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事後です

すっかり遅くなった。西街の城壁へ来ると、いつもの衛士が「よう色男!!」と気安い声を掛けてきた。この国での騎士の階級は未だよく理解していないが、街を警邏する警邏隊や各郭の衛士、対魔獣戦が専門の隊など色々な部隊があるらしい。


夜遅い時間に内郭街から外郭街へ出る人間は少ないので、この衛士にもすっかり顔を覚えられている。しかし、内郭街へ出向く用途が筒抜けってのは問題だな。一体何処から漏れたんだ?


途中、露店で買った串焼き肉を差し入れとして手渡すと、衛士達は厳つい顔を綻ばせて喜んだ。以前「夜勤中に腹が減る」と愚痴をこぼしていたので、気が向いたら差し入れするようしている。まあ、口止め料みたいなものだ。


「内郭街で逢引ってことは、良いとこの相手なのか?」

「さてね……かなり美人であるとだけ教えといてやるよ」


あんな綺麗なヤツを夜の外郭街へ呼び出すのは可哀想すぎだ。治安の面では、やはり内郭街の方が安心できるし、店の格も違ってくる。

おそらく、あいつはどこかの貴族か豪商に買われている男だろう。男をモデルに絵を描かせているくらいだ、相当入れ込んでると思っていい。どういった趣旨でパトロンが就いているのかは知らないが、あのシャールが紹介してきた人物で、しかも魔人族だとくれば、繋がりを作っておいて損はない。


一応、口の固い店を選んで呼び出したし、あの店《Falcon's Nest》の上をそういった(あいびき)目的で使えると知っているのはごく1部の人間だけ、彼にパトロンが居たとしてバレる事もないだろう。身体の相性もいい事だし、ぜひ今後とも逢瀬を交わして頂きたい。


因みに、外郭の街は、東に港街、南には街道沿いの大きな街、西には騎士の詰め所や魔石を取り扱う工房や組合等が多い。我が家があるのは西の外郭街のはずれで、西や北の森を警戒した騎士隊の詰め所が近くにある。北は危険すぎて、街どころか家がない。あっても小さな狩猟小屋くらいだ。


家に帰る前に騎士の詰め所に顔を出すと、預けておいた魔石と金属製の棒を受け取った。

静の部屋で発見した警棒だ。あいつ何でこんなもを持っていたのか?他にもスタンガンや痴漢撃退スプレー等が見つかったのだが、さすがにこちらの世界で使うには問題がありすぎなので、元の場所へ戻しておいた。


魔石は「魔獣に遭遇したら使ってください」と、アルに無理やり手渡されたモノだ。何でも爆破の魔術式が封入済みだと教えられた。そんな危ない物を持たせるな!!だいたい、この辺りに出現するのはせいぜいが角の生えたウサギ(らしき獣)位のものだ。しかもこちらを視認すると即座に逃げる。


夜道を2つの月明かりに照らされながら帰路に就くと、叔父の部屋に明かりが灯いていた。障子から声を掛けると、現在この部屋で寝起きしているアルが顔を出した。妹は2階で既に就寝中らしい。


「まだ起きてたのか?」

「夜の方が作業が捗るので…」


文机の上には開いたままの書籍、畳には作業で使っていたのだろうガラス瓶や小さな魔石が転がっている。


「例のものか?」

「はい、一応試作品が幾つか出来たのですが、あとは外で試してみないと何とも…」


そう言って渡されたのは、香水でも入ってそうな小さな宝石で飾られた小瓶。

先日、静の部屋で見つけた防犯グッズからヒントを得て、アルに制作を依頼した痴漢撃退スプレーだ。妹に剣やスタンガンを持ち歩かせる訳にはいかないので、防犯ブザーとこの唐辛子スプレーを携帯させようと思いついた。

最近、アルと一緒に街へ出掛ける機会が増えたので、万一の際を考えて自衛させることにしたのだ。


「随分ちいさいな?」

「はい、携帯しやすいサイズをとの事でしたので、1回使い捨てのこのサイズにしました。魔石に術式を組み込んだ圧縮式で、噴射威力もありますよ。ついでに、赤い色素が沈着するように改良してあります。対象を取り逃がしても、1カ月は赤い色が落ちないので、対象を後で取り押さえる事も可能でしょう」

「要するにカラーボールみたいなものか。襲われた相手から逃げる隙を作れれば十分だと思ってたんたが、後で犯人をボコるには必要だな」


うん、思っていた以上に良い出来だ。明日にでも外で試して、妹に携帯させよう。


「それで…この唐辛子すぷれいなのですが…」

「なんだ?礼はするぞ」

「いえ、警邏の人達にバレテしまいまして…」


危険物だと判断されて、処罰されるのだろうか?


「いえその、警邏で是非使いたいと…」

「はっ???」


どうやら街の警邏で使用したいので増産して欲しいと要望があったようだ。

警邏は犯罪の取り締まりは勿論だが、時には喧嘩の仲裁にまで駆り出される。しかし、興奮しているとはいえ一般人に剣を向ける訳にはいかず、素手で止めに入って怪我をする警邏隊員も多い。この唐辛子スプレーならば、痛い思いはするが無傷で制圧できるので、警邏で採用したいという事らしい。


「いいぞ」

「えっ!?いいんですか?」


別にこれで金儲けをしようとしている訳ではないので、街の警邏が使うくらいは問題ない。だが、一般人の手に渡り、これが犯罪に使われないよう注意する事はしっかりと伝えておく。防犯グッズが、逆に犯罪に使われるケースは多々あるのだから。

R18版も自分用につくってあるのですが…ここでは掲載できないわぁ

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