戦いはまだ続く
お待たせいたしました。
本年も頑張ってまいります
「あの状態はいったい」
クボタと大賢者がやりあっている様を見てアルビーは戸惑う。
「まあ、喧嘩するほど仲がいいって言うしね」
さほど気にかけない様子で聖女は答える。
「本気でじゃれあっているだけだし。お互いにプロテクションかけあっているからダメージも受けないし」
「大賢者様とまともにやりあっているあの方はなんなのですか?聖衣を着ている私を秒殺するような方ですから強いのはわかりますが」
「あなたはまだなりたてかしら。聖衣に頼りすぎているのよ。魔法耐性があるからといってそれに頼ったから負けたのよ。あの子はそれを見抜いたの。対象
を特定しないエリア魔法なら魔法耐性など関係ないと。ただ相反する魔法を同時展開するなんてのは予想外だったけど」
何かを知っているかのように聖女はアルビーに答える。決して戦うことのない聖女がアルビーの戦いかたを指摘しているのにアルビーは違和感を覚える。
「でもさすがに聖衣ね。あれだけの重圧を受けてもこの程度の怪我ですんでいるものね。エクストラヒールをかけたけど普通はこんなに速く回復しないけど」
「その先は私から話させてもらいます。この者は白服としての自覚が足らないようですから。あなたはどうぞご自分の役目を果たされますように」
「そう、ではお願いね。アルビーさんでしたかね。この人はアンブラスさんといってね、ずっとわたしの護衛をしてもらっていたんだけどね、誰からも気づかれないように。こうして姿をあらわしたということはよっぽどあなたに言いたいことがあったのでしょうね。同じ白服としてじっくり指導してもらいなさい」
聖女とアルビーとの会話に突然割り込んできたのは宝塚歌劇団の男役のように凛とした佇まいを見せる男、聖女にアンブラスと呼ばれたその男は
「聖女様の許可もいただいたことだし。さあ私があなたに白服のなんたるかをじっくりと教えてあげましょう」
と有無を言わせずアルビーの腕をつかみそのままどこかへ連れ出す。
それを見届けた聖女は
「フォーグナ、お願いね」
大賢者が乗ってきたフクロウ、セントアウルにそう言う。
「フォー、フォー」
やれやれと言うようにフォーグナと呼ばれたセントアウルは空高く舞い上があたりを飛び回る。
「俺はいったい何を」
「ワシはなにをしていたのじゃ」
さっきまで魔弾の打ち合いをしていた二人はセントアウルの浄化の力によって冷静さを取り戻した。
「ふたりとも落ち着いたかしら、これからのことを話し合いましょう」
聖女らしさをみせるアギレラにクボタは若干の違和感を憶えるが本来聖女というものはこういう威厳に満ちたものなのである。
「あいつはどうした」
「あいつって?」
「俺がボコボコにしたやつ、口では強気だったけど、たいしたことなかったな」
「決して弱くはなかったけれどね。戦いかたを間違えたのよ。あなたがあんな事できるなんて誰も思わないし。相手を特定せず広範囲に威力を及ぼすエリア魔法なら魔法耐性は効果がないと考えたあなたとそれを見事に実行したエレノアちゃん、いいコンビになりそうね」
「だがオヌシ、いつまでもこの妖精に頼りきりって訳にはいかんぞ。自分で発動できるようにならんとな」
「わかっている。だが、自分の力がまだまだ把握できていないんだ」
「だから修行に励まなければな、オヌシの可能性はまだ底がみえておらん」
他の仲間たちをほったらかしにして今後のことを話し合う三人に誰も声をかけることができない。どうすればいいのかとこっちはこっちで会議を始めた。
聖獣たちもひとつの集団を形成するがフェンリル二頭の機嫌はすこぶる悪い。
「どいつもこいつも飛べるじゃねえか。飛べるのがそんなに偉いのか」
グリフォンとセントアウルが仲良くするのを見てそう思うのだった。
3つの集団が形成されそれぞれの課題を話し合うなか、突然大音響が響き渡る。一同は音の発生源へ駆け寄る。
そこにはちいさなクレーターのようになった地面の底にぼろ雑巾のような状態になったアルビーが横たわっていてその傍らにはアンブラスが厳しい表情をして立っていた。




