第113話 モンスターハウス
さすがに何度も潜っているというだけのことはある。人志さんと綾子さんは長い砂のダンジョン内を一切迷うことなく下へ下へと進んでいく。
それに伴い魔物も強くなっていっているようだったが未だに俺は戦闘においては蚊帳の外だった。
「スキル、発破魔法ランク5っ!」
綾子さんがお得意の発破魔法で遠距離から魔物を攻撃し弱らせると、
「スキル、パラメータ倍化っ!」
スキルによって強化された人志さんがこれを斬り捨て葬り去る。
二人は連携の取れた攻撃によって襲い来る魔物を一体ずつ確実に返り討ちにしていった。
そしてダンジョンに潜って三日目が経とうとした頃俺たちは長い砂のダンジョンの地下二十八階にまで下りてきていたのだった。
「さあて、いよいよ次は地下二十九階だよ。気を引き締めていこうか」
「そうね。油断大敵ね」
地下二十九階への階段を前にして人志さんと綾子さんが言葉を交わす。
二人はこれまで地下二十八階までしか来たことがないらしくここからは二人にとっても未知の領域なのだそうだ。
「佐倉くんもいいわね? 魔物が襲ってきても絶対に一人で戦おうなんてしないでまずは逃げることを第一に考えてね」
「はあ……わかりました」
綾子さんは相変わらず俺のことを過小評価しまくっている。
おかげで俺は未だみそっかす状態だった。
「よし、じゃあ行くよ」
「ええ」
「はい」
俺たちは人志さんを先頭に階段を下りていく。
☆ ☆ ☆
「ちょ、ちょっと、何これっ……!?」
「おいおい、嘘だろ……」
綾子さんと人志さんは地下二十九階に下り立つなり声を落とした。
二人が目を見張るのも無理はない。
俺たちが下り立った空間には数十という数の魔物がいたからだ。
「この魔物たち、みんな寝てるの……?」
「そ、そうみたいだね」
声を殺しながら二人は顔を見合わせる。
理由はわからないが二人の言う通り魔物たちはみんな眠りこけていた。
「ど、どうする綾子?」
「どうするってここを通らないと先に進めないし、行くしかないでしょ」
「そ、そうだね……じゃ、じゃあ物音を立てないように行こう。佐倉くんもついてきて」
「はい」
俺たちはぐっすりと寝入っているお化けコウモリや回復ウサギ、駆動騎士や鬼面道士、アダマンタイトらの横をすり抜けるようにしてゆっくりと部屋の出口へと向かっていく。
☆ ☆ ☆
出口まであと一歩というところまで来た時だった。
ざざっ!
先頭を歩く人志さんの砂を踏みしめる音が強く響いた。
すると横にいた回復ウサギの耳がぴくっと動く。
そしてそのまま目覚めてしまった回復ウサギが、
『キュイイィィー!』
ほかの魔物たちに知らせるかのように鳴き声を上げた。
すると、その直後むくりと起き上がる魔物たち。
『『『ギャアギャアッ!』』』
『『『キュイイィィ!』』』
『『『ブーン……!』』』
『『『グェッグェッグェッ……!』』』
『『『ウオオォォォ―ン!』』』
・
・
・
俺たちに気付いた魔物の大群は一時も間を置かず一斉に襲い掛かってきた。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




