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常夜灯の明かりに薄ぼんやりと照らし出された少年は、変態の強制愛撫によって身体中を撫でまくられていた。
自由を奪われされるがままにその身を任せ、頬を赤く染め、息は荒く…そして、何かを諦めたかのようにぐったりしている。
満足しきった変態が漸く正気を取り戻した。
当初の目的を覚えているか否かはあやしい…。
「あ、私、雫、君は?」
「はあ、はあ…はぁはぁ…コ、コウだ……銀狼族のコウ」
未だ雫の腕の中でぐったりとしている獣人のコウは、まだ16歳の少年だった。
雫が(無理矢理)触りまくった感じでは、細身だが鍛えた逞しい体躯をしている。
忍兄に見られたら絶対ロックオンするよねー。むふっ楽しみぃ。
やはり絡みを見てみたい。できればじっくりと…
「んじゃ…縄、解く、よろし?」
「た……たのむ……」
コウの身体を正面から抱いたまま、背中に手を伸ばして縄を解いていく。床に座って両股の間にコウの身体を挟んだ状態で、その身体を抱き寄せているのだ。この姿勢だとやり難いと思うのだが、雫は一向に構う様子など見せずに、縄に集中している。
雫の慎ましやかな胸に顔を埋める体勢にされたコウは、逆らっても無駄と諦め大人しくしているが、そこは年頃の男の子である、女性の身体と密着してドキドキしないはずがない。収まった下半身にまた熱が集まりつつあった。
「…おい…たのむ……はやく…」
『あれ?結構難しいな…ん、かっ固い……』
「………まだか?」
「ちょっと まつ………んぐぐぐぐぐぐ…」
密着した身体からは、やはり甘い香りが漂っていた。
「……………お前」
「し・ず・く」
「し…雫…」
「なあにぃ?」
「…いい匂いが「あっ外れたぁ」す……え?」
漸く両腕の戒めから解放されると、急にくるりと背を向けもぞもぞするコウ。おそらく足を縛った縄を解いているのだろう。
「女にイカされるなんて女にイカかされるなんて」とぶつぶつ呟いているのだが、幸いにして雫の耳には届かなかった。
薄暗い常夜灯に照らし出された銀狼族のコウは、姿どうこう以前にほぼ全裸であった。そりゃぁ物陰に身を潜めている訳ですよ。腰のあたりに申し訳程度に巻かれた布っきれが彼の唯一の持ち物だ。
「な、なあ、雫…お前歳は…?」
「20歳」
「そ、そうか、なら大丈夫だな」
「???」
「今からお前は俺の女だ!!いいな」
ほぼ全裸でプロポーズって…しかも、俺様属性か!!
「ああ…ごめん…うち、既に犬飼ってる…」
「誰が愛玩動物の話をしている!!それに俺は犬ぢゃない、狼族だ」
ぐわしっとほぼ全裸の獣人に両腕を掴まれたが不思議と恐怖感はなかった。恥じらいもないが…
それなりに体格の良い少年と、幼女の如く小柄な成人女性が暗闇で抱きあうのは、絵面としてどーなんだろー。ここは大人の対応だとコウの頭を抱き寄せ「よしよし」と撫でてみる。
「ば、馬鹿!…なにやって…」
おー照れとる。
―――受けだな…カテゴリーでは俺様受け。
因みにアルフレッドは、雫の中では「ヘタレ攻め」にカテゴリーされている。
「お、お前は俺の女なんだぞ!分かったか!!」
「あーはいはい…コウ、私の兄、話する、いいね」
「お前の兄上?……分かった、兄上の許しを頂けばいいのだな?ここを出たら必ず会いに行こう」
ペット飼うには家族の同意がいるよねー?
コウ君可愛いから大丈夫かな?兄も犬猫好きだしね。
「コウ、雫、名前、発音、できるは何故?」
「ああ?獣人は耳と鼻が良いからな。まあ、確かに響きの変わった名前だが、東大陸の人間か?」
「んにゃ、東の島、すごく遠く」
異世界トリップなんて説明するのは面倒だし、東の島国で良いよね?嘘はついてない。
「そっか…もしかしてあいつ等に無理やり連れて来られたのか?」
「違う、兄と来た、私、迷子、知らない人、迎え来る、人違い??」
「あぁ、兄上とはぐれて迷子になったのか……迎えのそいつはたぶん人買いだな。雫は見た目が幼いからな、かどわかして売り飛ばすつもりだったんだろう。顔立ちも珍しいし、奴らに目を付けられたんだ。今頃は雫の兄上が心配して探しているかもしれないな?」
うん、急にいなくなってアル君心配してるだろうな…彼の事だ、忍兄にも連絡してくれるだろう。何故だろう、忍兄なら異世界だろうと必ず私を見つけてくれる気がする。
「コウ、ここでル、どする?」
「ああ、もちろん此処を出る。だがその前にもう一人助けなきゃならない人がいる」
ほー他にも捕まってる人がいるんですねぇー。
というか、さっきからグラグラと地面が揺れている気がするのですが?
「ああ、俺の幼友達があいつ等に掴まってるんだ」
何でもコウはその友人を助けようとして、捕らえられたという事だった。
隠れ里(※って本当にあるんですねぇー)で一緒に育ったとう幼馴染みが、人買いに目を付けられて誘拐された現場に居合わせ、助けようとしたが逆に捕らえられて此処へ放り込まれたと。
「奴らは補給が済んだら直ぐにでも出航するだろう…その前に逃げ出さないと。」
「え?…ここ船 中?」
「なんだ、気付いてなかったのか?ここは奴らの船の中だ。この港を出てしまったら……いや、このノクスを出てしまったら、俺達はもう魔族国へ戻ることはできない。何としても、船の出港前にあいつを助けないと」
アヴァンディール王国は中央大陸の中でも奴隷制度に明確な基準を設けており、奴隷と認められているのは犯罪奴隷と借金奴隷のみ、犯罪奴隷とは犯罪を犯した囚人が奴隷身分へと落とされること、そして借金奴隷とはその名の通り借金のかたとして奴隷になるというもの。犯罪奴隷は終身刑の犯罪者が魔石鉱山などで死ぬまで奴隷として従事するのに対し、借金奴隷には賃金が発生し、借金の返済が終えれば身分を取り戻す事も可能だ。
だが、他国では誘拐されてきた子供が奴隷として売り買いされれたり、獣人族というだけで奴隷に落とされ戦奴として戦場で肉の壁にされたりするらしい。一度奴隷とされた者が、その身分を取り戻すことは困難だという。つまりは、このノクスの港を出港してしまえば、他国で奴隷として売られてしまうのだ。
コウ達は魔族国の辺境にひっそりと暮らしていた獣人族らしく、そこで人買いに捕まって船で連れて来られた。ここノクスの港で逃げだすことが出来なければ、彼だけぢゃなく私も二度と忍兄に会えなくなってしまう。しかも奴隷として他国でエロ親父(※雫の脳内では何故か決定事項)に売られてしまうなんて、そんなエロゲなシチュは望んでない!!私が買うなら話は別だが…
「ここ辺境伯領は奴隷制度には特に厳しいが、他国から運んできた奴隷は荷物扱いで王国の奴隷制度には適用されない。奴らも奴隷証を偽造して申告しているはずだから、逃げだしてしまえば助かる道はある。役人に奴隷証を詳しく調べてもらえば、俺達が奴隷じゃないと分かってもらえるだろう。この国なら、獣人だからといって問答無用で奴隷にされる訳でもないしな」
元よりコウはこのノクスで何とか逃げ出そうと考えていたようだ。
そうだった!!私と兄の後見人はシャール様だ。ここから逃げだせば、シャール様に助けてもらえるだろう。シャール様ならきっとコウの事も助けてくれるはずである。
「大丈夫!! 私、役人?偉い人、知るます。私、逃げる一緒」
そうと決まれば!!……逃げる前にコウの服…なんとかしないと。




