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 目の前に表示された「歩き方」を視線で追うと、すぐに文字が崩れます。

 そして出てきた言葉は凄く単純。


「しっかりと歩くことを想像してください」


 たったそれだけ。


 ただ、自分の頭でやってみるとわかりやすいと思うのですが、歩くことを想像するというのは中々不思議なもので。

 自分なのかこのロボットなのかを想像しないと変な感じになります。


「歩く、歩く、あるく……」


 口に声を出しながらロボットが前に進むイメージでもって一歩目を踏み出すところをしっかりと想像すると、遂にこのロボットが一歩目を踏み出します。


「一歩目を踏み出せましたね」

「みたいだね?」

「歩みですから、そのまま反対側も動かしてしっかりと歩いてくださいね?」

「あー、歩くのはいいけどここって歩いていいの?」

「勿論ですよ。あ、それともジェットブースターとか足元をしっかりと固定してみたり、背中を固定してみたり、バシュンって格好いい感じで飛び出すタイプがよかったですか?」


 ちらっと頭の片隅に思い出せそうな映像が出てきた気がしましたが、とりあえずソレ系の出撃シーンになってしまうといきなり戦う事になりそうなのでそれは出来ればパスの方向で。というよりは、そういうのは若い子で将来有望なニューなタイプだったり、遺伝子を書き換えていたり、チートがあるような子が請け負う奴。

 ただのおっさんとしてはロボットが動かせるようになっただけでも十分な成果なわけです。


「いや、十分だよ。歩けるだけでも嬉しいさ」

「ですかー?でも、この後はアレと戦うんですよ?」

「それって確定事項なの?」

「その為にこれを動かしたんでしょう?」

「あー、うん。まあ、そうなのかもしれないけど……戦えると思う?」

「このロボットスペックはいいですからね!」


 いくらスペックがいいロボットだとしても、操縦者がポンコツだと勝てる試合も負けるような気がするわけですが、その辺り大丈夫?という感じで撫子を見ようとしたのですが、お腹の上に居るのは分かるのですが、両手両足は先っぽしか動かないままで、視線もヘルメットの中ばかりなので、撫子を見つける事が出来ない状態。


「心配無用です。多分赤い空もそれの原因もチュートリアルですから」

「いや、流石にそれをチュートリアルというのは無理なんじゃないかな?」

「えー?多分大丈夫ですよ?」

「その根拠が知りたいんだけど」

「勘?」


 流石にちょっとこの賭けに出るのはきつい気がしたのですが、そういえば歩き始めてから少し経っている状態。

 真っすぐに歩くように考えているわけですが、歩いているうちにあちらこちらの光が付くようになったのですが、壁に当たる様子はありません。


「これって、ぐるぐる回っているのかな?」

「いえ、普通に歩いているだけですよ?」

「それだと普通は壁に当たらない?」

「地面が動くので当たる事は無いですよ?」


 ん?それだと動けない気がしたわけですが、先に撫子から言葉が返ってきます。


「一定の範囲の足元だけが動くんですよ。だから多少前に動く事あっても壁に当たるという事は無いんです」

「……ようはランニングマシーンみたいな感じ?」

「そのランニングマシーンがどういうものなのかが分からないのでなんともですが?」

「あー、うん」


 自分が想像したのはスポーツジムなどにあるルームランナーとも呼ばれるもので安全を考慮して手を伸ばせば持つ部分があったと思うのですが、そういったモノは一切なく足元だけが動いているみたいなのですが、考えてみれば視線を下に向ければ見えるはずと下を見てみる事に。

 すると、今撫子が説明した通り地面の一部がベルトコンベアのように動いていることが分かるのですが、ピピピという音が鳴って、説明文が出てきます。


「歩くことによりこの遺跡に電力が補充される。

ただし、歩かなくても電力は補充されている為、

意味があるかと言われると微妙でもある。」


 と、あまりこのベルトコンベアに効果というか意味があるかはわからないわけですが、遺跡の為になっていることが分かる一文が。


「まあ、そういうギミックですね」

「歩かなくてもいいけど、歩いたら歩いたでちゃんと意味があるって事ね?」

「みたいですね。さ、歩けるようになったので早速出発しましょう?」


 おっと、撫子さん?何でそんなにやる気なんですかね?

 今できるようになったのは歩く事、そして視線を合わせる事の二つだけ。


「歩く事と視線を合わせることしかできないのに戦えると思う?」

「……多分?」

「撫子みたいにフィジカルが強い訳じゃないんだよ?」

「でも、ロボットですよ?多分、強いですよ?」

「強いって言っても、武器も防具も無いわけだから戦いようがないんじゃない?」

「言われてみると。あ、なるほど?武器を早速見たいわけですね?えーっと、たしかさっきちらっと見た時に……何処だったかな?足じゃないし、手……にもない。いや、ロボットの武器と言ったらいいモノがあるじゃないですか」


 今、武器の話をしていたのに何でないのにそんな嬉しそうな声?と思っていたのですが、撫子の口から出る言葉はある意味予想通りの言葉。


「ロボットの手も足も十分な武器ですよね?」


 かもしれないけど、でも武器は欲しいです!!!




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