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覚醒③

たわいのない会話をしながらも戦闘はつづいていた。相手は飛ばした両腕を巧みに操りビームのようなものを次々に発射してくる。それをかわせるものはかわしかわせないものはプロテクションの応用というべきもので防ぐ。そんなこんな攻防が何十分と続いていた。

「あのジオングみたいな攻撃をなんとかしないとね。なんとかなんない」

クボタはエレノアに呼び掛ける

「いまさらだけどあなた、意味不明な時があるのよね。それとプロテクションだと思っているだろうけどこれはバリアといって別物、魔法でも物理でもあらゆる攻撃を防御できるの。でもこれ使える人あまりいないよ。あなたみたいに膨大な魔力があるから使えるのよ」

「ほう、妖精に魔力制御させているとは、思っていた以上ですね」

エレノアとクボタの会話に割り込んできた相手ではあるがそのせいでわずかに隙が生まれる。そこを見逃すクボタではなかった。

一瞬動きの止まった両腕を掴んで思い切り気合いの入った魔力を注入する。粘土細工を砕くかのように両腕は粉々に粉砕された。直後に敵に再び殴りかかる。が、それは何の手応えもなくむなしく空をきるだけだった。

「もっと利口だと思ったですけどねぇ。残念ですよ。ただ殴るだけのパワーファイターだったとはねぇ」

「うるさいわ。あんたみたいなのにはこうするのがいいと思ったからそうしているまでのこと。けっしてノープランってわけじゃねえ」

「ちょっと、冷静になりなさいよ。相手の思うツボでしょうが」

思わずエレノアが宥めるように会話に割ってはいる。

「ほうら、いきますよ」

若干ふざけたような感じで敵は次の攻撃に移る。無数のなんとも言い様のない物体がクボタの回りを飛び回る。

「それ、撃ちまくれ」

敵の号令とともにその物体はクボタめがけて光線を放つ。

「ちっ! 今度はキュベレイかい」

「ヤスト、あんたまだ」

「いちいち独り言を拾うじゃねえよ。こんなの喰らったところでどうってことねぇわ」

「ダイレクトニードル」

無数の光線を浴びながらもクボタの発動した魔法により無数の針状の物体が光線のでもとである物体をすべて打ち落とす。

「お見事ですね」

感心する敵の一瞬の隙を見逃さず全身血だらけのクボタは体当たりを敢行する。敵に覆い被さるように馬乗りになったクボタは休む間もなくただひたすらに殴り続ける。

「無駄ですよ。いくら殴ってもすぐに再生しますよ」

「だったら再生するよりも早く砕くのみ」

「無駄だといったでしょう。無駄無駄無駄無駄」

その言葉に答えることなくクボタはただひたすらに殴り続ける。

一分が一時間にも感じられるなか雌雄は決した。

「ばかな、再生しない」

「原子レベルで砕いたからな。もうお前は終わりだ」

「そうですか、やはり私の見立てに間違いなかった。あなたなら助けられる。

まだ生存している仲間達を」

「何を言っている?」

「気づいていると思いますが私はとっくに死んでいます。死してなおこうして戦わざるの得なかった。私はね、だれか本当に私を殺してくれるものを探していた。やっと念願がかなった。もうひとつ願うのならまだ生きている仲間達を助けてほしい。私みたいにならないように」

「なんてこった。俺はあんたの作戦に見事に嵌まってしまったわけだ」

「結果としてあなたは真の力に目覚めはじめた。まだまだ強くなれますよ。期待を裏切らないでくださいよ」

「確約はできないけどな。やれることはやるよ」

クボタの言葉は相手には届かなかった。意識をなくした相手の体は砂のように細かくなりやがてどこかへ飛び散っていく。その様子をクボタは敬意を込めて敬礼をして見送る。

「アルビー」

不意に呼ばれたアルビーではあるが彼女はすぐに意図を理解した。

「もうなにもしなくても魂は浄化されています。納得した表情でしたし。きっと来世は幸せな人生を送れるでしょう」

「だといいがな」

しばし感傷に浸るがここは戦場。すぐに現実に引き戻される。

「敗れたか。だがあやつは幹部連中の中でも最弱。ここで手間取っているようではここまでたどり着けまい」

どこからともなく声が聞こえる。

「やかましい。そんなお約束のセリフなど聞きたくない。それよりもてめらは戦士の誇りを傷つけた。てめえら全員叩きのめしてやる」

気合いのスイッチが入ったおかげでクボタの傷だらけの体はたちまち完治する。

「ふん、期待せずに待っておるわ。中心部までたどりつけるかな」

声の主はそう言って悪役のボスのように高笑いをしながら会話をおえた。

クボタは思った。これってドルアーガの塔みたいになってきてない。むちゃくちゃ時間かかるじゃんと


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