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託された思い

「サガンさん、お願いがあります。」

キューラは少しづつ目を覚ました。

「ここは…?」

「ここは、私が一時的に作り出した仮想世界です。この空間で動けるのは、私とあなただけです。」

「…。」

「時間が無いので、重要なことだけを伝えます。」

「?」

「今、シェンラーから放出した竜巻、あれは本来シェンラーが生まれながらにして所持している力で、通常なら力をコントロールし、意のままに操ることが出来るのですが、魔力量が多すぎるため、私が常に制御していました。しかし、私が意識を失ったことで制御が外れ、暴走してしまいました。私の力ではもう抑えることができません。それに、私の命はこの魔法が解けると同時に尽きてしまいます。そこで、あなたにシェンラーの暴走を止めてもらいたい。」

「…無理だよ。僕には。」

「ごめんなさい。もうこうするしかないんです。あの子を、シェンラーをお願いね。」

話終わると、シェンラーの母の体から魔力が解き放たれ、キューラの体に収集した。

「…!力が、湧いてくる…。」

シェンラーの母の力が譲渡されたのち、一時的に作り出された時間の制止した世界は崩壊した。

「待って!」

再び時が動き出した時、シェンラーの暴走した魔力(竜巻)がキューラを襲った。

「ぐうっ…」

(わからない。わからないことが多いいけど、何故だろう…力の使い方がわかる…。)

竜巻に押し潰されながらもキューラは懸命に足掻き続けた。そして、一瞬シェンラーの力が弱まった隙をつき、キューラは魔法を解き放った。

「止まれぇ!」

キューラは自分の持つ魔力を全て使い切る勢いで魔法を解き放ち続けた。すると、不思議なことにシェンラーの魔力とぶつかり合い、キューラの魔法とシェンラーの魔力は、激しい光と共に、消滅していった。



「…戻った、のか?」

気付くと、シェンラーは体内の魔力のほとんどが消え眠っている。マルシも気を失っており、シェンラーの母は少しずつ肌から色が消えかけていた。マカンはかろうじて意識を取り戻したが、檻から出られていない状況だ。

キューラは疲労でフラフラな足を無理やり動かしながら檻の開錠方法を考えていた時、シェンラーが目覚めた。

「ママ…?」

(!!まずい!また母親の死体を見たら魔力が暴走しかねない)

シェンラーの視線を遮ろうとシェンラーと母親の間に入り込もうとしたが…

(間に合わない…!)


「《空間転移》」


「!?」

気付くと、キューラ、マカン、シェンラー、パルラードの4人が、一人の男の元へ集められた。

「ラムス!?」

「…。」

マカンはラムスに問いかけた。

「今更俺たちを助けて、どういう風の吹き回しだ?」

「なに、最後くらいカッコつけようと思っただけだよ。」

「最後?」

「ああ。今、騎士団がフロルゴ団の野営地を襲撃している全員捕まるのも時間の問題だろう。」

「…お前はどうするんだ?」

「俺はマルシと共に自首するよ。俺たちが始めたことだ、しっかりケジメは付けるさ。」

「…。」

「そんな暗い顔するなよ。この国で死刑になることはそうそう無い。大人しく自首すれば終身刑くらいで済むと思うから、また会おうぜ。村長さん。」

マカンが顔を上げた時にはパルラードの姿は消えていた。

(またな、パルラード、マルシ。)




シェンラーは何かしらの魔法で眠りについていた。

「なぁ、サガン。あの黒い竜巻を抑えた力は何だったんだ?」

マカンは聞いた。

「分かんない。シェンラーのお母さんから貰った。」

(…。)

マカンは考えた。

(あの魔法は、おそらく制御魔法だろう。この様子だと、今は上手く抑えられてるみたいだな。)

「パルラードさん、俺、村に戻ろうと思う。村の人たちが心配だからな。」

「分かった。じゃあ、俺たちも…」

「いや、すまないが、その二人を連れてサルタナさんのところに行ってくれ。シェンラーの力について、わからないことが多すぎる。」

「サルタナ!?俺あいつ苦手なんだけど…」

「そこを何とかお願いしますよ。」

「…分かったよ。ほら、サガン、行くぞ。」

パルラードはキューラを連れて、シェンラーを抱えて、サルタナと呼ばれるものの元へ歩み始めた。

次回「白き旅団の始まり」

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