八章「逆転」
これはセナの記憶?
(こんな事はあってはならない。)
知らなかった。セナのこと。
もう、このまま向こうへ行ってしまうのも悪くない。
しかし、闇の中で光るものがある。
「やっぱり楽しいね、こうやって対戦するの。」
屈託のない笑顔。
「……ずっと、こうしてたかったな。」
真実の表情。
「お前の願い、こんな形で終わらせてたまるか!」
心の底から叫んでいた。
青黒い炎が吹き飛ぶ。
覚悟を決め、力強く言い放つ。
「ワルキューレドラゴンノヴァ召喚!」
天使の翼をはためかせ、空に赤き竜が光り輝く。
「ワルキューレドラゴンノヴァ?悪あがきね。
この状況を打開するカードなんて、あなたのデッキにはないって知ってるわよ!」
セナの瞳孔が、大きくなる。
その瞳にワルキューレドラゴンノヴァの翼の輝きが映る。
心のなかで祈った。
(頼む、来てくれ!)
デッキが輝き、一枚のカードが空に舞い上がる。
天から光と炎の刃が、漆黒の天使に降り注ぎ、粉砕した。
「ラストブレード?!なぜそんなカードを!」
セナは驚く。
瞳の漆黒はもう無く、光が見える。
「お前とまたデュエルする時に使いたくて、ずっとデッキに入ってた!」
セナと戦うために、デッキに残り続けたカード。
ワルキューレドラゴンノヴァが空を駆け、セナに迫る。
「翔介、邪魔しないで!もう少しで悲しみのない世界になるの…」
困惑の表情。
目の前で動きを止める。
ためらう、
(これでいいのか…それでも…)
(このままじゃ、セナはもう戻れない)
(笑ってデュエルしてた、あのセナのまま終われない)
セナの輝く笑顔が、思い浮かぶ。
(あの時の言葉――)
「……ずっと、こうしてたかったな」
(これでいいのか…)
(それでも——止めなきゃいけない)
「ワルキューレドラゴンノヴァ攻撃!」
苦しみ、宣言した。
ワルキューレドラゴンノヴァは、光り輝くブレスを吐く。
セナが光の嵐に吸い込まれていく。
セナのバリアが砕けて、光の欠片になり空に消えた。
勝利した。




