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 目の前の画面には武器を取った時と同じような二重丸が来た方向と逆側に出ている状態。

 体を回して視線を二重丸が前になるように合わせてから、歩き始めるのですがすぐに壁にぶつかります。

 まあ、物理的に当たったというよりは手前で停止しているわけですが、目の前に壁という状態に違いはなく、ここに立ってどうするの?という感じなわけですが、いきなり自分の足の先がガッと掴まれる感覚。


「ひぅ」


 そんな声が何処から出たと言われるようなおっさんのちょっとした悲鳴が出てしまうわけですが、それを気にする人はいなくて少しだけホッとするのですが、今の撫子がそんな面白そうなタイミングを逃すはずもなく。


「そんな悲鳴をあげるんですね?」

「いや、いきなり両足をギュッとされたらビックリするでしょ?」

「まあ、そうなんですかね?」

「分からない?」

「ヘビですからね?」

「あー、うん」


 普通に話をすることに違和感を覚えなくなってしまうと、こういう時に困るということに気がつかされるわけですが、何となく安心するのは一年という時間を一緒に過ごしたからでしょうか?


「で、足を掴まれたわけですよね?」

「うん。今もだけどね」

「なんでか分かっていますよね?」

「え?」


 実際の話、ロボットの足元が固定されたという事みたいなのですがそんなことが起こる必要は普通無いわけで。


「もしかして?」

「ええ。舌を嚙まないように注意してくださいっ!」


 撫子の言葉の最中というかギリギリ後なのかもしれないのですが、ふわっと浮くような浮遊感があって、視線が下を向いていたのですがすぐ前、上と視線を上げるとつい数秒前までは壁だったハズの目の前にはいつも来る時に見ている遺跡の近くの森が見える状態。


「足が固定されているけど?」

「最後はタイミングを合わせてジャンプですね!」

「いや、え?本気?」


 考えてみれば浮遊感が先にあった時点でもうすでに動き始めているのは分かっているはずなのですが、タイミングを合わせろと言われてもどうしたらいいか分からない訳で。

 そんな色々な考えが頭の中をぐるぐると回り始めた所だったのですが、いつもの二重丸がピピピっとカーソルの合う音と一緒にタイムカウントをしてくれたみたいで、数字はいきなりだったにもかかわらず2。

 そして次は1とこちらに発言させるつもりは全くないみたいですが、数字が出ていたので1の次は0と頭の中の想像は0の表示と共にふわっと飛び出す想像をしてみたのですが、そのまま浮遊感が強く少しだけ高速移動をしているのか椅子に体が押し付けられるような圧もあった気がするのですが、その後は浮き上がっている感覚に。


「ん?」

「おおぉ。まあ、当然と言えば当然ですが、ちゃんと想像出来たんですね?」


 撫子が「素晴らしい」とか「気持ちがいい」とか色々と言っていますが、どういう状態?」と下の方を見てみると木々が下に見えます。


「しっかりと飛び出して浮けましたね」

「今、浮いているんだ?」

「ロボットってそういうものでしょう?」


 そういわれてしまうと、違うとは言えない気もしますが浮いているならまあ浮いたままでいい様な……違う様な気もするのですが真面目に考えてみると目の前にあった森をロボットがなにも踏まずに歩けるとは思えないわけで。

 せめて浮いておかないと、木々がバッタバッタと倒れる事に繋がったであろうと思えばこれはよかったと思える部分でもあるわけで。

 そして、そんな事を考えながらもそれなりのスピードでもって前進していることは分かります。


 そして安定して進んでいる事が分かれば自分にも少しずつ余裕が出てくるもの。


「あー、右手の丸い棒って槍だったんだ」

「ですよ?ちゃんとした武器でしょう?」

「これって、武器も動かすときは基本的にさっきまでと一緒?」

「そうですね。足を動かすのと一緒ですが『想像』が大事らしいです」

「『想像』が大事?」

「私は動かしたこと無いので何ともですが、らしいです」


 とりあえず言われた通りに『想像』してみたのは槍を奇麗に回してみる事。

 当たり前ですがペン回しぐらいはやった事があっても、バトントワリングのような凄い事はした事無く、さらに言えば長い得物を持った事……は、学生の時に教室掃除で長めのモップや箒を武器の様にしたことがある程度。くるくる回す想像は出来てもそこまで器用に出来た事などない訳ですが、想像だったら映像を頭に浮かべるだけ。

 足は空に浮いていて、その想像は今は全くしていない状態でもそのまま前に進んでいる中そんな感じの『想像』はどういう事が起こるかというと、浮きながらしっかりと槍をクルクルと体の周りで回す事出来ます。

 そして最終的には右手の中に穂先を上に持って格好良さそうなポーズ。


「これは、想像通りに出来たって事かな?」

「私も外で見ていたわけではないので何ともですが、多分出来ていますね」

「武器もこういう感じに使えばいいって事ね?」


 これだったら少しぐらいはやれるような気もしてきますが、正直な話雨の予報で傘を武器みたいにして扱った事はあっても、槍を持った事は人生で無く今が初めての状態。

 そんな自分が想像で戦えるかと言われても微妙な気がするわけですが、肩の上の撫子的には問題ないのか、気分が良さそうに外を見ているみたいです。





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