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さらば愛しき人よ

「お前の攻撃など私には通用しない」

ブラウの意思を嘲笑うかのように相手は叫ぶ。

その言葉に一切応答はせずブラウは自らに纏ったオーラといえるような威圧的な雰囲気をぶつける。

「さっさと感染するといいわ」

「ふん、私が何の対策もしないとでも。さあ行くがいい。好きなだけ喰らい尽くせ」

迎撃するように相手もオーラをぶつけ

「どんなウイルスか知らんがな。こいつらがすべて喰らい尽くすさ」

「これはファージ。なるほどね。私の攻撃は無効化されるわけね」

「そうだ。お前のその能力は恐ろしいが正体ががわかればどうってことない」

「なら、これはどう」

ブラウが何かを唱えると彼女の足元から不快害虫と呼ばれる見た目の気持ち悪い虫達が続々とわいてくる

「さあ行きなさい。あいつを恐怖に陥れるのよ」

ざわざわと近づいてくる虫たちを前に相手は戦意を喪失しそうになるもののなんとか反撃を試みようとするが虫たちを直視できない。

「ほ〜ら、これなら対処できないでしょう。さっさとつぶれてしまいなさい」

「なめるな、これくらいで、って、うわ」

「どう、人類にとって最強の厄介者のツートップは」

足元を這いずり回る黒い物体と耳元で不快な音をたてながら飛び回る小さな飛行体に戸惑う相手。

「くそがぁ、こんなことで。腕が痒い。なんてことだ。こいつら俺の血を」

血を吸われたことと目に映る黒い物体で相手は冷静さを失っていた。

「ええい、何もかも消えてしまえ」

突如としてどこからともなく現れた炎によって虫たちは焼き付くされた。

「どうだ。こんなことで俺が負けるか」

「いいえ、あなたはもう終わりよ」

いつの間にか距離を詰めて相手の目の前に現れたブラウに驚く相手に対して

「戦いの最中に冷静さ失ったらまず勝てない。あなたが言っていたことよ。それは間違っていなかったようね」

そう言って言いながらブラウは相手の顔にモンゴリアンチョップを打ち込む。

「こんなのでくたばるか」

ダメージは残っているのだろうが打撃を入れられたという事実が彼を動かす。

蹴りやパンチを打ち込むがブラウはことごとくかわしていく。

「なぜ当たらない?」

「しょせんはあなたもこどもだったってことね。そんなんで当たるわけないわ」

「くそがぁ、なぜ。終わってたまるかぁ」

醜態をさらしながらそうわめくがその声はだんだんと小さくなっていく。

「そんな姿は見たくなかった。もう終わりにするわ」

倒れていく相手を抱き起こしたブラウは唇を重ねる。

「一体何を?」

「最後に夢を見させてあげる。わたしもね。踏ん切りをつけるためにも。一度は愛したあなたを送ってあげるわ」

「お前、まさか。AIDSをオレの中に」

「そうよ、しかも速効で発病するようにね。もうあなたの免疫は機能しないから」

「待て、オレを殺すのか?このオレを」

ブラウは答えない。そして最後の一手を打つ。

「さあ逝きなさい」

つぎの瞬間、何十万匹ものを蚊が襲いかかる。

蚊は病原体を媒介する。普段なら発病しない病気でも免疫を失った状態では確実に発病する。そして治癒しない。確実に死亡する。

そうして相手はやがて息絶える。

ブラウは複雑な表情を浮かべて呟く。

「さよなら。愛した人よ」




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