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 ふわりと浮いたまま進んでいるのですが、一応二重丸の横には小さな文字が色々と見えていて、その小さい文字の内の一つは数字。

 その数字が結構な速さで数を減らしているのはなんとなく分かります。


「これって、距離かな?」

「多分?」

「撫子はさっきから色々とやっていたけど、あんまりこのロボットについて知らないの?」

「知っているか、知らないかで言えば知っている方だとは思いますが、詳しいかと言われればそれほど詳しい訳ではないという感じですね」

「ナルホドね。とりあえずこれって……」

「ええ、しっかりと敵に向かって進んでいると思いますよ」


 浮いて進んでいるわけですが、体感時速は車と変わらないぐらい。

 それも高速に乗っているぐらいの感じなので百キロに行くか行かないかのような速度の感じで進んでいるのですが、心配なのはこのまま戦闘になる事。


「これってまだチュートリアルなんだよね?」

「多分ですが、そうですね」

「そんな状態で倒せると思う?」

「ええ。勿論」


 撫子もこれに関しては絶対という感じで言ってくるのでそんなことある?という感じを受けるわけですが、その答えは凄く単純。


「チュートリアルで負ける事ってどんなゲームだとしてもあり得ないと聞いていますよ?」

「殆ど負け無しで、絶対は無いと思うけど?」

「負けても進むのであれば、それは負けていないのと変わりないでしょう?」

「昔のゲームだと普通にチュートリアルでも負けたらそのままゲームオーバーとかもあったけど?」

「まあ、そういうものもあるかもしれませんが、殆ど無いのでしたら大丈夫でしょう?」


 ああ言えばこう言うという感じのツーカーな感じで、撫子の言葉に反論が出来ない状態。

 そんなことになりながらも、どんどん数字は減っていき数字が減る度に空の赤さが濃くなっているのが分かります。


「そろそろ、ですよ?気合を入れて下さいね?」

「気合でどうにかなるかな?」

「ロボットは気合と根性で動くって聞きましたけど?」

「いや、普通にエネルギーだと思うんだけど……」


 実際このロボットだって、よく分からない木に魔法陣を使ったら動いたわけなので、気合も根性も関係ないと言いたかったのですが、溜息をついて撫子が反論してきます。


「エネルギーが必要なのは動くもの全て一緒でしょう?そういう話ではなく、言っているんです」

「まあ、完全に否定はできないけど……うん、とは言い辛い感じかなぁ」

「思っているより細かい事を本当に……もう。まあ、とりあえずはいいとしてそろそろですよ!気合を入れて下さい」


 撫子がそういうと、尻尾を使ってペチペチとしてくるのですが言葉以上にいつものペチペチという感じがちょっとだけ嬉しくて、そのまま前を見ているとこのロボットが動き始めてから何度も聞いているピピピという電子音が鳴ります。

 そして音が鳴ると同時に二重丸が一つから四つになり、九つに増え、更に増え続けます。


「え?え?」


 一つでも困るのに一気に数を増やしすぎで焦るわけですが、撫子の言う通り待ってくれる状況でもなく。

 その九つの二重丸は視線の先にあるわけですが、パッと見た感じ何もない草原の映像のまま。


「二重丸は見えるけど、何もない空中?」

「いえ、居ますよ?って、もー。サボっているという訳ですか?」


 そういうと、ヘルメットを外から自分に叩く時の優しいペチペチではなく、ガンガンという音が鳴りそうなかなり強い威力で叩いているのが分かるのですが、そういった衝撃が内側まで来ることはなく、一度大きくザザザッと大昔のテレビの砂嵐みたいなものが上から下に流れると、見えなかったものが見える状態に。


「草原に……こんなものが?」

「見えましたか?」

「うん」


 つい数秒前までは空が赤いだけのだだっ広い草原だったはずですが、その草原の上空を優雅に泳いでいるのは不思議な色をした鯨のような何か。

 ただ、そのクジラは優雅に空を泳いでいるだけで別に何かをしたわけではないのですが、自分の記憶通りであれば、この空の色は鯨のせいでもあって。


「この空の色はこの鯨のせいでいいのかな?」

「ですね」

「正直な話をしても?」

「どうぞ?」


 かなり優雅に泳いでいる姿は見惚れてしまうぐらい奇麗なモノで出来れば倒さないで済むならそういう選択もしたくなってきたので確認をしてみます。


「別に空の色を赤くしているだけで、この鯨が悪い事をしているわけではないよね?」

「悪い事と言われるとその通りかもしれませんが、この空の色のせいで他のモンスターは活発化します」

「そうなって来るとやっぱりこいつは移動してもらった方がいいとはなるかな?」

「そして、この空の色が今回は少しばかり長めに続いてしまったので、通常は捕食されるモンスターも活発になり、多分ですが一時的にこの空の下のみ生態ピラミッドが崩れている状態になります」

「どういう事?」

「通常は食べられるだけのモンスターも食べる側に変わり、暴れるという事です」

「うん?」


 いまいちその意味が分からないままでいると、溜息をつく撫子がいてそしてペチペチといつものバカにするような叩き方をしながら、


「人がいつも以上に襲われるという事です」

「まずいね?」

「なので、空の色をどうにかしないといけないわけです」


 そうは言っても、この鯨を持っている槍一本で?

 結構な無茶をしないといけない気がします。


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