこう思った。その一方、ムラサメは連続してネコノテストレートを放ったせいで、かなり魔力を失っていた。
やべぇ。結構魔力を使っちまった。
荒れる呼吸を整えつつ、ムラサメはブルクを倒すためにゆっくりと歩きだした。だが、その前にブルクが体の痛みをこらえながら立ち上がった。その手には、スナイパーライフルが握られていた。
「あ!」
その姿を見たムラサメは、思わず驚きの声を上げた。ダメージを負った状態で、ブルクはドンナを狙撃すると察したからだ。
「遅いよ猫ちゃん。この身がどうなってもいい、王女さんに鉛玉をぶち込めば俺の目的は達成するんでねぇ!」
と言って、ブルクはスナイパーライフルの引き金を引こうとした。だがその時、巨大なトンボがブルクの顔に向かって突進した。
「うごぉ!」
「あのトンボ……」
「ムラサメ!」
ここでリミスの声が聞こえた。ムラサメは安堵した表情でリミスの方を振り向き、その場で横になった。
「ナイスタイミング」
「かなり魔力使ったでしょ? ネコノテストレートの音、結構響いたわよ」
「結構な魔力を込めて使ったからな。でも、しぶとい奴だったよ」
「そうね。でも、ソワンとプレイがいるから大丈夫よ。さ、リラックスしなさい」
リミスはヒアラを手にし、ムラサメを癒した。
地面の上を転がっているブルクは、何とか立ち上がった。手にしていたはずのスナイパーライフルがないことを知り、すぐに周囲を見回した。
「クソッ! あれは一体どこに落ちた⁉」
「あれって、このこと?」
と、ソワンがブルクのスナイパーライフルを見せびらかしながらこう聞いた。ブルクはすぐにスナイパーライフルを取り戻そうと動いたが、ソワンは<ホワイトバース>を使ってスナイパーライフルを氷漬けにし、粉々に粉砕した。
「なっ……」
「あんたの負け。観念しなさい」
ソワンはそう言ったが、ブルクは小さく笑って言葉を返した。
「俺は負けてねぇよ。エルフの小娘に負けるほど、俺は弱くないんでねぇ」
「でもま、虫には負けるでしょ」
会話に割り込む形で、プレイが現れた。プレイはナグリバチを召喚し、ブルクの元に飛ばした。ナグリバチはブルクの左肩に止まり、針を刺した。
「つっ!」
「はい。おじさんの負けー。ざーんねーんでーしたー」
笑いながらプレイはこう言った。煽られたと思ったブルクはプレイに殴りかかろうとしたが、その瞬間に白目を向き、その場に倒れた。
「さーてと、後はこいつをじっくりコトコト取り調べすることにしましょう」
「そうね」
ソワンとプレイは話をしながら、倒れたブルクを見つめていた。
数時間後、ムラサメたちは再び会議室にいた。ブルクの取り調べをレイロの部下たちに任せ、ブルクとレイロと話をしていた。
「とりあえず、あんたたちの状況が分かった。何かしらに狙われてるってことも嘘じゃない」
ムラサメの言葉を聞き、ドンナは頷いた。
「お願いします。騎士団の皆様では、対処できないほど敵は強いです。どうか、皆様のお力をお貸ししてください」
と言って、ドンナは深々と頭を下げた。ムラサメはリミスたちの方に視線を送り、視線に気付いたリミスたちは頷いた。
「俺たちもこの件に首を突っ込んだんだ。断るわけにはいかねーな」
「あ……ありがとうございます!」
再び、ドンナは首を深々と下げた。そんな中、レイロの部下が会議室に戻ってきた。
「取り調べ……終了しました」
「そうか」
レイロは立ち上がって答えたが、部下が浮かない顔をしていることを知り、取り調べの結果をすぐに理解した。
「情報を得ることができなかったのか」
「それか、ブルクが死んだか」
ムラサメの言葉を聞き、レイロの部下たちは驚いた。ムラサメはあくびをし、レイロの部下の方に体を向けた。
「一度、自分の部下を捨て駒にするような裏ギルドと戦った。そいつも、部下が捕まったことを知ったらすぐに始末してた」
「クチアの事件ね」
ソワンはクチアの事件を思い出し、嫌な顔をした。
「あいつと同じようなことをする奴がいるのね」
「世界は広いんだ。あいつと同じ思考の奴がいてもおかしくない。で、死ぬ前に情報を得られたか?」
ムラサメの問いに対し、レイロの部下たちは手元の資料をムラサメたちに渡した。そこには、ブルクの情報が書いてあった。
「ほうほう。裏ギルド、アバンドルア。こっちじゃ聞いたことのない裏ギルドだな」
「アバンドルアだと?」
裏ギルド、アバンドルアの名を聞いたレイロの顔は、険しくなった。その変わりようを見て、ムラサメたちは驚いた。
「えーっと、そのアバンドルアって裏ギルドに何か因縁でも?」
「ベッロ王国の周辺で活躍する、大規模な裏ギルドです。やることは小悪党と同じですが、まさかあいつらが王女の命を狙うとは……」
そう言って、レイロは資料を強く握りしめた。
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