覚醒②
「私をがっかりさせないでください。やっと強者と巡り会えたのですから。この瞬間を楽しみにしてたんですよ」
「ちっ、バトルジャンキーかよ、こいつはやっかいだな」
とは言うもののこいつとは本気でやりあえそうだと内心喜んでいるクボタであった。
「せっかくなんで俺も楽しませてもらうよ。こっからさきは言葉は不要だ」
先手必勝外ばかりにクボタは相手の顔面めがけて渾身の右ストレートをぶちこむ。
「ん、!!」
ジャイアンに本気で顔面を殴られたのび太のように拳が顔面にめり込む。しかしクボタは変な違和感を感じた。殴った拳には顔面を構成していた部位がしっかりとこびりついていた。しかも辺り一面に鼻とか目とか唇とかの部位かバラバラになって飛び散っていた。
「せっかちだねぇ、まだ話は終わってなかったのに。まあいいや。続ける?」
「前言撤回だ。説明を求める」
「どうでもいいことだけどこんな状況でも平気なんだね。普通はビビるよ。あの人たちみたいに」
ふと見渡すとドン引きしている大賢者たち。その表情は見てはいけないものを見てしまったかのようにひきつっている。
「あんたらこんなの見慣れてるんじゃないの?」
「馴れてたまるか、だいいち殴ったぐらいで鼻とか唇とか飛び散るか。オヌシ何をしたんじゃ。しかもなんであやつは顔がなくても平気なんじゃ」
「だからそれをいまから説明してもらおうと思ったの」
「のんきなものですね。私がいちいち懇切丁寧に説明するとでも……。理解できる範囲で説明しますけどね」
「まあわざわざ説明する敵もいないだろうし…、って、説明するのかい!!」
「冥土のみやげに教えてやろうみたいな感じかな。顔なんてのは単なる飾りなんだよ。あなた方にはそれがわからんようだね。メインカメラが壊れただけで私にとっては何の影響もないのだよ。会話だって直接頭に響かせれば良いだけだし」
そう相手は説明した。
「わざわざありがとう。……って再生しているじゃねえか」
「おかげさまで説明している間に再生させてもらいました。礼を言うのはこっちの方ですね」
「再生するまでの時間稼ぎか、すっかり騙された。だったらもう一度だ」
クボタは再び顔面に拳をぶちこむ。再び顔面のあらゆる部位が辺り一面に飛び散る。が今度は時間稼ぎをすることなくすぐに元通りに再生する。
「何度やっても同じ事。さあ俺のターンですね。いきますよ」
ロケットパンチ乗りように両腕が飛んでくるがクボタは難なくかわす。が両腕は向きを変えクボタに向かってビームのようなものを発射する。あわや直撃かと思われた瞬間小さな円形の物体が表れてビームのようなものを遮断する。
「やりますね。プロテクションを瞬間的にアレンジしたんですか。さすがにこんなんではくたばりませんか」
「説明いる? こっちはさっさと終わらしたいから説明したくないんだけど」
ちょこまかと動き回る両腕から幾度となく発射されるビームを防ぎながらクボタは敵と会話をする。
「要りませんよ。さっき言ったようにプロテクションの応用でしょう。それにしてもこれは魔法じゃないからプロテクションでは防げないはず。何か加工してますね」
「言わないよ。説明いらないって言ったから」
「私らは説明がいるけど」
「あんたらは黙って見とけ」
ギャラリーには冷たいクボタであった。




