『白き旅団』、解散?
「『白き旅団』を解散しようと思う。」
唐突にシェンラーから放たれた言葉は、キューラの病室に静かに響いた。
「解散って、どうゆうこと…」
ティラは疑問を投げかけた。何故、解散なのか。理由を知りたかった。
「俺は今まで過去の記憶があまりなかった。でも、記憶を取り戻して分かったんだ。俺は人間じゃない。魔族と人間の配合種、【魔人】だったんだ。だから…」
ティラは机を叩きながら勢いよく立ち上がった。
「それが、なんで解散につながるんだ?シェンラーはシェンラーだ。魔人だろうが、人間だろうが関係ない。お前は白き旅団のリーダー、シェンラー・ペインチェルだ。」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ。でも、俺は魔人だ。あまり関わらない方がいい。」
「でも…」
さらにティラは想いを伝えようとしたが、クラストに止められた。
「シェンラー、お前はそれでいいのか?」
「…俺は…」
5人が向かい合う机の上に、シェンラーは手を出した。
「俺は【魔人】だ。人類からは嫌悪される存在だ。それをわかったうえで、俺に着いてきてくれる者は、手を重ねてくれ。」
真っ先に動いたのはキューラだった。
「俺は元々お前と旅するって決めてたからな。」
次に動いたのはクラストだった。
「俺はここ以外に居場所がないからな…俺も着いていくよ。」
続いて動いたのはティラだった。
「もともと抜ける気ないし、私だって【転生者】で、本来なら嫌悪される存在だからね。今更気にするわけがないじゃん。」
キューラ、クラスト、ティラが、シェンラーの手に自らの手を重ねた。
「…」
一人フランは迷っていた。フランはまだ、他のメンバーと異なり、シェンラーとの面識が浅い。
「フランはどうしたい?」
一人迷うフランにティラは問いかけた。
「私たちは強制しない。ここには孤児院だってある。【白き旅団】を抜けても生きていくことはできるけど…」
「私は…私はみんなと行きたい!みんなと旅して、世界を見て、そして、あのエルフの冒険者にもう一度会う!」
フランは勢いよく手を叩きつけた。
ベシッ
「痛っ〜」
ティラは声を上げた。想像以上に勢いがついてしまい、ティラの手を思いっきりフランは叩きつけてしまった。
「あ、ごめん…」
悪意はなく、本当に心の底から出た謝罪だった。
「ふっ、何やってんだか…」
キューラが呆れたように言った。
「そういえば、シェンラー、これからどこに行くの?」
フランは聞いた。ずっと疑問に思っていた。この【白き旅団】の旅の目的地はアルガ帝国だった。だが、アルガ帝国に到着した今、次なる目的地は何処になるのか。
「うーんとね…俺なりに色々考えたんだけどさ…魔王を討伐しに行こうと思う。」
「!?」
突然のシェンラーの発言に一同は困惑した。魔王討伐。それは勇者の役割だ…と。
「魔王討伐って…本気で言ってんの?」
「当たり前さ。俺たちならできると思うんだ。」
「魔王討伐…か…」
各々が声を出した。そして、全員の意見が一つの疑問に集まった。
「ねぇ、シェンラー。私たちって…魔王と戦えるほどの力、あるの?」
「それなんだけどさ…」
そう言ってシェンラーは一枚の紙を取り出した。
「これを受けようと思う。」
紙の内容は…
『討伐依頼』
アルガ帝国に隣接するアルガ平原にて、多数の魔物の存在を確認した。危険度は不明。B級以上の冒険者パーティーに討伐を依頼する。
「危険度不明ってところが気になるけど…まぁ、平原の魔物だし、大丈夫か。」
ティラは言った。
「この依頼で力試しをするってわけか。」
続いてキューラが言った。
「この依頼、受注してくるけど…みんな大丈夫?」
「うん。」
「いいと思う。」
「良いんじゃない?」
「私も良いと思う」
「じゃあ、ちょっとギルドに行ってくる。」
そう言っつシェンラーは部屋を後にした。
この時のフラン達は知らなかった。今自分たちが受注しようとしているクエストの討伐対象が、A級を超える突然変異の魔物達の集まりだと言うことに。
次回「戦力不足」




