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夜空に響く声


 ムラサメは<イビルアイ>の情報収集能力を使い、今現在のオンキの魔力を調べていた。ダメージを与え、それに伴い魔力を消費したとムラサメは考え、催眠能力で少しでも動きを止められれば倒せるからだ。


 クソッ‼ まだ体力も魔力もあんのかよ!


 ムラサメの予想は大きく外れ、オンキの魔力と体力は催眠能力が効かないほど残っていた。そんな中、オンキがムラサメに接近して攻撃を仕掛けていた。


「隙だらけだぜぇ!」


 オンキの声を聞き、ムラサメはオンキの方を見て、笑みを浮かべた。オンキは不審に思ったが、ムラサメがこの一撃を受けたら確実に死ぬから、頭がおかしくなったのだろうと考えたが、その直後に背中から激しい痛みを感じた。


「隙だらけなのはあんたの方よ」


 後ろのリミスの声を聞き、オンキはしまったと思いつつ後ろを振り向いた。そこにはヒアラを振り下ろした後のリミスの姿があった。


「く……そ……」


 背中から熱いものを感じながら、オンキは後ろに下がって呼吸を整えようとした。魔力はまだある、その魔力を回復に使えばまだ戦えるとオンキは考えた。しかし、リミスはヒアラの刃の周りに炎を発し、二度目の攻撃を仕掛けた。


「燃えなさい」


 と言って、リミスはヒアラを振り下ろした。刃の周りの炎が、美しく弧の形を描きながらオンキに襲い掛かる。炎を纏った斬撃は攻撃力が高いが、炎の動きで攻撃の軌道が読めたため、オンキは難なく攻撃をかわすことができた。


「バカだねぇ。カッコつけて炎を発して剣を振り下ろすから、動きがバレバレだよぉ!」


「けど、その傷で大きく動いたせいで、斬られた跡が広がっちゃったねぇ」


 魔力を開放しながら、ムラサメがこう言った。オンキはムラサメの方を振り返り、睨んだ。


「確かにそうだが、お前らを殺す分には問題ない!」


「問題ありそうな気がするけど」


 そう言葉を返し、ムラサメは姿勢を低くしながら走り出した。


「はっ、突進するつもりかい?」


 オンキはムラサメを迎え撃とうと考えたが、ムラサメの姿勢は予想よりも低く、ジグザグに走って動いているため、攻撃しようにも狙いが定まらなかった。


「嫌がらせか? そんな動きするなんて」


「ねぇ、こっちも見なさいよ」


 リミスはオンキに接近し、炎を纏ったヒアラを振り下ろした。オンキは攻撃をかわし、リミスに向かって右手の爪を振り下ろした。リミスは後ろに下がったが、爪先が少しだけリミスの服をかすった。


「ハッハッハ! このままストリップ嬢みたいに服をズタズタにしてやろうか?」


「発情期? 戦いの中で発情してると、発情猫に襲われるわよ」


 リミスの声を聞き、オンキはムラサメが接近したと察した。ムラサメはすでにオンキに向かって飛びかかっており、驚くオンキの顔を見て笑みを浮かべていた。


「これで終わりにしてやるぜ!」


 攻撃をするつもりだと構えたオンキは、魔力を開放した。だが、ムラサメは自身の服をめくり上げ、自身の巨乳をオンキに見せつけた。


「んなっ⁉」


「どうだ? お前は威勢の女性や雌のオオカミからモテなさそうだから、生の巨乳を見るのは初めてだろ?」


 ムラサメの声を聞き、オンキは我に戻った。


「何をふざけているんだお前は? 生の巨乳ぐらい何度も見たことはあるんだよぉ!」


「バカのペースに乗せられちゃってまぁ……」


 リミスの声を聞いたこの時、オンキはムラサメのペースに飲まれたと察した。すぐにムラサメとリミスから下がろうとしたが、その前にリミスがヒアラを振り下ろした。攻撃を受けたと思ったオンキは、魔力を開放して少しでも防御力を高めようとした。だが、痛みはなかった。


「は……ははは! 空振りかい? 大人を驚かせたらいけないねぇ!」


「そいじゃ、いけないオオカミさんは一度ぶっ飛んでくださいなっと」


 ムラサメはそう言って、オンキのあごの下に移動した。素早いムラサメの動きを見切れなかったオンキは、はっとした表情で下を向いたが、その時すでにムラサメは動いていた。


「喰らえ! ネコノテアッパー‼」


 叫び声を発し、ムラサメはオンキのあごに向かって飛びあがり、魔力を込めた右手でアッパーを決めた。


「ガッハァッ‼」


 攻撃を受けたオンキは短い悲鳴を上げ、上空に飛び上がった。しばらくし、ヒアラで斬られたはずの傷が痛み始めた。


「な……何だこれは……」


 オンキがそう呟いた直後、斬られた跡から激しい炎が上がり、大量に血が流れた。それからしばらくして、上空に舞ったオンキの体は地面に落ちた。




 戦いが終わり、ムラサメは右手を、リミスは左手を軽くぶつけて勝利を確信した。


「すげーなあの技、斬った数秒後に傷口が爆発するのか」


「ディレイペインのこと?」


「ああ。ディレイペインってあれか? 斬った直後にわざと傷口を炎で塞いで、敵が激しく動いた時に爆発するかのように燃え上がるって技だろ?」


「ええそうよ。油断を誘う技として、考えたの」


「恐ろしい技を考えるもんだなぁ」


 そう言いながら、ムラサメは強い疲れを感じ、その場に座り込んだ。リミスもムラサメと同様に強い疲れを感じ、その場に座り込んだ。


「とりあえず……休んだら戻ろうか……」


「賛成……」


 ムラサメとリミスは会話をした後、横になった。


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