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※10/31 訂正  

前12話訂正してあります 2weeks after → 3weeks after

頭がパンクしそうだー!!



最近はアル君指導の元、異世界の共通語を勉強している。日常会話や読み書きを毎日毎日毎日毎日……学生時代でもこれほど真剣に勉強した事はない。とはいえ、高校生活は殆ど引き籠っていたんですが…。


何故そんなに頑張っているかというと、アル君の意思疎通魔術は、会話に困る事はないのだが読み書きには対応していない。こちらの世界の本を読みたくても、書いてある文字はクネクネとした見た事のない異国の文字なのだ。


意思疎通魔術の効果で脳の言語野が活性化されているらしいので、異世界の言葉を覚える助けにはなっているそうなのだけど…その効果なのか、日々の勉強の成果なのか、今では街の看板やカフェのメニューなど、簡単なものなら理解できるようになった。


それでも念願の魔導書を読むには至っていない。何故なら、多くの魔導書は古語で書かれていからだ。現在、私が勉強しているのは所謂、共通現代語。それでも初心者向けの魔導入門書には共通語翻訳された本も多く出版されているというので、毎日勉強の日々を送っている。


魔法など「口頭で簡単に教えてくれれば良いから」とアル君に言ったら「そんな簡単な事ではない」と怒られた。アル君曰く「魔術とは世の理を理解する事」らしい。様々な事象を理解し、数学でいうところの公式の様な術式で魔術式を構築し実行する。魔術式の構築が正しくないと発動しないどころか事故の元だとか。

リアル魔法少女への道のりは遠い……


因みに、兄は驚くほどのスピードで日常会話をマスターしており、それにはどうやら夜ごと行われるピロートークが功を奏しているようだ…

だからいつも夜外出してんのね…忍兄、いつ寝てるの?


「シズクさん…ちょっと休憩しましょうか?」

「うん…しかし、いつになったら魔法が使える様になるんだろうかぁ」


すっかり勉強机となったダイニングテーブルで、アル君と一緒にティータイムだ。


「今は知識を深め良く理解する事です。シズクさん達の身体は、少しずつですがこちらの世界に馴染んできています。こちらの世界で呼吸し、食べて、感じることで、体内に魔術回路が構築されつつあるのです。魔術回路さえ整えば、魔力を感じ、魔術を行使することも叶いますから」

「うん、頑張る!!」


なんでも、私達兄妹がこの世界に来てから、少しずつだが身体がつくり変わっているそうだ。魔法のない世界から人間だから魔法が使えないはあり前なのだが、身体が変化してしまえば、魔法少女も夢ではないという!!頑張れ私。



「あの、シズクさん…シズクさんは元の世界に戻りたいですか?」

「えっ?何?急にどしたの?―――――そだねぇんーどうかなぁ?こっちの世界は楽しいけど、あっちには静姉やパパもいるし…もう2人に会えないのは嫌かなぁ?」

「ぱ…ぱ…ですか?」

「うん、お父さんって意味だよ。って言っても、忍兄や静姉からしたら叔父さん。戸籍上では私も姪になるんだけど、パパって呼んでる」

「お母様にもお会いたいのではないのですか?」

「ううん、それはない。私貰われっ子だから…」


うちはちょっと複雑だ。

兄姉の両親は私の戸籍上の義父母であって、本当の両親ではない、私は兄姉達と血が繋がっていないのだ。2人にとって叔父にあたる信慶(のぶちか)パパが、ある日突然何処からか連れてきた赤ん坊、それが私だ。


「自分の娘として育てたい」信慶(のぶちか)パパはそう言ったが、独身の男性が養子縁組するのは難しく、兄姉の両親が養子縁組する事で信慶(のぶちか)パパは私の養育が可能になった。


その2年後、兄姉の両親は離婚し、兄姉は正式に祖父の家に引き取られる事になった。だが、元より育児放棄されていた2人の子供は、祖父の家で生活する時間の方が多い位だったので、自宅と祖父宅を行き来しなくなったというだけの事だ。


血の繋がらない妹など疎ましくはないのかと思いきや、忍兄も静姉も歳の離れた私を本当の妹のように可愛がってくれた。仕事で忙しい叔父に代わり幼い妹の面倒をみるのは大変だったと思うのだが、愛情不足を感じたことなど全くなかった。2人の妹で良かった。心からそう思っている。


「そ…そうだったんですか…」

「うん、だって私と忍兄って似てないでしょ?」


静姉は何処となく忍兄に似ているのに、私は2人とは顔のつくりも体格も全く違う、当たり前だが…。だからこそ、兄と似ている姉と付き合ってる孝兄(たかにい)(※兄の親友)が、ホントは兄が好きだったのでは?と腐った妄想をしてしまう…。孝弘(たかひろ)本人にそれを言ったら、静姉と忍兄は似ても似つかないと怒られた…。


「忍兄達と似てるのは名前くらいのものだねー」

「シズク…シノブ…シズカ……確かに似た響きですね」

「うん…でもねぇ…雫ってオマケの名前だからなぁ」


そう、私の名前には忍兄と静姉のオマケ的なものだ。。

忍兄の命名はお祖父ちゃん。何でも初恋の「志乃さん」に由来して名付けられたという事だ(笑)。長男に自分の初恋の女性の名前を命名したお祖父ちゃんはツワモノだ。やはり家族の反対はあったそうだか、どういう経緯か?忍兄の名前が決定してしまった。

そこで静姉の時には志寿(しず)お祖母ちゃんの名前をいただいて「静」になったという訳だ。お気付きの通り、志乃さんは志寿お祖母ちゃんのお姉さんである。

そして、私の「雫」は2人の兄姉の名前に語感を合わせただけではないかと予測している。命名はパパらしいのだが、自分の名前の由来を聞いた時に笑って誤魔化された…。


「僕は好きですよ。シズクさんのお名前」

「えー?どこがぁ?」

「確か…雫…と発音するのでしたね」


おお、異世界人で初めてちゃんと発音出来たよ。


「雫様の御父上がどのような由来で命名されたのか押して知ることが出来ませんが、雫という言葉は悪いものではありませんよ」

「だって水滴って意味だよ?」

「これは魔人族に伝わる話ですが―――魔人族に限らず魔力が強い種は子供が授かり難い傾向にあります。それ故、魔人族では生まれてくる子をとても大切にしているのです」

「それが私の名前と何の関係があるの?」

「魔人族の夫婦は子供のことを【愛の雫】と呼ぶのですよ」

「あ、あいのしず…く?」


な、何て恥ずかしい表現…子供は愛の結晶っていうやつか?


「はい、愛しあう2人の愛がこぼれる程に溢れかえったとき、落ちた雫が2人の子供になるのだと謂われています」

「それ……ほんとう?」

「はい、魔人族の口説き文句に【君と雫をつくりたい】というのがありますから」

「その表現嫌だ…」

「子供は種族の宝…いえ大切な雫ですから、魔人族はたとえ愛人の子供であっても大切に育てるそうですよ。そもそも魔族国に孤児はほとんどいません。同じ種族の集落で挙って面倒を見ますし、養子にと望む夫婦が多いからです。国でも手厚く保護していますからね」


この話が本当なのか?それとも私を慰めるためにアル君が創造したのかは分からない。でも、ちょっと自分の名前が誇らしく思えた。いつかパパに再会できたら、その時は【愛の雫】の話を教えてあげよう。


「そっかぁアル君ありがと―――さて、そろそろわさびの散歩行こうか!!」

「そうですね、日が暮れる前に行きましょう」


夕方の散歩に限らず、外出の際にはアル君が必ずと言っていいほどついて来る。この辺りにそれ程強力な魔獣はいないそうなのだが、一応護衛という立場なので、ひとりで出歩かせる訳にはいかないらしい。忍兄が外出する時は放置なんだけどなぁ?いいの?


「アル君…」

「はい、なんでしょう?」

「これからは雫ってちゃんと発音してね♪」

「はっ、はい♪」

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