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異世界帰りの大賢者  作者: 九一七
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第二十五話:霊力発生ユニットと霊術格納ユニット

 レンズの処理装置などの魔法を付与るる装置には、絶対に必要な部品が4種類がある。それらのうちまず2つが魔力発生ユニットと魔法術式格納ユニットだ。波留は魔力を霊力、魔法を霊能力として世間に発信しているから、それぞれ霊力発生ユニットと霊術格納ユニットと名づけることにした。


 ただ、霊能力術式格納ユニットだとイメージが湧きにくいというかゴロが悪いと感じたから霊術格納ユニットと呼ぶようにした経緯がある。


 呼び方はどうでもいいとして、この2種類のユニットはレンズの処理装置の特許出願時に併せて出願が終わっている。そしてこの2ユニットが無ければ波留が造ろうと思っているほとんどの装置や製品の量産ができない。


 つまりこの2ユニットは、マジックアイテム――霊能具、あるいは霊能機器、あるいは霊能アイテム――を量産するための基本ユニットだということだ。もちろん複雑な製品になると、この基本2ユニットが組み込まれたものも近い将来登場する予定だ。


 さらに、装置を運転させ続けるにはさらにもう1つのユニットが必要だ。それは現在の一般的な機械や装置に例えると燃料に当たるものを精製するユニットである。


 その燃料とは何か?


 異世界で言うならば魔素、この地球世界で言うならば霊子がそれにあたる。その霊子を収集するユニットを、波留は霊子収集ユニットと呼ぶことにした。


 そもそも魔素や霊子とは何か?


 波留の理解では魔素や霊子とは素粒子であり、普通の状態では物質、あるいは電場や磁場や重力場に影響を受けない。既知の素粒子というか物質で例えるならばダークマターが魔素に近いが、既知の物理現象で言えばダークマターは重力場に影響を与えることにおいて相違がみられる。


 また、魔素には特殊な性質があって、地球世界ではその存在が証明されていなかった魂の、知念というか思念に反応し、物質に干渉して物理現象を起こすことが異世界では常識になっていた。


――俺も最初は全然理解できなかったんだよな。最初のうち師匠は「今は完璧に理解せんでもええから強く念じれば魔法が使えるとでも覚えておけ」って言ってたっけ。


 波留はそんなことを思いだしながら4つ目の部品というか要素の試作に取り掛かっている。それは霊子に方向性というか物質に干渉する力を与える要素だ。


 それは人間で言うならば魂に相当するものであり、波留はそれを疑似魂魄と呼んでいる。霊子は魂魄による思念に反応して物理世界に影響を及ぼすことができる。これが魔法の正体であり、地球的に言えば霊能力の正体である。


 魔素あるいは霊子を取り込み、物質に干渉する力を与える。それは思念よって変質した魔素あるいは霊子であり、その力を魔力あるいは霊力と呼ぶ。それをユニット化したものが霊力発生ユニットになる。つまり霊力発生ユニットには人口魂魄――ただし、能力を限定して簡略化したもの――が組み込まれている。


 つまり、魔素に思念で干渉し方向性と力を与えると魔法が発動する。言い換えれば霊子に思念で干渉し、方向性と力を与えると霊能力になる。


 ちなみに、魔獣が魔力をため込んだ物体が魔石であり、波留はそれを人口霊石として再現しようとも考えている。もしそれが実現すれば霊子収集ユニットや霊力発生ユニット無しの装置が稼働することになる。それは装置の小型化を意味し、波留が考える製品展開には欠かせないものとなっている。


 それは置いておくとして、魔力あるいは霊力の方向性の変化と力の強弱を制御するのが術式であり、それをユニット化したものが霊術格納ユニットだ。


 要するに波留が考えている装置とは、霊子を霊子収集ユニットから霊力発生ユニットに送り込み、発生した霊力を霊術格納ユニットを通して物質に付与作業を行わせることで、製品に霊能力を付与する装置である。


 ここらあたりの理屈は、特許出願時に補足資料として添付されていて、特許願が公開されれば世界中に知れ渡ることとなる。


――公開すれば学者さんたちの霊能力の研究とか役立つからな。俺だけ使える能力なんてものはやっかみの対象になるだろうし、きっとろくなことにはならんだろう。早いとこ研究して解明してもらわなきゃ、俺が死んだら技術の途絶になるって思われてるだろうし。それに、俺を殺すことが恐らくあらゆる国の軍隊にも不可能で、さらに寿命が無限に近いなんてことは誰も知らないんだよな。


 現時点で波留のもとには研究に参加して欲しいとか、実験に協力してくれとかいう学者先生方の依頼が多数舞い込んでいる。けれども彼には、彼らに付き合っている暇が無いのだ。だから彼は特許願に添付した補足資料を依頼者に渡して事なきを得ている状態だ。


――将来的には養成学校でも創るか……。


 それはもちろん霊能力者の養成学校である。霊能力が使える者を増やし、霊能力がただ幽霊が視えたりするだけの能力ではないこと、つまり、非常に有用な技術であることを早急に広めたいと波留は考えている。


 そうなればいずれ、波留が開発する様々な製品の他にも様々な霊力を利用したアイテムが世界に溢れるだろう。そうなることを波留は望んでいるのだ。一人が能力や技術を独占し続けるという状態は世界に歪をもたらすことになりかねないし、そんな世界はきっと楽しくない。彼はそう考えている。

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